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新延長:avenir or cmeptb  作者: 依冬×夜霧 裕
黎明期編
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第11話 異端4

「閑話としてこの事件の犯人の話でもしてあげましょう」


パンを平らげたイヴはそう口を開く。


「それにしてもイヴ様って何故この事件の真相ご分かったのですか?もしかして貴女が黒幕だったり?」

「黒幕?ないない有り得ないわ。私はただの未来人、要するに今日この日この事件と関連のありそうな事象をたまたま偶然覚えていたってだけよ」

「未来人?おったまげた。イヴ様ってUFOにでも乗って火星からやってきたとでも言うのですか?」

「まぁ似たようなものね。ただ1つ言えるとすれば、私はUFOもタイムマシンも何一つ使っていないってこと。どうして今更になってこの時代この場所へ飛ばされたか本当に謎だわ。オマケに施設丸ごと森に飛んでしまうだなんて。」

「飛ばされた時の状況をお伺いしても?」

「構わないけれど?あの時はそうね、私の虫の報せがアダムの接近を予見したの。だから自室に篭っているとアダムが地震を起こして、私は上からの落下物で気絶。そして目が覚めるとこの通り。」

「などと犯人は供述しております裁判長のパン屋の旦那」

「気絶していたらいつの間にかタイムリープ?そんな言い訳が通用するわけなかろう!被告人はもっと俺のパンを買えの刑に処す!」

「そ、そんな馬鹿な!裁判長!私は無罪です!信じてください!」

「ええい構わん!者共!さっさとその女の金の延べ棒を俺に差し出せい!」

「なにを!ならば貴様ら!この紋所が目に入らぬか!」


ふざけた連中がイヴに掴みかかろうとしたその時イヴの必殺投げキッスが振る舞われる。効果抜群だ。


「ぐっふぅ、ひ、卑怯だぞ······」

「なによ、勝った方が正義、負けた方が悪でしょ?」


大衆がまた静かに戻るのを待ったイヴはようやく話を始める。


「たぶん今から数年前のことになるのでしょう、月の裏にある都市゛ムーン゛の人が定期諜報としてこの辺で調査をしていたの。調査が終わって皆は揃って帰ったのだと思ったけど、1人だけ影の薄い子が地上に取り残されていたの。そこでその子はこう思ったの『次の調査は数年後の筈。俺には妻もまだ小さな子もいるのにそんな長い時間放っておくなんてできない!』って。そこで彼は機械で異変を起こせば宙の連中が気づいてくれるんじゃないかって考えたの。そして、調査の拠点だった場所に篭った彼は様々な方法を試すがどれも失敗に終わります。諦めきった彼は表で行商を開き、自分の作った機械を売ることにしました。そしたらなんと、それがムーンの人間の目に留まり、彼は帰還する事が出来ました。めでたしめでたし」

「いい話ですね〜、まるで信じられませんけど」

「ところがどっこい、この話には続きがあるの。帰還した彼を待ち受けていたのはなんと司法裁判所だったのです。そして彼は地上に過度に干渉しすぎた罪で死刑となってしまったのでした。おしまい。」


辺り一帯に暗い空気が漂い始めた。めでたしめでたし。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




「はん、ここがイヴの言ってた空き地ってやつか。んで?ここをぶっ潰せばいいんだっけな。ちょっと向こう行っとけよ小僧······」


着地してから森を歩くこと1分ルベルクスとアダムは空き地へと辿り着く。手でシッシとジェスチャーしながらそういうアダムに対し無言で距離をオーバーに取るルベルクス。そしてアダムは片脚を高く上げ、


「よっこら······せっっっっ!!!!」


ズゴーン。わー凄い。アダムの踵落としは百万馬力なんですね。


「おら小僧、いつまでも突っ立ってないでさっさとこっち来い!」

「は、はい!ちょっと待ってください!」


空き地のド真ん中に現れた狭そうな階段に入ろうとするアダムの言葉に、離れすぎてスタミナが少しキツいルベルクスが小走りしながら応える。


「階段···思ったより長いですね。」


螺旋状となっている階段を降っている最中に軽い愚痴を零すルベルクス。


「そうでもねぇぜ?そら、もう着く」


するとアダムの言った通り青い光が下から強くなって行く。そして開けた場所に出たと思ったら痩せこけた男性が何かを両手で構えていて······


「到着だ。で?そりゃあ何の真似だぁ?ガリガリ野郎」

「それはこっちの台詞だ!正規でもない入り方しやがって!お前もしやアトランティスの刺客だな!?そうだ、そうでないと有り得ない!バリアも成功していたんだ!ムーンを除いてこんな芸当ができるのはアイツらの他にいない!」

「アトランティス?知らねぇ名前だな、だが似たようなもんだと俺様ぁエデンのもんだ。分かったらさっさと銃を下ろしな。」

「五月蝿い!どうせ俺の事を消しにでも来たんだろ!だったら俺からの返事は1つだけだ!死ねぇ!!」


ガリガリの構えていた銃からレーザー光線がアダムに向かって飛び出る。範囲は狭いが威力は高い。ともいえど、そもそも銃というものを初めて見たルベルクスからすればとんだオーバーテクノロジーウェポンである。既に部屋の隅へ避難していたルベルクスはそのお陰でじっくりとその光景を目に焼き付けてしまっていた。


「こっちも、話が早くて助かんよ!」


撃たれる瞬間右へ身体をズラしたアダムの左腕が飛んだのを見て、そう口に出すアダム。

そして次の瞬間全ては終わっていた。部屋はトマト塗れとなり機械類は全て破損、ミッションコンプリートである。


「あっ、アダムさん、左腕が······」


状況認識が終わったルベルクスの最初の感想がこれである。1日で随分トマトに慣れたものだ。当時トマトはアメリカ産の毒物であると思われていたのに。


「あぁ、安心しろ。すぐ引っ付いて回復する。」


そう言うなりアダムの左腕がピチピチ動いたかと思うとそのまま断面へと飛び付き、何事も無かったかのように元通りとなった。


「ええっ、な、なんなんですかその腕!」

「あー、カンタンに言うと再生能力ってやつだ。わかりやすくていいだろ?」


ルベルクスは、アダムについてはスルースキルをフル稼働するとそう思ったのであった。

頭がスッキリしない悲しい

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