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宇宙の絆Ⅱ  作者: 秋華(秋山 華道)
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共同戦線

ゲーム内で売りに出したものは、ゲーム内で取引できる物に限って、ジャンク屋が代わりに売買をしてくれる。

リアルな物も、ゲーム会社に送って預ければ、ゲーム内取引が可能になる。

でもその場合、手数料はかなり取られるから、それなりに高いものじゃないと割に合わないわけだが。

で、俺はジャンク屋が集まる場所へと来ていた。

先日手に入れた人型を、修理してカスタマイズする為と、愛機キュベレイをパワーアップする為のパーツを探しに。

他人にはいらないものでも、俺には宝だったり、俺にはゴミでも、他人には必須アイテムだったりするから、ココはマメにチェックしなければならない。

大きく分ければ、人型乗りは艦船用パーツはゴミだし、艦船を動かす人は、人型を繊細にカスタマイズするアイテムは、それほど必要ではないというわけだ。

中でも脳波誘導システムによる遠隔操作武器は、プレイヤがパイロットでないと使えない。

一部使えるNPCがいるらしいが、俺はまだお目にかかった事はないから、ただの噂かもしれない。

それにやたらと使い方が難しいから。

間違ったら自分で自分を攻撃してしまうなんて、初心者は必ずやってしまうほどだ。

だから遠隔操作武器は結構売りに出されている。

だけど俺は好んで、これらの武器を使う。

ま、理由は我が愛機の名前から分かってもらえると思う。

ほとんどがビームを発射する、ガンダムで言うところのファンネルのようなものだけど、中には小型の人型のようなのもある。

全てがうまく動けば、それはもう最強だ。

全てはさすがに無理だろうけどね。

俺は「フェンネル」を3機と、小型の人型を1機、後は通常ショップでウイングを4機購入した。

フェンネルって名前は、完全にガンダムの「ファンネル」のパクリであろうことは想像にたやすい。

4機も買ったウイングは、地上戦で役立つアイテムだ。

我が軍の領域は、地球から遥か遠いところに有るから、かなり戦域を広げても、地上戦はまだまだ必要無い。

でも地上だと飛べる事はかなりのメリットになるから、早めに準備というわけだ。

宇宙戦を得意とする俺にしてみれば、飛んで戦闘ができれば、あまり戦闘感覚を変えずに済む。

それでも微妙に違う部分もあるだろうし、ウイングをつけての戦闘にもなれておきたかった。

 一生「さて、そろそろ19時になるな。」

19時になれば、戦闘が始まる。

だからその時間に合わせて、戦闘配置につかなければならない。

攻めるにしても守るにしても、それは必要だ。

俺は愛機キュベレイに搭乗すると、有人要塞カテーナから出る。

目指すは最前線の、先日手に入れた要塞ギャオスだ。

ちなみに要塞の名前は、最初に手に入れた人が勝手につけられるものだから、変なのも多い。

ギャオスくらいならまだ普通だ。

放送禁止なのも多くあり、あまりにひどいのはクライアントから修正が入る。

今では所有軍のいない拠点はないから、これから名前をつける事はもう不可能ではあるが。

ギャオスでは、すでに紫苑さん達が動いていた。

 アライヴ「こんちわ~」

 紫苑「(^0^)/」

 紫陽花「こんばんは~」

 スピードスター「♪」

皆一斉に挨拶する。

まあ通信は、友軍で有ればいつでもできるし、そうでなくても相手の名前さえわかればいつでも通信を試みる事ができるのだけど、なんとなく会った時にするのが普通になっていた。

