第13話 私の目指す世界の為1
空は一面雲に覆われ、冬の近づくこの頃としてはあまり良くは思われない天気である。ミニ氷河期とも言われる期間の最中なのだから尚更寒くて凍える。
イヴの予感は的中した。イヴが施設へ戻って三日目のその日、ルベルクスが肉を携えて1人森の中を歩いて訪ねてきた。
「寒い中遥々いらっしゃい、ちょうどスープを作り終えたところなの。どうぞ上がって?」
その長い髪を後ろで纏め、ポニーテールにしたエプロン姿のイヴが彼を施設へ迎え入れる。
方向音痴であるルベルクスが施設へ迷うことなく到着出来たのは、イヴが帰り際に1本の道を拓いたからである。
「では、お邪魔します。」
彼がここへ入るのは2度目の事であるが今回はむさ苦しいアダムではなく愛くるしいイヴに迎えられる。これはある種の至福シチュエーションだ。
「アダムが貴族を殺して大パニックになったって、辺りで正解よね?」
テーブルにコンソメスープの入ったカップを起きながらイヴがそう訊ねる。
「はい、案の定そうなりました。連日兵士が押し寄せ、それをアダムさんが弄ぶ。今のところそのような構図です。」
「まさか本当に貴族にまで手を上げてしまうだなんてね······どうせ食事についてか礼儀についてか信仰についてでしょう。そういえば、貴方はアダムに何か言われた?例えば信仰だとか」
「ええ、その通り信仰について色々言われましたよ。」
「念の為に言っておくけれど、アレの言う事はあまり信用しなくていいわ。アレは私以外の人と接した期間が非常に短いの。だからアレの思想は全て自己完結、しかも他人にもその思想を持つように促す。そして従わない者は目の前から消し去る。まぁ、この様に討伐される理由としてもこれだけで充分足るものでしょう?」
黎明期編はそろそろフィナーレを迎えるのですが、ストレスで集中が続かないので一旦途中切りします。申し訳ない