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宇宙の絆Ⅱ  作者: 秋華(秋山 華道)
13/60

最大の敗戦

宇宙の絆Ⅱは、少しずつ勢力が整理されつつあった。

宇宙では、拠点が1つしか無いような勢力は、少しずつ淘汰され、もう後数勢力しか残されていなかった。

そのうちのひとつが、今回の攻略ポイント、有人要塞イゼルローンだった。

まだ残っている勢力なので、そこそこの強さは予想していたが、拠点が1つであり、人型の数も限られているので、簡単に攻略できるものと思っていた。

油断していた。

ココまで残っている事に疑問を持つべきだった。

星さんは完全に押されているようだ。

紫苑さんのところも、じぇにぃと互角に戦う機体があらわれたらしい。

いや、むしろ押されていて、紫苑さん自身が、援護しているようだ。

そして俺の目の前にあらわれた機体は、何か迫力があった。

名前はサラで、階級が曹長。

人型名は、レッドストーン。

正直聞いた事はない。

しかし俺が軽く攻撃して抜けようとしても、全く隙は無かった。

突然通信が入った。

サラからだ。

受信しない事もできるが、俺は回線を開いた。

 サラ「こんにちは。あなたね、夢ちゃんが言っていたのは。」

一瞬意味がわからなかった。

 サラ「あ、夢ちゃんって、ドリームの事ね。」

 一生「ええええ!!」

なんだ?

このサラって人、ドリームとリアル友達か何かなのか?

 アライヴ「えっと、ドリームが何か言っていたのかな?」

 サラ「ああ、ごめんごめん。あなたの事、なかなか強いって言っていたから、覚えていたのよね。」

 アライヴ「ありがとう。」

よくわからないが、あのドリームが俺の事を強いと言っていたらしいから、少し嬉しかった。

 サラ「でも、機体はキュベレイって聞いていたんだけど、今日は違うのね?」

いったいこの人は何が言いたいのか?