 アライヴ「今日はどうするの?」

俺は、作戦の全てを、紫苑さんに任せている。

初期の大戦で、四天王の裏切りが無ければ優勝していた可能性があった人。

シミュレーションゲーム時なら、トップクラスのゲーマーだ。

だからこの人と組んでいるわけで。

 紫陽花「今日はサイファ軍と共同で、万古を落とすわよ。」

・・・

微妙な名前の要塞だけど、何故かクライアントからの修正が入らない。

昔あったマクロスってアニメの歌の中でも使われているらしいし、普通の言葉としてちゃんと存在するようだ。

それよりも「共同」って言葉を聞き流すところだった。

 アライヴ「あそこって、凄く強固な要塞だよね。これだけの戦力でいけるの?」

 紫陽花「私たちは手伝うだけ。前に手伝ってもらった事あったから。カテーナ落とす時にね。」

そういえば、俺がバイトでどうしてもゲームできない日が何日かあって、戻ってきたらすでにうちが持ってたんだったな。

カテーナって。

そういう事だったんだね。

 アライヴ「オッケー!俺は暴れられればそれで良いし(笑)」

 紫陽花「ではココは私に任せて、みなさん行ってらっしゃい~」

紫陽花さんは、ココの守りに残るようだ。

まあ周りには、特に強いところもいないし、紫陽花さんなら余裕だろうな。

俺は一度パープルアイズにキュベレイを着艦させた。

キュベレイから降りると、パープルアイズのスタッフが、機体の整備をしてくれる。

ちなみに艦船の乗組員は、艦船のパーツ扱いだ。

人は11人までで、その他乗組員はパーツという事。

俺はシミュレーション画面に変わってから、再び通信画面で話をした。

まあ同じ艦なのに通信ってのもおかしいし、チャットだから何処にいても喋れちゃうわけで、表現が難しい。

携帯電話を持っていて、いつも携帯電話で話す感覚かな。

いや、複数人で喋る事も可能なので、スカエポか。

そういえば近くスカエポがゲームに導入されるとか噂もあるけど、使っている人は既にゲーム外部で使っている。

 アライヴ「で、俺は何すれば良い?」

 紫苑「作戦は、合流してから(^0^)v」

 スピードスター「サイファから説明が♪」

 アライヴ「なるほど。」

どうやら今回は、ほんとに手伝うだけのようだ。

まあサイファさんも、紫苑さんと同じくらい戦略戦術に長けているから、別に心配はない。

そしておそらく今日も勝てるだろう。

まもなくしてサイファさんの旗艦、「補給できないじゃまいか!」と合流した。

つか、艦船の名前適当だなぁ~

思わず苦笑いだ。

でもこのへんが、サイファさんの強さなのかもしれない。

楽しんでいるなと思った。

 サイファ「ども!今日はわざわざありがとうございます。」

 紫苑「(^0^)/」

・・・しゃべり方から考えると、あんな名前を付ける適当な人とは思えないな。

 サイファ「今日の作戦なんですが、私の旗艦の波動砲で蹴散らす作戦なんで、要塞近くに人型を集めてほしいんです。発射する寸前でみなさんには戦場を離脱してもらう必要があるんですが、大丈夫ですか?」

おいおい、波動砲って何よ?

昔ヒットしたアニメ「宇宙戦艦ヤマト」に、そんな武器あったような記憶もあるが。

もし俺の思っているとおりなら、すっげぇ強いんだけど。

 紫苑「おけ。ジョブ!」

おいおい、簡単に言うけど、俺よくわかってないんだけど。

 サイファ「ではお願いしますね。」

いやいや、お願いされても。

俺は仕方なく、話に割り込む。

 アライヴ「あの~?話がわからないのですが・・・波動砲って何?(汗)」

 サイファ「ああすみません。波動砲は昔ヤマトが撃っていたあれです。」

 アライヴ「あれと言われても、ヤマトもあまり知らなくて。」

 サイファ「すみません。強力なビーム砲だと思ってください。またはコロニーレーザー?」

おいおい、そんな強力な武装、なんで持ってるんだこの人?

