おつかい
三題噺もどきーさんじゅう。
少女の話。
※赤ずきんのオマージュ???※
お題:不愉快・狼・色
木洩れ日踊る、森の中。
色とりどりの花が咲き、鳥が鳴き、動物達がざわめく森。
にぎやかな森の中を、1人の少女が、何もかもが不愉快だとでも言うように、歩いていた。
:
ザクザクザク―
(なんッで、いつも私なの!!)
私は、1人でおばあちゃんの家に向かっていた。
母にお使いを頼まれたのだ。
重たい荷物なんか私に渡して。
(何で、妹じゃなくて私なの!?)
私の、一つ下の妹。
私と違って、母そっくりのきれいな髪に、緑の瞳。
知らない人が見れば、お人形さんみたいだと褒めちぎるだろう。
そんな妹が、いたく可愛いようで。
母は、手元から離したくないのだそうだ。
だからお使いは、いつも私。
(おばあちゃんの家なんか、いきたくないのに!)
私は、おばあちゃんの事が嫌いだった。
(いっつも、お母さんの文句を私に言って、それが終わったと思ったら今度は、私のお説教!!)
何回聞けばいいのよ!―
今日だって、行きたくないって言ったのに私の話なんか聞こうともしなかった。
妹が新しい服を買いに行きたいと言っていたから、町にでも行くのだろう。
(お母さんもおばあちゃんも妹もみんな嫌い!!)
いつもと同じ道を行き、目の前に広がる花畑を目指す。
(あそこで、少し休憩しよう。)
色鮮やかな花畑。
いつもと同じ風景。
―が、そこにひとつ、花では有り得ない色をした者がうごめいていた。
(誰かいるのかな?)
不思議に思い、眺めていると、振り向いたソレと目があった。
狼―。
銀色の毛並みが光に反して輝いていた。
「狼さん、何をしているの?」
美しい毛並みに、誘われて、つい声をかけてしまった。
「友達を探しているんだ。」
襲われるのではと一瞬ヒヤリとしたが、あっさりと彼は答えた。
「お友達?それなら、私となりましょうよ。」
それに当たり前のように答えた自分にも驚いた。
狼とお友達だなんて―とても素敵じゃないか。
「本当!?」
彼は、つい先ほどまでの表情が嘘のように、明るく笑っていた。
「ええ、もちろん。」
私に初めて、お友達ができた日だった。
妹にも、母にも、もちろんおばあちゃんにも、こんな素敵な友達は居ないだろう…!!
その後、祖母にお菓子を渡して、新しい友達を紹介してあげた。
驚いた顔を見て、私はなんだが嬉しげな気持ちになった。
それから、狼とは毎日のように遊び、お使いがあるときは一緒にいった。
そのたび、おばあちゃんはびくびくしていたけれど。