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電柱

作者: 我龍

気持ちのいい朝、今日は仕事も休み、何をしようか・・

こんな事を日曜日の朝5時頃、布団の中でぼんやり考えていた。


「ドライブ!」いや・・・こんな朝っぱらから一人はつらい、友達も迷惑だろうし・・でもせっかく早く起きた事だし「散歩!」

これなら金もかからないしいいかもな、決まりだ!


最近この町に越して来てまだこの辺りの地理もよく分からないし、散歩がてら散策してみるか!


ようやく今日の目的が決まった、布団から出て準備も万全で家を出たのが、朝7時・・結局2時間も「ウダウダ」してしまった。


よ〜し行くぞ!

外はお散歩日和だった、さてどっち方面に向うかなぁとりあえず駅だな駅!


と、言う事で俺は駅方面を目指した。


俺のアパートから駅までは結構歩く、だいたい30分位、山道が多くアップダウンがものすごい、歩きだしてものの10分で「ハァハァ」「ゼエゼエ」情けない・・・三十代後半、運動不足、ビールっ腹・・よし!

今日はトコトン散歩だ!


訳の分からない勢いで駅に着いた、この辺りは田舎なせいか駅の周りには小さな商店街、少し行くと空き地と公園あとは、のどかな田園風景が広がっていた。


俺は、まぁまぁ都会からこっちの方に引っ越して来たんだけど正直「田舎最高!」何か自然な感じが心地よかった。


確かに何も無いって言ったら無いんだけど、俺は逆に何でも有りすぎるのも嫌だったからむしろよかった。

こんな事を考えながらひたすら歩いた。


朝、家を出る時に持って来たうめぼし入りジャンボおにぎりをどこで食べようかと言う事も考えながら一本道を歩いていると、小さなバス停を発見した。


よし!ここで昼にしよう、ベンチもあるし腹もペコペコだ、時計に目をやるともう12時をとっくに回っていた。


ベンチに腰掛け、ジャンボおにぎりとお新香を、もの凄い勢いで食べ、買って来たペットボトルのお茶を一気に流し込んで一言

「うめぇぇぇ!」思わず絶叫してしまった。


新しい土地、新しい風景、散歩の後のおにぎり・・・これは絶叫するでしょ?

周りに人はいなかったけどちょっと恥ずかしくなった。

さあ、腹も一杯になったし散歩の再開また一本道をひたすら進む、しばらく進むと道が途中から二つに分かれた。


そのまま直進と、右に細い道、細い道の方は行き止まりの可能性大!

だったが、その時一本の不思議な電柱が目の前にあった。

何が不思議かと言うと、普通電柱は真っ直ぐ上に伸びてるのが普通「俺の中では多分?」なのだが、その電柱先が、「く」の字に曲がっているのだ。


俺は直感で「こっちだ!」迷うことなく右の細い道の方に進んだ、何だかワクワクしてきた、ただの一本道だったからかもしれないがあの「く」の字の電柱・・絶対右に行けと言ってる、そんな気がして細い道を突き進んだ、もうどれ位歩いただろうか時計の針は、夕方の5時近くを指していた。

明日は仕事、来た道を引き返すか・・このまま進むか・・迷った。


疲れはなかった、むしろ心地いい、もう少し歩いて何も無かったら帰ろうそんな事を思いながら歩いた。


辺りは次第に暗くなってちょっとこころ細くなった。

明かりと言えば空に月明かり位しかなく辺りに民家などもなかった。


腹も減って来たし引き返すかと思った時、遠くの方で薄ら光が見えた。


随分下の方で光ってるように感じた。

「何だろう」そんな事を思いながら光の方に進んでいた。

近づくにつれてその正体が分かった、電柱だ!正確には外灯何だけど下の方で光ってる風に感じたのはあの「く」の字の電柱だった。

さっきのよりも曲がってるように思えた。

「木」で出来ている電柱だから曲がったのかな?

何かお辞儀をしてるようにも見えて可愛くも見えた。

いつもこうしてなるべく道に近く、なるべく明るくなるように照らしているんだな「ありがとう」素直に思えた。

それから結局、「く」の字の電柱に見送られながら元来た道を引き返した。


家路に着く頃には日付も変わり、あと数時間で仕事

この地に越して来てよかった、新しい生活もがんばれそうだ、もし辛い事や悲しい事があったらまた「く」の字の電柱に会いに行こう 「いつもありがとう」


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