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追放された転生鑑定士、質屋に拾われまったり鑑定ライフを送ります  作者: think


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10/11

商談は大胆に

店休日、俺はフェリシーちゃんとヘイゼンさんの屋敷へと訪れていた。


でっか……!

屋敷は五階建てくらいで庭なんかも含めたら相当に広いことはわかる。

いやぁ……さすが公爵家だな。


俺はそう思いつつ、二人組の門の衛兵に声をかけた。


「あのリュネット質店のものですが、ヘイゼン様はいらっしゃいますか?」


「ああ、君たちがそうですか。話は聞いております。ご案内いたしますのでついて来てください」


俺たちは温かく迎え入れられ、敷地内へと入ることができた。

そして屋敷の中からはメイドさんに案内を引き継がれ、高級な絨毯の上を歩いていく。


うひゃぁ……この絨毯も通路に飾ってある調度品も特級品ばかりだな。

それもきらびやかなものばかりではなく、シックなものが多くて威圧感を放つことは少なく思える。

そんな中をメイドさんに連れられて歩いていった。


「大旦那様、お客様をお連れしました」


「お開けいたします」


一階の一番奥にある大きな扉越しに声が聞こえると、すぐに扉が開いた。


「どうぞ、お入りください」


そう言って声をかけてくれたのは老執事といった男性だった。

俺たちを案内してくれたメイドさんにお礼を言い、中にはいると、ヘイゼンさんは嬉しそうに迎えてくれる。


「おお、来たか!面白いものが見つかったのじゃな!?」


「ええ、気に入っていただけるかはわかりませんが、いい品物が手に入りました」


「ほほほ!二人とも座ってくれい!」


俺たちは来客用のソファーに座ると、対面にヘイゼンさんが座ってきた。


「どれどれ?早速見せてもらおうか?」


「はい、こういったものなんですが」


俺は鞄から猫の編みぐるみを取り出した。


「ほぉ、ぬいぐるみじゃな。可愛らしくてよくできておる」


「フェリシーちゃんからヘイゼン様にはお孫さんがいらっしゃると聞いてお持ちしました。どうでしょうか?」


「そうじゃな!気に入ってくれるやもしれん!よし!セレイドよ、アメリアを連れてきてくれんか?」


「かしこまりました」


セレイドさんはヘイゼンさんの言葉通りに動くと、部屋から出ていった。


「ほほほ、気に入ってくれるかのぉ」


こうしてご機嫌なヘイゼンさんを見ると、ただのおじいちゃんのように思える。


「うふふ、久しぶりにアメリアちゃんと会えるなんて嬉しいです」


「アメリアも会いたがっておったからのう」


二人で和気あいあいと話す姿を見ると、なんとも疎外感を覚えるものだが俺はお茶をいただき心を落ち着ける。

すると、


「フェリおねえちゃん!」


扉が開くと同時に白いドレスの女の子がフェリシーちゃんに向けて駆け寄ってきた。


金髪のサラサラストレートの女の子。

歳は……十歳くらいかな?

猫のように大きな瞳が可愛らしい娘さんだ。


「アメリアちゃん、こんにちは」


「おいおい、おじいちゃんにはそんなことしてくれないじゃないか?」


「お祖父様はおヒゲが痛いからやなの!」


頬ずりをするアメリアちゃんを羨ましそうに眺めるヘイゼンさんは、ショックを受けてしまった。


「それで?この人だぁれ?」


俺はすぐさま跪くと、アメリアちゃんに自己紹介をする。


「リュネット質店の鑑定士を務めるリソールです。本日はアメリア様に良いものをお持ちしました」


「えっ!?なになの!?」


「アメリア……これじゃ!」


「わぁ!かわいい猫ちゃんだ!」


アメリアちゃんはどうやら気に入ってくれたようで、興奮した様子でヘイゼンさんから編みぐるみを受け取っていた。


「どうだい?気に入ったかい?」


「うん!とっても!ありがとう!お祖父様!」


「ほほほほほほ!そうかそうか!」


頬がでろんでろんに溶けているヘイゼンさんは、とても嬉しそうにアメリアちゃんの頭を撫でている。


「アメリア様はもっと欲しいですか?」


「もっとあるの!?」


「ええ、もちろんです」


「欲しい欲しい欲しい!」


「これこれ、困ったのう……」


ここが稼ぎ時である。


「ヘイゼン様……ご商談に入りましょうか?」


「こほん……どうじゃアメリア。フェリシーと遊んできてもよいぞ」


「うん!一緒に遊びたい!いこ!フェリおねえちゃん!」


「ええ、行きましょうか」


こうして女の子二人が場を離れると、ヘイゼンさんは真顔に戻った。


「それでいくらで売るつもりじゃ?」


「そうですね?金貨五枚でどうでしょう?」


「ほぉ……なかなか取るのぉ……?」


「いえいえ、精一杯勉強させていただいておりますよ」


「別に金に困っているわけではないが、言い値で買うのは流儀に反するのでな。金貨四枚でどうじゃ?」


「おやおや……愛するお孫さんのプレゼントを値切るなんて……そのような方だったのですか?」


「むぅ……爺に刺さる文句じゃのう……」


ヘイゼンさんは渋い顔をした後、


「わかったわかった。金貨五枚でいい。儂の負けじゃ」


「ありがとうございます」


「まったく……リューの奴によく似ておるわ。あやつも儂から値引くことはなかったからのぉ」


「いただけるところからはちゃんといただかないといけませんからね」


「ほほほ!理由まで一緒か!よい跡継ぎに恵まれたものよ!リソール、今日は楽しかったぞ」


「ありがとうございます。ヘイゼン様」


「ところでお主、平民ではないのだろう?」


「えっ……?」


「ところどころで貴族の所作が出ておる。家名は何と言うんじゃ?」


「いやあ……追放されたような身ですので、名乗るほどのものではないのですがリソール・クレインと申します。オルドス王国のしがない貴族の家系です」


「ほう、オルドスの貴族だったのか。それで鑑定ミスの濡れ衣を着せられてアリシオルへやってきたというわけじゃな」


「リューさんから聞きましたか?」


「うむ。自分のことのように口惜しそうに言っておったぞ」


「あははは、もう吹っ切れてはいるんですけどね。今ではこうして良い出会いがありましたので」


「その力、存分にこの国で振るうがいい。後見人には儂がなってやる」


「あ……ありがとうございます。光栄です」


オルドス王国では認められなかった俺にとってはなんとも感慨深い言葉だった。


「これからもよろしくお願いいたします」


「ほほほ、こちらこそじゃ」


こうしてすっかりとお邪魔したお屋敷で過ごさせてもらい、帰るときにはすっかりと夕暮れとなってしまっていた。


「フェリおねえちゃん!また来てね!約束だよ!」


「はい、もちろんです」


わざわざ玄関にまでヘイゼンさんとアメリアちゃんに見送ってもらい、俺たちは屋敷から出た。


「これで顧客がついた。アイリスさんには頑張ってもらわないとな」


「はい、喜んでくれるといいですね」


一人の女性が自分の力で生きていけそうだと思うと、俺も微力を尽くせたようで嬉しかった。


俺たちは笑顔のまま、職人街へと戻って行くのだった。

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