正直話してる場合でもないのだけど。

そんな空気を察したのか、チョビが星さんの救援に向かおうとする。

しかしサラのレッドストーンが、すぐにその行動を阻止する。

サラはなにやらチョビに通信を送ると、またこちらに通信してきた。

 サラ「それがあなたのメインの機体なの?」

どうやら話さないとダメみたいなので、俺は話す事にする。

 アライヴ「これはメインではないけど、今後メインにする予定だよ。」

 サラ「あら、そう。なら、それなりの戦いはできるわね。おふたりお相手お願いするわ!」

なんだかわからないけど、とにかく戦闘再開らしい。

勝手だと思いつつも、俺とチョビは構えた。

 サラ「では、いくわよw」

その通信を最後に、サラはこちらに攻撃を開始した。

 一生「早!」

動きはやたら早かった。

どうやら標準スピードタイプの機体のようだ。

しかし、俺たちは二人だし、コンビであればドリームだって倒せる算段もあった。

早く倒して星さんを助けないと。

チョビとの共闘で、初めてのマジ勝負だった。


その頃、星さんは追い詰められていた。

スピードは星さんが圧倒的有利なのだけど、敵の攻撃は強力で、少しでもかすると、そこそこのダメージを受ける。

おそらく星さんがココまで苦戦する戦いは初めてだろう。

なんせいつもならスピードで、最悪逃げるわけだけど、それすらも許さない攻撃の嵐が星さんを襲っていた。

少しずつダメージが蓄積される。

全てを把握している紫苑さんが、ハルヒ君を救援に向かわせていたが、じぇにぃと戦っている敵が、簡単には許さない。

この2機は強い。

なんとかハルヒ君が到着した時には、星さんの流星は、戦闘不能状態になっていた。

 ハルヒ「紫苑さんダメです。星さんは既に戦闘不能です。」

 紫苑「なんとか回収できない?」

そんな通信をしていると、流星を墜とした機体、サウスドラゴンは、今度はハルヒ君の機体、ウイングガンマに襲いかかった。

通信など、できる状況ではなくなった。

紫苑さんは、最後の手段か、自ら出撃した。

旗艦パープルアイズは、先日のテストで、唯一艦長として見出された、小麗に任せて。

流石に2対1になったら、敵のマイヒメは押され始めた。

そこに、ハルヒ君をあっさり倒してやってきた、サウスドラゴンがやってきた。

再び2対2で、戦況はこう着した。


こちらは2対1なのに苦戦だ。

ドリームでも倒せるはずだったが、それはあくまで俺が完全体であったならの話。

最近は温い戦いばかりしていたし、この機体はレベルを上げる為の出撃なので、手抜きチューンナップバリバリだ。

それでも勝たなければならない。

紫苑さんの方も苦戦しているし、このままでは全滅もあり得る。

もし俺たちが負ければ、このサラのレッドストーンはあちらに向かうだろう。

さすればおそらく撤退だ。

うまく撤退できれば良いが、失敗したら全滅。

今までで最大のピンチだ。

それにしてもこのサラ、強い。

チョビの戦い方を瞬時に見抜いたのか、正面からは接近してこない。

まああれだけのでかい盾、何かあるとは思うわな。

そして攻撃が正確だ。

こちらの攻撃タイミングに合わせて、うまく隙をついて攻撃してくるから、不用意に動けない。

1対1なら、チョビよりも上の敵。

それをサポートしたいのだけど、フェンネルの威力が発揮できる射程には入ってこないし、完全に俺は置き去りだ。

このままではこう着状態、一か八か、勝負をするしかない。

 アライヴ「一か八か、勝負にでるから集中してくれ。返事はできないだろうから良い。」

俺はそれだけチョビに通信を送った。

こんなギリギリの戦闘中に通信ができる俺って、ホント役に立ってないな・・・

そんな事を思う中、俺は勝負に出た。

フェンネルの設定を、背後から背後ではなく、敵の向こうからこちらへの攻撃に切り替えた。

これだけの距離があれば、拡散ビームでフェンネルが墜とされる事もないだろう。

途端に、今までの位置から、フェンネルが高速で移動を開始した。

すぐに敵の背後へと到達する。

それをいち早く察知した敵は、好機と思ったか、それとも危ないと思ったか、フェンネルの攻撃を回避する為、こちらへと高速で向かってきた。

これで、ある意味いつもの俺の戦術だけど、こちらの機体のメインはチョビ。

敵と共にフェンネルが近づいてくれば、フェンネルの攻撃を自分に受ける危険性もあるし、拡散ビームでフェンネルを撃ち墜とす危険性もある。

そんな中、敵はこちらに向かってくる。

普通ならピンチだけど、こちらには拡散ビーム砲を持った盾がある。

それに敵は、フェンネルよりも早く、こちらに近づいてきてくれていた。

 一生「今だ!」

俺はゲームの中へは聞こえない声を上げていた。

盾から拡散ビームが発射される。

これはそう簡単にはかわせないはず。

しかし、よく考えたら読まれていた戦術。

ギリギリのところでかわして、俺たちの背後へとまわってきた。

これが、1対1の戦いなら、完全に負けていた。

俺の機体が、ただのしょっぱい機体でも負けていた。

しかしおれの機体は、背後にメインカメラのついている、特殊な機体。

そして今までの戦い全てが、背後への攻撃。

俺は今日初めて、メインカメラを前方へと切り替えた。

今まで制限されていた枷も、全て外れた。

全く予想しない事がおこったからビックリしたのか、それとも俺の目にそう映っただけなのか、レッドストーンが一瞬止まって見えた。

ロックオンは早かった。

ピームを発射すると、すばやくビームソードを持って、斬りつけた。

この一撃が勝負を決めた。

チョビがレッドストーンをライフルで仕留めて戦闘不能にした後、俺たちは紫苑さん達の救援に向かった。

紫苑さんは、マイヒメ相手にやや優勢に戦っているようだったが、じぇにぃがかなりやられていた。

もう10秒ももたないかもしれない状況。

俺たちはギリギリだった。

 アライヴ「じぇにぃ、戻っていいぞ!」

俺はそれだけ言うと、今度はサウスドラゴンを相手にしようとした。

しかし結局戦闘にはならなかった。

 紫苑「撤退する!」

紫苑さんの撤退命令だった。

確かにこのままやると、俺たちは全滅の危険もある。

だけど、星さんとかハルヒ君とか、どうするのか。

 小麗「回収完了しました~w」

 紫苑「御苦労(^-^)」

どうやらあの状況で、小麗さんが回収していたようだ。

なかなか凄い。

戦況が不利な中、艦船だけで敵の中を突っ切ったのか。

 紫苑「皆先に行って。俺とパープルアイズなら、大丈夫だから。」

少し心配だが、紫苑さんなら大丈夫だろう。

それにパープルアイズは、超高速艦だ。

撤退は、スムーズにいった。

どうやら敵も、そろそろきつい状況だったようで、追撃はなかった。

皆無事戻っては来れたが、今までで最大の敗戦だった。

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