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追放された転生鑑定士、質屋に拾われまったり鑑定ライフを送ります  作者: think


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3/11

初めての鑑定のお値段は?

「や、雇うってあなたって鑑定士なのですか?」


「はい!こう見えてそれなりの実績もあります!」


「ですが、私が決められるわけでもありませんし……お店はもうやめるつもりで……」


「そういう店員さんですが、悲しそうな瞳をしてます。本当はやめたくないのでは?」


「そ、それは……」


店をやめると言ったときの寂しそうな表情。

初対面の俺ではあるが、彼女の心情は察せられた。


「……リュネットというお店の名前はリューおじいちゃんと亡くなったアネットおばあちゃんの想いのこもったお店ですから」


店員さんは泣きそうな表情を浮かべてしまった。

さすがに女の子を泣かしたくない。

俺は慌てて話題を変える。


「て、店員さんのお名前は!?」


「私は、フェリシーと言います」


「フェリシーさん。おじいさんと面接させてくれないか?でしょうそれでダメなら諦めますから」


「……わかりました。それでお客さんのお名前は?」


「あっそうでした。リソールって言います。よろしくお願いします」


「はい、よろしくお願いします」


「それにしても自分で言うのもあれですけど、俺のこと信用していいんですか?」


「そうですね……これでも人を見る目は少し持っているつもりです。あなたは悪い人には見えませんから」


「そう言ってくれると嬉しいです」


「あっ、敬語やめてもらっていいですよ。リソールさん」


「いや、そういうわけにもいかないでしょう?」


「いえいえ、歳上の方に敬語を使われると身構えちゃいます」


「……そう言われるとなぁ。それじゃこれでいい?」


「はい、おじいちゃんの面会にはお店が終わったら行きましょう。あと二時間ほどお付き合いしていただけますか?それとも後日でもいいですが」


壁にかけられている時計を見てみると午後二時を回ったところ。

営業時間は午後四時までか。


「思い立ったが吉日。ここで待たせてもらうよ。じっくりと商品も見たいしね」


「それではごゆっくりどうぞ」


それからは静かな時間が過ぎていく。

フェリシーさん……いやフェリシーちゃんにしようか。

彼女は受付のカウンター越しに座り、本を読み始めた。

なんというか居心地が良い。

時がゆっくり流れているようなこの感覚は店の商品のためか、彼女から漂う雰囲気のおかげか。


チリンチリン!


そんなときに扉が不意に開けられた。


「いらっしゃいませ」


「……金を借りたいんだ」


そう言ってきた男性は年の頃は三十代後半くらい。

男性は少し意気消沈した様子を見せている。


「申し訳ありません。店主がいないのでそういったことは他の質屋でお願いしたいのですが……」


「どこも断られたんだ……あとはもうここしかない……ここなら質草として借り入れできるってガメツーク質店から教わってきたんだ……」


ああ、俺もあそこでここを教わったんだが、宣伝し過ぎだろう。


「頼む!娘の治療費で金がいるんだ!」


「で、ですが……」


「よろしければ自分が鑑定させていただきます。お金も価値があればお貸ししますよ」


「本当か!?」


「リソールさん!?」


「大丈夫です。こう見えてそこそこお金は持っています。それではお客様が持ってきてくれたものをお見せしてもらっても?」


「あ、ああ!」


男性は急いで手に持っている鞄からあるものを取り出した。


「これなんだが……」


そう言って男性が取り出したのは人物像の彫刻だった。

それを大事にカウンター台に置く。


「それでは失礼しますね」


俺は白い手袋をはめて見させてもらう。


「これは、どういった経緯で手に入れたものですか?」


「ハンターだった俺の祖父がダンジョンで見つけたものだ。気に入った祖父がギルドで買い取りには出さずに大切にしていたんだ」


「なるほど……」


白い女性の像は笑みを浮かべており、手を合わせて祈りを捧げているように見える。

どことなく宗教さを感じさせるこの像の正体は……

ふふふ、素晴らしいものだ……


「それでご希望の金額は?」


「金貨百枚……」


なるほど、日本円で百万円ほどか。


「そ、それは難しいんじゃありませんか?」


フェリシーちゃんが困った様子を見せる。


「やっぱりそうか……それじゃいくらになる!?」


「いえいえ、金貨百枚では安すぎますね」


「「……えっ?」」


「これはおよそ三百年前に作成されたイクラシオン教の聖母像ですね」


「イクラシオンって今でも信仰されている大きな宗教ですよね?」


「うん。その宗教のシンボルである聖母像で間違いない。それにこのきめ細かな彫り方はケランゼルの作品だ」


「「ケランゼル?」」


「国立美術館に飾られている等身大の人物像、闘う王ロクセンブル三世の作者だよ」


「その像は俺も知ってるぞ!」


「わ、私も観たことあります……」


「それじゃこの像の価値って……どのくらいになるんだ?」


「そうですね。宗教的価値、美術品的価値を合わせても金貨五百枚は固いですね」


「五、五百枚……」


「どうしますか?僕としては買い取りでもいいのですが……」


「……爺さんが大切にしていた像だし、俺も思い出がある。金貨百枚を貸してくれ!利息は必ず払うから!」


「いいですよ。品物は預からせていただきますよ?」


「ああ、お願いする」


「それでは書類を作成しましょうか。フェリシーちゃん、紙をもらえる?」


「は、はい」


俺は借用書を書き、サインを書いた。


「それでは金貨を用意しますね」


俺は旅行鞄から革袋を取り出すと、一枚の金貨を取り出した。


「これでお願いしますね」


「えっ?一枚しかないんだが?」


「これは白金貨といいまして、金貨百枚分の価値があります。お疑いなら銀行に一緒に行きましょうか?僕も銀行には行きたかったので」


「そ、それじゃよろしく頼む」


「はい。それでは受け取りのサインは銀行でしましょうか」


「ああ!」


「それではフェリシーちゃん。こちらの聖母像を金庫にしまっておいてください。ありますよね?」


「わ、わかりました」


「それでは行ってくるよ。四時には帰れるように急ぐから。それじゃ案内してもらってもいいですか?」


「任せてくれ!」


こうして俺は一旦店を出ることにし、銀行へと向かうことになった。

それにしても……素晴らしい作品だったな。

初日からいいものを鑑定できて俺は幸せな気分で歩みを進めるのだった。

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