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78.アンダーテイカーの手を借りなくたって

『シバ・ゼンタ LV20

 ネクロマンサー

 HP:105(MAX) 

 SP:72(MAX)

 Str:91

 Agi:72

 Dex:55 

 Int:1 

 Vit:62 

 Arm:57

 Res:28


 スキル

 【悪運】

 【血の簒奪】

 【補填】

 【SP常時回復】

 【隠密:LV3】

 【活性:LV2】

 【心血】

 【集中:LV2】

 クラススキル

 【武装:LV4】

 【召喚:LV4】

 【接触:LV2】

 【契約召喚】

 【血の喝采】』



 メイルとはまともに戦ってないが、インガのときと同じく強さに圧倒的な差があったからだろう、俺のレベルはまた上がっていた。


 これでとうとう20レベルだ。


 HPはついに三桁の大台に乗ったし、【武装】に次いでよく使う【召喚】という重要なスキルのLVも4になったぜ。



『選択可能:【ゾンビドッグ】

      【ボーンヴァルチャー】

      【コープスゴーレム】』



 一覧を確認してみると、呼び出せる魔物が一種類増えてた。

 今度はキョロあたりが変態するんじゃないかと予想してたんだが、見事に外れたな。


 んで、今回はゴーレムっすか。俺でも馴染みのあるやつが来たな。

 響きからして犬のゾンビや骨だけの鳥よりはれっきとしたモンスターって感じがするが、さてどんなもんか。



『【コープスゴーレム】:折り重なった死骸が自ずと動き出した命なき生命体。歪な身体でも役立てることは難しくない』



 説明を見たら、例のごとく若干気持ちを落ち込ませる文章があった。死骸が重なって動いてるって、おいおい。俺の中のゴーレムのイメージが音を立てて崩れてくんだが?


 どんな風に戦ってくれるのか知るためにも早いとこ呼び出してみたいではあるが、これ絶対見た目が超不気味なパターンだよな。


 じゃあ今召喚したら余計に引かれちまうことになるか……。


「何をしてるんだ? 早くネズミを退治しよう!」


 怖がられるのを悩んでると、まさにその悩みの種であるパーティのリーダー、ランドがそう言ってきた。


 アンダーテイカーとラステルズの二組は現在、川の横から下水道入りを果たそうとしているところだ。ネズミたちの本拠地へ攻め入る前にパーティ同士で最終確認を行ってる最中だったんだが、どうやら待たせちまってたみたいだな。


 画面を消してラステルズを見れば、ランドはもちろん、残る二人もやる気十分の表情をしている。それぞれいい顔付きじゃねえか。


 三人の中で一番背が低く、ローブを着て両手で杖を握っている女子がルーナ。

 反対に一番背が高く、細面で手足も長い戦士風の男子がステイン。

 そしてこちらも戦士っぽい風貌でパーティの中心にいるのがランドだ。


「俺たちが前を行くよ。それでいいんだよな?」


「ああ、倒せるだけ倒しながら進もう。向かって来るのは任せた。もし後ろから来たら俺たちが対処すっからよ」


「わかった」


 サーチ&デストロイな任務だ、前にいるほうがたくさんのネズミを倒せるってのは考えるまでもない。活躍したがってるラステルズからすればポジションに不満はねえだろう。


 俺たちとしても、ボパンに頼まれたのはこいつらの護衛なんだから、しんがりにつくことに思うところなんてない。


「よし、行くぞ!」

「うん!」

「ああ!」


 任務開始ということで一際張り切った様子を見せ、下水道へ侵入するラステルズ。

 それにアンダーテイカーも続くが、こっちのテンションはそこまででもなかった。


「あれ、メモリちゃん。雨合羽なんて持ってたんですね。青色がよく似合ってます! ……でも、なんで今着てるんですか? これから地下を行くんですから、雨になんて降られませんよ?」


「……下水の雨は、降るかもしれない」


「あっ、なるほど。戦闘で暴れたらそうなるかもですね。それは盲点でした……ということでゼンタさん! ここは一旦戻って私たちも雨合羽を買ってきませんか?」


「いやもういいだろ、ここまで来ちまってんだから。汚れたら『クリーン』でどうにかしようぜ」


 サラとメモリの呑気な会話に、背中越しにもランドとステインがイラついているのがわかる。わざとふざけているとか思われてっかもしれんな。だがそうじゃねえ、こっちはこれが素なんだよ。……それだと逆に酷いか?


「あ。い、いたよ」


 ただ一人気を散らさずに前方を注意していたルーナが最初に、先にある十字路の一角でたむろするネズミを発見した。


 三匹だけだが……ありゃ確かにデカいな。

 一般的に想像されるサイズよか二回りか三回りくらいは立派な体格をしてやがる。


 あんなのが下水道中に巣食ってるとしたら、住民から駆除の声が上がるのも当然だわな。


 ルーナが見つけたネズミたちはなにか話し合いでもしてるのか、固まったままでこちらに気付きもしなければ動きもしない。


 こいつは奇襲のチャンスだな!


