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裏表裁判  作者: 花南
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04

 生徒会裁判の記事が新聞に載ったのを見てから玉木は満足げに言った。

「ほら、私の言ったとおり……めちゃくちゃになった」

「玉木、あんたねえ」

 邪笑を浮かべる玉木を気持ち悪そうに海馬は見た。

「本当に生徒会とか、裁判とか、部活とか、未来とか、あんたどうでもよかったのね」

「どうでもいいじゃない。私は私がやりたいようにやったまでだもん。これで完璧、陸と佐々木はおしまい、と」

 大きく×をふたりの上に書く玉木のペンを取り上げて海馬は玉木の名前のところにも斜線をひいた。

「あんたもおしまいよ!」

「うん。私は別に落ちていいんだもん。でも私はもっといいものが落ちてくる。お金よ。やっぱ持つべきものはお金持ちの知り合いよね~。それに私の部活を潰そうとする人もいなくなったし、一件落着」

 玉木は心底嬉しそうである。

 海馬は気になった。誰が玉木に金を渡してまで陸を潰そうとしたのだろうか。普通に残ったのは佐藤と千早。しかし安易にそのふたりのうちのどちらかが考えたとも考えにくい。なにせこの学校はモラルがない。どこで誰が、誰を貶めようとしているかがわからないのである。


◆◇◆◇

 結局選挙での結果は、佐藤が会長、千早が副会長となった。

 会長になった人が残りの生徒会のメンバーを選ぶ。通常は立候補の中から選ぶものだが、佐藤は玉木と佐々木と陸をいれなかった。

「佐藤くんおめでとう、千早もごくろうさま。いやあ、一時はどうなるかとハラハラしちゃったよ」

 生徒会交流で晴嵐高校の顔合わせのときに馴れ馴れしい男がいた。

「どう、佐藤くん。会長の椅子って気持ちがいいだろう?」

 同意を求めるようなその男の手を振り払って佐藤は睨みつけた。

「これで、父が刑務所にいることをばらさないんだろうな?」

「ああ、君が俺の言うとおりに動いてくれるんだったらね」

 男は幽婉と笑む。千早のほうをちらりと見て

「変な真似しようと思わないほうがいいよ。隣には俺の彼女がいるからね。さてと、次に君にとってもらう行動は……どうしようかな~」

 佐藤は玉木をさしむけて佐々木と陸を落としたのはこの男だと確信した。証拠はなかったが、この男ならばやりかねない。

 男は言った。

「もっともっと、部活を増やしてほしい。もっと金を動かしてほしい。もっともっと馬鹿な生徒が入ってきてほしい。自由な学校と見せかけて、無法地帯と見せかけて、実は法則があるんだよ?」

「あんた、うちの学校をどうする気だ?」

 拳の震えを押さえるようにして佐藤は聞いた。男はへらりと笑う。

「俺は何も。俺の役目はあんたたち生徒会を見張っているだけだよ」

 この男さえもを動かしている黒幕がいる。佐藤は考えた。生徒会長を見張る必要のある役職を。この学校はどうなろうとしているんだと。


 佐藤の生徒会はそれから二回ほど解散選挙が行われた。一度目は次第と言うことを聞かなくなってきた他の生徒会メンバーを総入れ替えするために、二度目は生徒会の汚職を洗うために不信任決議がでたからである。両方とも難色を示しながらも佐藤は生徒会長の座を守りとおした。

 当然だ。自分はこの席から降りるわけにはいかなかった。父親のことを近所にばらすという脅しは痛かった。ただそれだけの事実だというのに、それに尾びれ背びれがつくということが父の威厳を貶めるような気がしてならなかった。

 何より、この学校の大きな陰謀を止めなければいけないという使命感のようなものがあった。自分がここで逃げたとしても、次の犠牲者、次の犠牲者と誰かがスケープゴートにされるだけだ。まだ降りてはいけない、もっと強い明確な意思の持ち主の、次世代を担える人を見つけるまでは自分はこの場から逃げてはいけない。

