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エピソード その7
「へへっ、もうそろそろあの看護婦さんが来るころだから、俺は帰るぜ。あ、秋山さん。俺の病室は203号室さ」
「ふーん。お隣さんなんだね」
「ああ。あー、身体が鈍って仕方ねえぜ」
石谷くんはそういうと、松葉杖だというのに素早く白い階段を上がっていった。
「おっと、凄いね。石谷くん」
「じゃあな! あ、ヤベえ!」
「コラー、石谷くんは病室で大人しくしてなさい!!」
その後を、物凄い速さで一人の看護婦さんが追い掛けていった。ぼくはそれを見て、少し笑ってから再びビニール袋を持って、202号室へ向かった。
窓からの風が注ぐ202号室から、水面ちゃんの笑い声が聞こえて来た。