13/14
君の横顔をよく知りたいんだ
「人はなんで幸せになろうとするのかな?」
注ぐような微風の屋上から階段を降りていたら、ぼくはふと思ったんだ。
「そりゃ、良い人生送りたいからだろ。誰だってどこかでイキがりたいんだよ?」
石谷くんが陽気に答えた。
「今更、イキがってもなあ……」
「へへっ、どっかにはあるって」
石谷くんは階段を松葉杖で器用に降りながら、笑いだした。ぼくは度々屋上へのドアを見てしまう。
何故か、そんな石谷くんを、ぼくとは対照的に見えた。
202号室まで石谷くんが、付いて来た。
病室の前に、綺麗な女の人が二人いる。
お互いに少し強めに話しているようだ。
石谷くんが、早速話し掛けた。
その女の人たちは、背が高く。
憂いを含んでいる横顔は、どこか二人とも水面ちゃんに面影が似ていた。