表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ギリシャ神話と金の斧

作者: 砂虎
掲載日:2025/12/12

絵本でお馴染みの金の斧。その源流は古代ギリシャにあることを知っていましたか?

現代では川に落ちた斧を拾い上げるのは川の女神とされていますが

元々の配役はギリシャ神話に登場するいたずら好きの伝令神ヘルメスでした。


金の斧のお話から数ヶ月。

今日も川底で昼寝していたヘルメスはドボンっ!!という音で目を覚ましました。


「やれやれまたか。木こりのやつに金の斧をくれてやってからというもの

 二匹目のどじょうを狙う輩が増えて困ったものだ」


いつもならそう言って昼寝を再開するヘルメスでしたが今回の落とし物はいつもとは違っていました。

何と川に落ちてきたのは人間の女だったのです。


ヘルメスは驚き呆れながら川から飛び出し「落とし主」に声をかけました。


「そこの人間、女を川に落としたのはお前さんかい?」


男は突然のヘルメス神の登場に驚きながらも返事を返します。


「えぇ私が川に落としました」


「まったく欲深い男だなぁ。黒髪の女だけじゃ足りないと金髪の女と銀髪の女をよこせっていうのかい」


「失礼、それは一体どういう意味でしょうか?」


「とぼけるなよ。ここは有名な金の斧の舞台となった俺の川だ。

 自分が落としたのは金の女でも銀の女でもありませんと答えて女を3人に増やそうって狙いだろう?」


男はヘルメスの言葉にびっくりして大慌ててで否定します。


「と、とんでもありません。私はただ川にあの女を捨てに来ただけです。

 あれは私の女房なのですが結婚した日から朝から晩まで小言ばかり。

 どうにも耐えきれずに眠り薬を飲ませてここまで連れてきたというわけです」


「何だって?それは本当か」


「神に誓って本当のことです。きらきら輝く金の女だろうと月夜に煌めく銀の女だろうと女房はもう沢山です。

 今の私に必要なのは美しい女ではなくただ静寂と心の平穏なのです」


「なるほどなぁ。

 考えてみれば最高神であるゼウス様ですら奥方のヘラ様には苦労してるんだ。

 人間のお前が女房を手に負えないのも無理もない話かもしれないな」


「分かっていただけましたか」


「おうとも事情はよく理解した。だがお前さんの企みは失敗に終わったぜ」


「神に殺人を目撃された以上、覚悟は出来ております。

 慈悲が叶いますならば苦しみを長引かせることなく一撃で我が命をお奪い下さい」


頭を垂れて観念する男。

しかしヘルメスは笑ってそれを否定しました。


「お前さんの命なんていらねぇよ。そんなもの何の役にも立ちやしない」


「見逃して下さるのですか?」


ヘルメスはニヤリと笑って返します。


「それどころか褒美をやるぜ。何しろここは金の斧の舞台として有名な俺の川。

 正直者には三倍返しと相場が決まっているんだよ」



こうして男は三人の女房を家に連れて帰ることになりました。

もちろん三倍になった小言を右に左にと浴びせられながら。




古代ギリシャといえばギリシャ哲学が有名ですが

偉大な哲学者が大勢現れたのはこのヘルメスの川にあるのです。


どういうことかって?

複数の妻を同時に娶った伝承を持つソクラテスは弟子たちにこんな言葉を残しています。



「人はみな結婚をするべきだ。良い妻を持てば幸福になれる。

 悪い妻を持てば哲学者になれる。私のように」




おしまい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