表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/557

62.賢さ1

 カスカのおかげで俺たちの冒険者ランクがまた一個上がった。


 こうなるとますます決闘の勝ちを譲られた感が強くなるが、もうそこは気にしないことにするぜ。


 勝って困ることはない。

 むしろ良いこと尽くめなんだからな。


 というわけで俺は勝利を受け入れて、カスカからの勝利報酬である来訪者についてのレクチャーを受けることになった。サラとメモリは聞いてもわからんことなんで、組合の広間のほうで待ってもらってる。



『シロハネ・カスカ LV23

 エンジェル

 HP:85(MAX) 

 SP:72(MAX)

 MP:68(MAX)

 Str:65

 Agi:68

 Dex:61 

 Int:63

 Vit:50

 Arm:50

 Res:35』



 ――俺にはステータスの見方ってのがわからん。


 という話を最初にすると、まずはそこから教えてもらえることになった。わかりやすくするために、互いにステータス画面を見せ合う。本人が許せば他人にも画面をそのまま見せることができるのか……それすらも知らなかったぜ。ただし来訪者同士でしか見ることはできないらしいけどな。


 んで、カスカのステータスを見て、俺なりに思うことは色々とあった。


 レベルが開いてる割には数値にそこまで差がないな、とか。

 HPとStrはむしろ俺のほうが勝ってるな、とか。

 俺と比べて全体的にバランスがいいな、とか。


 まーそういう感想諸々を全部ひっくるめても、ある一点から受けた衝撃のほうが上回ったがな!


「おいおい、まったく見覚えのないもんがあるんですけど? MPってなんだコラ。これどー見てもマジックポイントだろ。なんでそんなもんがあんだよ、オイ」


 そういやこいつ、決闘でもしれっと魔法を使ってやがったな。戦ってる最中は疑問にも思わなかった……つかそんな余裕もなかったが、よくよく考えるとおかしいじゃねえか。


 俺にゃSPしかねえってのに、なんで当然みてーにMPを持ってんだ?


 ステータスを確認していたカスカは俺の問いに「私こそ意外よ」と少し引いた感じで言った。


「ネクロマンサーって、術師でしょ? なのにMPがないってどういうこと?」


「こっちが聞きてえわ」


「……天満くんもMPがなかったのよね。あれはメテオライダーなんていう特殊な職業クラスだからだろうと思ってたんだけど、もしかしたら原因は違うのかも。職業クラス以上に、本人の素養が深くステータスに反映されているのかもしれないわね」


「俺には魔法の素養がないってか?」


「だってあんた、Intが1しかないし。ちなみにこれ、ゲームでは賢さとかを表すものよ」


「……ハヤテは?」


「5だったわ」


 負けた! 天満ハヤテは俺と同じく、勉強はからっきしなタイプだった。それでも俺と比べればマシな成績ではあったんでこの差は当然かもしれんが……だが納得いかん! 賢さが1ってどういうこった! 誰が勝手にそんな数値化をしてんだ!


「さてね。どうやって職業クラスが割り当てられてるのかも不明だし、そこは考えたってしかたないけど……とにかく、来訪者と言ってもそれぞれかなり違いがあるってことよね」


「魔法ありと魔法なしじゃあ、魔法ありのほうが断然いいよな」


「まあ、単純にSP以外の攻撃手段があるっていうのは優れた点よね。手数でも、手札の意味でも。だけどその代わり、ステータスの伸びが天満くんやあんたと比べて悪いというか、遅い気がするわ。MPとIntを切り捨ててるぶん、あんたたちは他のステータスの成長がいいのかもしれないわよ」


 そう言われて、改めてカスカの数値を見るが……確かにバランスがいい代わりに、どこか特に伸びてる部分ってのはないな。


 それを欠点のない長所と取るか、これといった武器のない短所と取るかは人によるだろうが。


「賢さ1かぁ……それじゃ魔法を使えないのも仕方ねーわな。魔法使いとかってゲームとかでも頭がよくねーと務まらん感じあるしよ。で、Intについてはわかったが、他のは何を表したものなんだ?」


