表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

愛の宣言

数秒だけ考えたあと、ユウキは深くため息をついた。


「……わかったよ。入るってば。」


勧誘してきた男子は、激安LEDみたいにピカッと輝いた。


「マジで!? よっしゃー! じゃあ今から皆に会いに行こうぜ!」


「え、今? なんでそんな急ぎ?」


「今は昼休みだぞ!? 告白→即失恋のゴールデンタイムだ! 逃したら損!」


ユウキは顔を手で覆った。


(……なんで俺の人生、こんなクエストみたいになってんの……)


それでも諦めたように頷く。


「どうせ断られるのわかってるし。さっさと終わらせるか。」


男は指差した。


「ターゲットその1、綾崎ユリだ!」


ユリは屋上の階段前にいた。

彼女へ向かう途中、【失恋同盟】の連中が忍者の真似事しながらついてきた。


もちろん、ユウキは即バレ。


振り返って片目をつむり、親指を立てる。


その瞬間、背後で爆発的ひそひそ声が飛ぶ。


「見た!? 今のタイミング!!」

「才能ありすぎだろ!!」

「失恋界の救世主きた!!」


屋上に着くと、ユウキは迷いゼロでユリに向き合った。


「綾崎ユリ。好きだ。付き合ってくれ。」


準備ゼロ。戦略ゼロ。勇気だけMAX。


ユリは数秒黙り、腕を組む。


「あなた、私に似合わないわ。最初からわかるでしょ? もちろん答えは――“無理”。」


ユウキは顔を上げた。


瞳がキラキラしていた。


ユリは思わず後ずさる。


「……は? なんでそんな目キラキラしてんの? 泣きそうなの? ほんとに男? 他の子もいっぱ――」


ユウキは全部無視して深くお辞儀した。


「ありがとうユリ! 一人目クリア!!」


「…………は?」


階下から轟く。


「ホォォォォレェェェェ!!」

「ユウキーー!! よくやった!!」

「新メンバー確定ぅぅ!!」


ユリの羞恥心は天井突破。


ユウキは堂々と屋上を去る。


男が肩を叩く。


「よし、次! 今日は歴史作るぞ!!」



---


空き教室では、如月マコがひとり勉強していた。


同盟メンバーはユウキを押し込む。


「ほら行け! 今日中に三人だ! 明日はパーティー!!」


ユウキは深呼吸。


「マコ! 好きです! 付き合ってください!」


マコは一瞬だけ視線を上げ、冷静に言った。


「あなたじゃ釣り合わないわ。私は今勉強中。邪魔。答えは“NO”。」


ユウキの顔がぱぁっと明るくなった。


「ありがとう!! 二人目ぇぇぇ!!」


扉の方へ叫ぶ。


「おーーい!! 聞こえた!? あと一人!!」


マコは真っ赤になってユウキを追い出した。


ひとりになった彼女はつぶやく。


「なんであんなに嬉しそうなの……? 私のこと嫌いなの……?」


遠くの廊下で、その様子を星川ミナが見ていた。


(ふふ……変わった人。)



---


授業前。

教室前でユウキはミナに声をかける。


「よ、ミナ。俺さ、変な同盟に入りたいんだよ。楽しそうだし。条件が“三人の人気女子にフラれること”。だからさ……放課後、空き教室で俺がお前に告白する。で、フッてくれ。」


ミナ「…………」


返事を待たず教室へ入るユウキ。



---


放課後。

二人は約束の空き教室に立つ。


静かで、夕陽が優しい。


ユウキは拳を握った。


「よし、早く終わらせよう。」


「ミナ! 好きだ! 付き合ってくれ!!」


ミナは柔らかく微笑む。


「……うん。いいよ。付き合お?」


――教室が凍りついた。


窓の外の同盟がガタガタ震える。


「はあぁぁ!??」

「裏切り!? 誰が!? 何が!?」

「ユウキィィィィ!!!」


ユウキは叫ぶ。


「なんでぇ!? さっき“フッてくれ”って言ったろ!!」


ミナは一歩近づく。


「聞こえてたよ。でも……あなたをもっと知りたい。興味あるの。」


「やめろぉ!! あと一人なんだ!! ミナぁ!! 断れぇ!! 今すぐ!!」


「嫌。」


同盟は涙の撤退。


「ユウキ……俺たちの希望だったのに……」

「さよなら……永遠の候補生……」


教室は夕日色の絶望で染まる。


ミナは笑顔。


「帰ろっか?」


ユウキは魂の抜けた声で。


「……はぁ……俺の失恋計画……終わった……」


でもミナは嬉しそうに横を歩く。


こうして――

失恋同盟に入りたかっただけの少年、タカムラ・ユウキは、

なぜか “人気女子のひとり” に本気で好かれてしまい、

人生の予定をすべてひっくり返されることになる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