「お前ら、こっからでもやれるか?」


「ルーナならできる。な?」


「う、うん。やってみる」


 距離があるんでまだ見つかってないが、これ以上近づこうとすればたぶんネズミたちもこちらに気付く。それで向かってくるならいいが逃げられたら面倒だ。地上へ行かれるのもそうだが、他のネズミへ伝令を走らされたら駆除の難度が上がっちまう。


 アンクルガイストを駆逐したときと同じように、はぐれから丁寧に狩っていくのが後々の楽に繋がるってこったな。


 それがわかってるからこそ、ラステルズもまずは飛び道具を繰り出すんだ。


「火魔法『フレイムアロー』」


 ふー、と集中するように一度深呼吸を挟んだあと、ルーナの杖の先から燃え上がった火が矢の形となって飛んでいった。


 メモリがやった闇の魔力の矢にそっくりだな。

 まんまその火属性バージョンか? 


 弓を使ってないぶんメモリのそれよりは遅いが、それでもけっこうな勢いで下水道の中を翔け抜けて火の矢は着弾。ネズミたちの中心に落ちて、広がった火が三匹をまとめて焼いた。


 ギィイイイッ、と燃やされて苦しむ鳴き声がしたがそれもすぐにやんだ。火力は十分なようで、ネズミたちが下水へと飛び込む間も与えずに焼死させたのだ。……さらっとやってるがなかなかエグい殺し方だな、これ。


「「「ギキキィイィィィイィィッ!」」」


 よくやったぞ、とランドがルーナを褒める声をかき消すように、突如として複数の激しい鳴き声が地下の水道に響いた。


「な、なんだっ?」

「うっ、見ろ! 他にもネズミが潜んでいたんだ!」

「すごい数だよ……!」


 どうやら見えてた三匹以外にもすぐ近くに仲間たちがいたようだ。壁の穴や十字路の左右から、あの三匹同様大きくなりすぎたネズミたちがわんさかと顔を出して、こちらへと駆けてきた!


 仲間を殺ったのが俺たちだって、きちんと認識してやがるみてえだな……!


「全部向かって来るなら好都合じゃねえか。やっちまえよ、ラステルズ!」


「そ、そうだな……よし! いつも通りの陣形でやるぞっ!」

「了解だ、背中は任せてくれランド。ルーナも援護を」

「う、うん!」


 真っ先に飛び出したランドは、体に何かを纏うことでパワーを上げているようだった。両手剣を振り回し、ズバズバとネズミたちを切り伏せていく。ありゃ身体強化の魔法なんだろうか?


 ステインはそんなランドの補助役をしている。討ち漏らしのネズミへスローイングナイフを的確に当てて殺し、括りつけた糸でそれを素早く回収してまた投げる。他にも腰に短剣を提げているがここで抜く気はなさそうだ。


 体を張っている二人を魔法で助けているのがルーナだ。ランドに群がるネズミの数を予め火の矢で減らし、稀に下水を泳いで近づこうとしてくるネズミも見逃さず事前に撃ったり、ステインに知らせて処理させている。


 前衛に近距離のランドと近、中距離のステイン。後衛に指示役も兼ねた遠距離担当のルーナ。


 これがラステルズの戦闘スタイルか……バランスは良さげに思えるし、連携も取れている。このぶんなら心配はなさそうだな?


 そう考えた通り、ラステルズは危なげなく襲ってきたネズミたちを全処理してみせた。


「よし、倒し切ったぞ! この調子でいこう! アンダーテイカーの手を借りなくたって、俺たちならできるってことを証明するんだ!」


「ああ、当然のことだな」


「だ、だから二人とも……」


 いちいち自分らの力をアピールしてくるのはちとアレだが、まあ自信を抱くだけの実力はあるよな。これなら本当に俺たちは何もしなくていいかもしれん。


 ――なんていう考え方はフラグ以外の何物でもなかったと、このあとすぐに俺は知ることになる。


『シバ・ゼンタ LV18+2

 ネクロマンサー

 HP:96+9

 SP:64+8

 Str:81+10

 Agi:65+7

 Dex:47+8

 Int:1+0

 Vit:56+6

 Arm:53+4

 Res:22+6


 スキル

 【悪運】

 【血の簒奪】

 【補填】

 【SP常時回復】

 【隠密:LV3】

 【活性:LV2】

 【心血】

 【集中:LV1】+1

 クラススキル

 【武装:LV4】

 【召喚:LV3】+1

 【接触:LV2】

 【契約召喚】

 【血の喝采】』


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