 真でれら「ああ今、何でそんな強力な武装持ってるんだって思ったでしょ?前回から有る程度引き継がれているものも有るって事だよ。」

ああなるほど。

そういや、なんか有ったな。

強力な砲塔が。

 アライヴ「わかりました。敵を集めてそれで一気にやるわけね。」

 サイファ「まあ撃つまでに時間がかかるから、時間稼ぎをお願いしたいわけです。その後は自力ですが、うまくいけば楽勝でしょう。」

 アライヴ「はい~」

そういう事か。

それにしてもこのサイファさん、慎重そうな人だ。

これだけの数とメンツが集まれば、万古要塞なら普通に落とせそうだけどね。

俺は少しフェンネルの射角の設定をいじる事にした。

敵機を1機でも多く、波動砲の餌食にする為に。

まもなく作戦が始まった。

 サイファ「人型は今日子さんの指示に従ってください。」

 今日子「よろしくぅ~」

 アライヴ「こちらこそ。」

今日子さんと言えば、サイファ軍のエースパイロットだ。

ファーストの頃から人型に乗っていたって言うから凄い。

俺も最初試みたけど、あまりにリスクが多いからやめたんだよな。

それなのに半年以上乗っていたって聞くし。

戦闘が始まると、流石にエースと呼ばれている人だと思った。

その戦闘は、強いとか早いとか以上に、とにかく楽しそうに戦っていて、真面目にやっているようには見えないのに、俺と同じくらいの敵を倒してゆく。

 一生「すごいな。でも、俺ほどじゃない!はず・・・」

ちなみに俺もまだ本気を出していない。

俺の得意なフェンネルは温存したままだ。

まあ敵のほとんどがNPCの人型だから、俺達クラスになると敵ではない。

と思っていたら、赤い機体が猛烈なスピードで今日子さんの機体「サファイア」に近づいてゆく。

 一生「シャアか?!」

冗談で言ったら本当にシャアさんだった。

シャアさんはファーストの時に、サイファさんを裏切った人だ。

ジーク軍のスパイだったらしいが、今ではジーク軍でもないようだ。

 一生「このよくわからない軍にいるんだもんな。」

 今日子「裏切りものぉ~!(笑)」

今日子さんはどうやら、シャアさんとやるらしい。

それもやたら楽しそうなんだけど。

いいなぁ~

俺は仕方なく雑魚を倒していった。

つうかシャアさん、今日子さんに瞬殺されてるし。

あれ?もし波動砲にはまったら、戦闘不能状態どころではないかもなぁ。

俺はふと疑問に思った。

人型は戦闘不能になっても、普通は、死者がでるまで破壊したりしない。

戦闘不能になった奴を、更に破壊し続ければ完全破壊も可能だけれど、メリットよりもデメリットの方が大きいから。

相手に恨まれたり、NPCパイロットを得る事もできなくなるからね。

少なくとも俺は半年、完全破壊されて死んだ人を見た事がなかった。

俺はなんとなく、戦闘不能で漂っているシャアさんの機体を、波動砲の発射軌道のど真ん中に移動させた。

なんかシャアさんから通信が入ってきていたが、無視無視。

それを回収しようと集まってくる敵機。

俺はそれを倒していった。

 一生「ひゃっほーい!楽しい~!」

 今日子「楽しそうね。」

 アライヴ「そりゃもう。」

 今日子「これいいわね。向こうから集まってくるし。でもそうでないのが艦船を狙ってあっちに行ってるね。」

 アライヴ「今日子さん、あっちに行ったら?」

 今日子「作戦上、あなたが行った方がいいから、お願いできない?」

なんだこの人、せっかくの俺の遊び場を奪うつもりか?

でも、作戦指示には従った方がいいんだろうなぁ。

今日は助っ人だし、お願いされるか。

 アライヴ「わかりました。引き戻してくるよ。」

 今日子「ごめんね~」

俺は今日子さんの返事が返って来る前に、すでにサイファさんの旗艦の方へと向かっていった。

スピードには自信がある機体だ。

なんせ本家キュベレイのように、両肩には羽根がついていて、そこにはエンジンがついているから。

瞬発力とスピード重視の機体だ。

さてしかし、追いつくはいいけど、数が多いな。

 一生「しかたない。」

俺はフェンネルを展開した。

 今日子「へえ。フェンネル使うんだ。」

 アライヴ「まね。本気でこれを使ってるのは、俺くらいかもね。」

 今日子「そうね。数は少なそうね。でも一人知ってるよ。」

 アライヴ「ほう、フェンネル使いが俺以外にいたとは。」

こんな話をしながらも、俺は旗艦に近づいてきた敵機を、次々と攻撃してゆく。

 今日子「名前が同じだったから、ね。そういえばその仲間にもいたよ。」

 アライヴ「ほほう。今日子って人なのか。もう一人は?」

 今日子「チサトって人だよ。二人ともダイユウサク軍の使い手だよ。」

ゲームで食っていける人達の集まり、ダイユウサク軍の使い手か。

それは是非対戦したいし、絶対に負けたくない相手だな。

 アライヴ「いずれその人達は俺がやってやるよ。」

 今日子「私もやるの楽しみにしてるの。」

 サイファ「後60秒で発射します。タイマーはそれぞれに送りました。それまでにうまく波動砲の射線上から退避してください。」

 アライヴ「おけ。さて、うまくやらないとね。って、今日子さん、早く退避した方がいいですよ。そこだと時間ぎりぎりだし。」

 今日子「まあ、任せて。アライヴさんも早めにどうぞ。」

今日子さんはなんだか余裕だ。

あの場所からだと、俺のキュベレイでもそろそろ退避しないとまずい距離なのに。

俺は戦闘しながら、うまく射線ぎりぎりのところまで移動した。

しかし今日子さんはまだ、射線上ど真ん中にいる。

時間はあと20秒を切った。

もう俺の機体でも無理だ。

 アライヴ「今日子さんまずいって!」

 今日子「じゃあそろそろ行きますか~」

今日子さんの返事が返ってくると同時に、今日子さんの人型、サファイアが変形した。

 一生「変形?」

見た目明らかに飛行形態といった感じに変わると、普通の人型の3倍以上の早さで移動した。

取り残された敵機は、もう明らかに波動砲を食らうだろう。

俺を追いかけて来ていた敵機は、フェンネルでうまく射線内に留めていた。

残り5秒のところで、今日子さんが射線の外へと出ていた。

俺も最後の集中砲火で、敵機を完全に射線内に置き去りにした。

そして補給できないじゃまいか!から、波動砲が発射された。

前方すぐの所を、爆発的なエネルギの光が通り過ぎる。

それは目の前にいた敵機も呑み込み、更に先にいたシャアさんの機体も呑み込んだ。

一瞬にして、敵機のほとんどが壊滅していた。

残っていたのは、敵機3機だけで、簡単に勝負はついた。

それにしても、今日子さんは流石に人型を極めた一人だ。

まさか変形機体を開発して、完成させている人がいたなんて。

そしてもし俺達が順調に勝っていけば、いつか対戦する事になる相手だ。

俺は今からそれが楽しみになっていた。

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