「……ゲームごとに同じ言葉でも意味合いが微妙に変わっていたりするから、あくまで参考程度に聞いてちょうだい。私と委員長が出した結論は――」


 HPはヒットポイント。

 SPはスキルポイント。

 MPはマジックポイント。

 Strはストレングス、力。

 Agiはアジリティ、敏捷性。

 Dexはデックスタリティ、器用さ。

 Intはインテリジェンス、賢さ。

 Vitはヴァイタリティ、生命力。

 Armはアーマー、防御力。

 Resはレジスタンス、抵抗力。


「というところね。何か気になるところは?」


「気になるっつーか……違いがわからんものがあるな。HPとVitの違いはなんだ?」


「HPは体力で、Vitはそれが削られるときに参照されるものよ。あんた自身の生命力と、装備や行動による防御力。それらが受けるダメージを軽減して、HPを守ってくれるの。同じ一撃でも寝ている無防備な状態と、きちんとガードしたときじゃあ、HPの減り方がまったく違うわ。ゲームみたいなシステムとはいえ、そこは現実とも一緒よね」


 ほうほう……よくはわからんが、VitとArmはHPを守るためのもんだってことだな。


 そう理解する俺に、カスカはResもそうだと言ってきた。


「抵抗力。これはモンスターが使ってくる能力や、魔法の属性攻撃に対してどれだけ抵抗できるかを示しているの。この数値が高いほど、例えば火炎魔法を受けても火のダメージを減少できるし、状態異常にもなりづらくなる」


「はーん。『やけど』とか『まひ』になりにくいってことか」


「それで間違っていないわ。もうちょっと込み入っているけどね」


 他にも、カスカは細かくステータスについて講義をしてくれた。


 Dexってのは物作りとかに活かされるもんだが、戦闘においても命中率とかクリティカルヒットの確率、果ては回避率にも影響することのある意味の幅が広いものだとか。


 それとは逆にStrは単純明快、筋力そのままを表しており、近接攻撃の強力さ以外に意味はないのだとか……HPの次にStrが一番伸びてる俺にとってはちょいと残念な事実も語ってくれたぜ。


「Strとかとは違って、後ろ三つのステータスは育ちにくい。あんたも私も他の数値と比べて低いでしょ? ……Intはこの際無視しなさいよ、話が進まないわ。何故なのか考えてみたけど、おそらくこの三つは他のステータスの値によって成長率が決まるんじゃないかしら。HPとStrが高いあんたが、VitやArmも高くなるのは感覚的に理解しやすいわ。反対にHPとStrが低めの私は、VitとArmもそれなりにしか伸びてない。だからレベル23と16の開きほど、ステータス上での開きはない……そう思うんだけど、どう?」


 他にもResがIntを参照しているんじゃないかとか、あるいはここだけは職業クラス次第で決まっている可能性もあるとかカスカがつらつらと述べるので、俺はとりあえず頷いておいた。


「おう、そうなんじゃねーか?」


「あんたねぇ、考えるの面倒になってるでしょ」


「いや適当に言ってんじゃねえよ。話を聞くに俺もそのどっちかだろうと思ったんだよ」


「本当かしら……。ま、いいわ。次に、ステータスに出ないステータスについてね」


「は?」


 さすがにそれには反応せざるを得なかった。


 ステータスに出ないステータスだと? 

 なんだよその矛盾したものは。


「Str以下の基本ステータスに、Vit以下の特殊ステータス。そして、それらに含まれない隠しステータス……があるんじゃないかと私は踏んでいる。これは推理というより、ないとおかしいからっていう理屈だけどね」


「そりゃいったいどんな?」


「魔法だけじゃなく、スキルに対する抵抗値だとか。本来の意味での体力、つまりは疲労度の存在とか。ステータスには出ていないけど、確実にこれらは人によって差があるはずでしょう?」


「あー、確かにそうだな」


 さっきの決闘の一場面、同時に同じスキルを使った際のことを思い出す。

 【接触】の効力の強さが違ったこと自体はスキルLVの差であるとしても、俺があっという間にその効力を振り払ったことへの説明にはならない……これは抵抗力の差があったと見たほうがすっきりする。


 同じように、俺も常々感じていた疲労度の存在。

 これを示すステータスこそないが、疲れている状態だとたとえStrがいくつであってもその数値通りのパワーを発揮することはできない。


 ゲームっぽいシステムに従ってはいても、俺たちはゲームキャラではねえからな。


 寝てるときがどうしても無防備だってのと似た理屈で、いつでもステータスに見合った活躍ができるとは限らないってこったな。


「他にも幸運値ラックだとか精神力マインドだとか、他のゲームでありがちなものがここでは隠しステータスの範囲になってる気がするのよね。確証はないけど、心証としてはかなり黒よ」


 と、そこで一旦ステータスの話は一区切りとして。


「次はスキルに関する基本事項を教えるわ」


 ……カスカ先生の講義はまだ終わりそうになかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