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宇宙の絆Ⅱ  作者: 秋華(秋山 華道)
19/60

初めての地上戦

同盟相手探しは難航した。

地球の軍としては、宇宙の有力勢力との同盟はやぶさかではない。

しかし、自軍領に入れて、地球用パーツを買いあさられるのは、後にデメリットとなる可能性もある。

相当信用できないと、なかなか同盟なぞできない。

同盟には、期間や条件で設定できるが、たとえば3カ月同盟して、その間にアイテムを買いあさられ、その後敵になるとも限らない。

だから、条件が絶対有利でないとなかなか同盟できないわけだ。

メリットを考えた時、有力勢力との同盟は魅力だけど、デメリットも同じなのだ。

だから同盟は、地球に領土を持つ軍は、同じく地球に領土を持つ軍とするか、或いは、地球用パーツを手に入れる術を、既にもっている軍とする事が暗黙の了解になっていた。

そんな中、あっさり地球に領土を持つ軍と同盟できたのは、やはりこの人の力だった。

 サイファ「では、我々でこのゲーム勝ちましょう。」

 グリード「これだけの面子が集まれば、今度こそはやれそうだな。」

 紫苑「ですな。(^0^)/」

サイファさんとグリードさんは、前作から強い信頼関係を持ち、共に戦ってきた間柄だ。

最後には、グリードさんは負けて、その後サイファ軍に所属し、ある意味上官と部下の関係であった事もある。

リアル年齢的には、グリードさんの方がかなり年上らしいが。

それでもこのゲームの最初、グリードさんはサイファ軍に所属する事を望んでいたようだ。

しかしサイファさんが断って、別の軍の方が今回の場合良いかもしれないと、地球でのプレイを提言していたようだ。

結果、それが今正しかった事を証明されたわけだ。

ちなみに、紫苑さんも、グリードさんとは面識がある。

前作の打ち上げで、少しだけ言葉を交わした程度だけれど。

前作では、グリード軍との同盟を断っていたのに、今回了承してもらえたのは、面識があった事が大きい。

そして、今回協力関係を一番安易にしたのが、今回のゲームの賞金が、勝った軍だけに配布されるわけではないって事だ。

この3軍が最後まで残っていたら、おそらくその後負けても、それなりのお金が貰える事が予想できたから。

 サイファ「同盟期間はとりあえず3カ月、その後も最後まで敵対しない事。そして3カ月はグリード軍が地球で勢力を伸ばす手伝いをする事。って事で良いですね。」

 紫苑「(^0^)/」

 グリード「現在拠点が3だから、目標としては、10はよろしく。」

拠点数10となると、現在の3倍以上だ。

しかし、この面子なら、10なんておそらく1週間で可能だろう。

俺としては、目標100だ。

100でも地球の拠点の総数からすれば、1/30だ。

全くもって足りないくらいだ。

宇宙は、その更に3倍以上あるんだけどね。


さて、同盟した瞬間から、俺たちは忙しかった。

まずはしばらく主力が本拠地を開ける事になる。

レイズナー大佐だけでは、かなり不安だ。

光合成さんと一緒に、今までも近隣の弱小勢力と小競り合いを繰り返し、とりあえず勝ってきてはいるが、これからは最前線もカバーしてもらわなければならない。

誰かを残せばとも思ったが、紫苑さんはこの3カ月を、勝負の分かれ目になるかもしれない3カ月、なんて言っていた。

だからまあ、壁さんとてけとーさんふたりに、スクランブルを要請したようだ。

そして、もうひとり・・・あの人も・・・。

まあそんなわけで、主力は皆、グリードさんの拠点、「ジャングル」に来ていた。

戦闘時間までに、戦闘準備を整えなければならない。

そして時間になれば、ココから他の拠点に攻め込む事になる。

あえてココからと言ったのは、宇宙から降下して拠点攻略するわけではないって事。

グリードさんの話しによると、宇宙から降下して拠点を攻めるのは、かなり難しいらしい事が分かった。

降下中、しばらくはただの的になりえるし、人型での大気圏突入は更に危険だって事。

大気圏用機も、地球では存在するし、それを手に入れていけばその場はしのげるだろうが、降下してからは能力の持ち腐れだ。

これがまあ、地球に拠点を持つ有利な部分で、その有利さは半端ではない事を改めて理解した。

時間になると、俺たち紫苑軍はもちろん、グリード軍、そしてサイファ軍が隣国に行軍を始めた。

 グリード「みんなありがとう。これだけの面子がそろって負ける事はまずありえないから、危ない場合は無理せずいこう!」

グリードさんは、もちろんこの3カ月は総大将だ。

実力からすれば、紫苑さんやサイファさんの方が上だろうが、地球に関しては一日の長がある。

俺だって、地球用の人型で、陸戦するのは初めてだ。

今日から始まる地上戦。

ウィングをつけて戦えば、宇宙とあまり変わらない感覚で戦えるらしいが、飛行と宇宙空間では、大きく違う部分がある。

それは、推進力が必要だから、飛び続けなければならない事。

宇宙空間なら、突然の方向転換も比較的簡単だけど、飛行だとそうはいかない。

ウィングをつけずに、強力な火力で飛行する場合は、尚宇宙空間と変わらず戦闘できるが、燃料が多く必要で、戦闘時間が短くなったり、やはり上下関係や重力を意識しなければならず、同じようには戦えない。

