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エピソード その2
タクシーはよく知っている道路を走っているので、実家が近くなるほど。懐かしい気持ちが勝ってしまい。タクシーを少し停めてもらった。チュンチョンともう昼近くなのに、屋根の近くで雀や燕が鳴いている。それ以外は静かな実家になっていた。
何の気なしにタクシーの車窓から病院まで首をだしていた。ほとんど気にしてないけど、どうやら小雨が降り止んでいたようで、大きな虹が空を彩っているようだ。
近所の並びも4年前から変わっていなかった。そりゃそうかと一人合点する。4年で変わるものといったら、あまりない。
諫早図書館を通り過ぎ、八百屋の角を曲がると、大きな水谷総合病院の外観が見えてくる。受付で母の名を言い。病室を聞くと、ここから二階にある階段から右側のすぐそこの202号室と伝えられた。
「あ、珍しい……同室のようだわ」
「は?」
受付のもう一人に、急にパッと顔を明るくさせて笑顔を見合わせていた。
「あ、いっけない」
「うん?」
「お母様は……できれば病室にいる患者さんとは、取り分けて仲良くしてやってくださいね」
「はあ……わかりました」