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エピソード その10
もはや、ぼくは彼女と一緒に最後までいるのが、人生の一部になってしまった。
そんなある日のことだ……。
202号室の病室で、水面ちゃんがぼくの目の前で急に倒れてしまった。
気がついたら、ぼくは急いでナースコールのボタンを連続で押していた。血相変えた看護婦さんと医者が飛んできた。
隣の203号室から石谷くんも騒ぎに駆けつけてくれていた。
「ご臨終です」
医者が静かに言った。
ぼくは驚くこともないし涙は出なかった。
急に水面ちゃんの元気というエネルギーが全てなくなって、水面ちゃんが倒れてしまって、たまたま医者がご臨終といって……。
ぼくは、この病院の屋上へと駆け出していた。
「あ! おい! 病院は走っちゃダメだろ」
石谷くんの声が背中に聞こえた。