ただ、やはり似ている部分もあるし、せっかくだから、この3カ月は地球特有の戦い方をマスターしようと思っていた。

俺は、テンダネスを地球戦闘用にカスタマイズした機体で出る。

武器はフェンネルと、ビームライフル、ビームソード、ビームバルカンと、全てビーム系。

フェンネルには小さな羽がついて、地球用に改良されている。

停止しての維持、攻撃が不可能で、これは今後研究改良が必要だと思った。

 紫苑「まず、星が中央突破、撹乱してくれ。」

 スピードスター「♪」

 紫苑「そこを紫陽花と小麗で攻撃、俺とじぇにぃとハルヒでサポートする。」

 紫陽花「了解w」

少し疑問に思った。

何故か紫苑さんが指揮して、俺たちだけで攻撃するのか。

 アライヴ「あれ?サイファさんとこ、今日子さんも出ないの?」

 紫苑「まずは俺たちだけでやらせてもらう。この3カ月は、損失を出してでも、得なければならないものがあるからね。」

まあそういう事だよね。

地球での戦闘になれる事と、地球用パーツを得る事。

この2つの為に、あえて貧乏くじを引く事は必要なのだろう。

 アライヴ「なるほど。では行きますか。」

 紫苑「(^0^)/go!」

俺たちは最前線で戦闘を開始した。

まずは星さんが、艦船スピードスターに暗黒天国の人型ボスを乗っけて、高速移動しつつ、大火力の攻撃をあびせながら敵を突っ切る。

星さんの艦船は、地球仕様にしてもやはり高速移動型だ。

武器に火力はなく、重視するのは移動だけ。

そこにもってこいなのが、暗黒天国のボスってわけだ。

これで超高速移動できて、破壊力のある戦艦の出来上がりだ。

この作戦は、我々紫苑軍の定番の戦い方になっていた。

敵は回避するので手いっぱいだ。

ただ、宇宙と違って上下が有るし、障害物も多く、宇宙戦ほどの効果は得られなかった。

 サラ「では行くわよ~」

 おとめ「重力あっても、バトルグリードでなれてるし、私たちはむしろこっちの方が得意よ♪」

 サウス「俺はもう宇宙の方が地形効果得られるけどな。」

小麗の艦船、月天から、それぞれレッドストーン、マイヒメ、サウスドラゴンが出撃した。

 アライヴ「ではこっちもいくぞ!」

 チョビ「わかった~」

 みゆき「は~いv」

紫陽花さんの艦船、パープルフラワーから、俺たち3機も出撃した。

出撃した途端、機体は重力をうけて、落下を始める。

ブーストしながら、敵の砲撃を回避しつつ、良さそうな着地点を探った。

チョビは盾で攻撃を回避しつつ、拡散ビーム砲で敵を退ける。

みゆきちゃんは、チョビに守られながら、安全に着地できそうだ。

俺はなんとか攻撃を受ける事なく、地面へと到達した。

これがもし宇宙からの大気圏突入だったら、もっと長い時間敵の攻撃にさらされ、更には動きも自由がきかないかと思うと、かなりきつい事は十二分に理解できた。

ともかく3機とも安全に着地ができた。

ちなみにNPCキャラは、艦船上で守備についている。

