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エピソード その11
白い階段をこれでもかと急いで上がった。
屋上まで、走りに走る。
ようやく、屋上のドアが見えてきたので、開けると同時に走ってフェンスから飛び降りた。
猛風に煽られた落下の最中。
光輝く何かがぼくの傍で話し掛けた。
「君はもう助からない。けれども、彼女が助かる方法は、最初から一つだけあったんだ。その方法は、彼女が生き返るたった一つの方法だ。それは君の命に生まれ変わることだ。だから、君はこれからも生きていくことができるんだ」
急速に近づいてくるコンクリートの地面に、ぼくの身体は不思議と激突しなかったようだ……。