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吹かれる花弁
《吹かれる花弁》
風の音に吹かれて
散ってゆく花たち
私は気づかれないようにそっと貴方の顔を盗み見た
数年前の姿とはまるで違う青白い顔色に痩せ細った弱いからだ
ふと、私は貴方の姿を花に重ねた
私の視線に気づいた貴方は「涼しい季節になったわね」と寒そうに背中を丸めたけど
私はそんな貴方の姿が見てられなくて、そっと目をそらした
一度でも
貴方の命もあの花弁のように風に吹かれてしまうのか、なんて考えたら
背筋がぞっと寒くなった
ひゅうっと一吹き
たったそれだけの事で貴方の全てを持っていってしまうのか
そう思うと胸が苦しく悔しくなって、考える事をやめた
私たちが幾重にも重ねてきた色んな事が
そんな風に消えてしまうなんて
なんだか許せないと思った
でも、そんな事口に出してしまえば貴方は困ってしまうから
歯を食い縛るように私は耐えた