俺たちが陸戦を求めても、空で艦船を狙う機体はやはりいるのだから。

まあ艦船は紫陽花さんと小麗さんだし、なんとかなるとは思うけど。

紫苑さんたちもサポートしてるわけだし。

 紫苑「敵はどうやら、これだけの侵攻を予想できていなかったみたいだ。NPCがほとんどで、プレイヤは3人確認。」

紫苑さんは既に索敵を完了したようで、情報が皆に伝えられる。

 紫苑「プレイヤは拠点に2機、1機は突っ込んでくるぞ。」

 紫陽花「ではそれぞれ1機担当ねw」

 サラ「楽勝できそうね。」

確かに数では楽勝だったはずだった。

しかし・・・

サラさん達は言葉どおりの楽勝で、敵本拠地を制圧しようと侵攻している。

しかし他は、初の地上戦に苦戦していた。

紫苑さんのところのじぇにぃは、バトルグリードでも好成績を残しているプレイヤだから、本気でやれば楽勝だったかもしれないが、どうやら紫苑さんの指示でハルヒくんの援護に回っている。

美夏さんは、今日はこっそりスピードスターに搭乗しており、今頃は拠点の向こう側で息をひそめているはずだ。

敵が全てこちらに来た場合、背後をつくか、抜け殻の拠点を軽くいただく寸法だ。

そして俺たちは・・・皆地上戦は素人。

俺もようやく宇宙で乗りこなせるようになったテンダネスだし、みゆきちゃんは戦闘自体が最近は少ない。

後はチョビだけど、宇宙でも地球でも変わらない戦い方だけど、どちらかと言うと、攻めには向いていない。

プレイヤひとりと、10機ほどのNPCとこう着状態だった。

出し惜しみできる状態ではないので、俺はフェンネルを使った。

拡散ビーム砲の餌食にならないように、かなりチョビから離れてから使った。

チョビの背中は、今はみゆきちゃんに任せてある。

おそらく背後をとられる事はないだろうけど、油断は禁物だ。

フェンネルは、宇宙よりも自由がきかず、発射タイミングがかぎられている。

移動ルートも特定されるようで、数機がすぐに落とされた。

 一生「地上でフェンネルつかえねぇ~」

空中での静止と、移動方向に自在性が無い状態では、フェンネルはきつい事が改めて感じられた。

 一生「しかし!」

しかし、一応けん制にはなるので、こちらの攻撃も、今までよりも当たるようになってきた。

まあ基本は同じだって事だ。

フェンネルを警戒しているなら、フェンネル攻撃の回避に合わせて攻撃するし、逆なら自分がけん制を入れてフェンネルで当てる。

ただ、チョビと協力して戦う事は、フェンネルありきじゃ無理そうだった。

敵プレイヤとの戦いは、最初から最後まで、結局ずっと苦戦してしまった。

フェンネルも全て落とされ、逃げ回った先にチョビがいて、チョビの拡散ビームに助けられ、かろうじてみゆきちゃんがとどめをさした。

時計の針も23時になろうとしていて、チョビの参加できる時間も終わろうとしていた。

拠点はあっさりと美夏さんが落として、初めての地上戦が終わった。

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