「でもさ、甲斐…」

 もう少しで任期が終わるという頃、佐藤の自宅に遊びにきた森下は言った。

「親父さんってたしか酔っ払ってうっかり傷害罪で捕まっちゃったってだけだろう? まあ相手の傷も深かったけれど殺したわけではないし、数年もすれば戻ってくる。そのとき、お前はどうするつもりなわけ? 『お父さんのせいで俺は一年もの間、傀儡として脅されていた』なんて言うつもりじゃあないだろうね? 自慢の息子がそんなんじゃあ親父さんだって泣けてくるよ」

「じゃあどうしろっていうんだ? ここらへんはお前の住んでいるところと違って、地域密着型だから、情報が伝わるのは早いぞ? 酔っ払って、というのが抜けて傷害罪で捕まった……だけだったら近所は何を勘繰ってくるかわかんないじゃあないか」

「尾びれ背びれつく前にこっちがばらしちゃうって手は? あまり痛手にならずにすむかも」

「……母さんが、嫌がるだろう」

 その言葉に森下は黙った。佐藤自身は父親が捕まったことなんてどうでもいいのかもしれない。問題は、母親がそれを隠したいと思っていることや、息子には立派であってもらいたいと思っていること。

 生徒会長になったと聞いたときに「お前は立派だね」と泣いた母親のことを思い出して佐藤は踏み切れずにいるのだ。

 煙草を空のコーラの缶に押し付けながら森下は言った。

「でもいいわけ? 甲斐は立派な息子を演じているけれども、それって苦しくない?」

「何が言いたいんだよ?」

「お前の人生生きてないって言ってるんだよ。親にできることってのは真当な人生の筋道を子供に残すことじゃあない、子供がどんなところでも生き残っていく力をつけてやることだろ? お前は親に夢を見せているだけで、自分が如何に生きたいかのヴィジョンがまったく見えてこない」

 そこまで正論めいたことを言ったあとにもう一本コーラを開けながら森下は言った。

「って言っても……それは僕が自由な環境に生まれたからかもしれないけれど。僕は甲斐に何も言う資格ないんだ」

「……なぁ、透」

 名前を呼ばれて森下は顔をあげる。

「次の選挙で秋野千早を生徒会から排除しよう。知恵かせよ」

「……いいの?」

 確かめるように聞き返す森下に佐藤は大きく頷いた。

「お前今言ったよな? 次世代に伝えるべきは約束された未来ではなく生きていく力だって」

 それはなにも親子の間だけではない。学校の未来と次の生徒たちにも言えることじゃあないだろうか。佐藤は強い意志を宿した目で言った。

「この陰謀に終止符を打つのが誰になるかわからないが、俺だって布石くらいにはなれる」



◆◇◆◇

 二年生になった。戸浪は千早とクラスが分かれて、話すこともあまりなくなった。だが、そんなもんだろうと思う。もともとふたりはたまたま近いところにいたというだけであって、何の関連性もなく、離れていけばまた離れていっただけでそれぞれの道を歩むだけだ。

 千早が副会長になってからは部活動の動きが活発になって、晴嵐高校との交流もめまぐるしくなっていった。部活はどんどん分裂派生していき、生徒もまたどんどん個性派ぞろいになっていく。よもや教師は勉強だけを教える存在となっていた。

 聖と八月朔日は年功序列にのっとり河野を部長に、松山を副部長に任命して、「みんなで仲好くやっていくように」と言い残して卒業した。その言葉どおり、裁判部はなんだかんだ言いながらも誰ものけ者にされることなく和気藹々とやっている。新一年生に五十嵐と太田と山住も入ってきて、陸が「全体的に質が落ちた」と言っていたが、もともと討論が好きで入ってきたわけではないので、楽しくやっていけるならそれでもいいと戸浪は楽観視していた。

「五十嵐くんはー、ともかくーはしゃぎたいんですよねぇ」

「太田はそれを見て楽しいと思っているよね」

「なんだ山住だめじゃないのよ」

 裁判部の看板弁護士となった陸、森下、海馬、空乃がオセロをしながら会話をしていた。

「というか、山住はかなりの勢いで太田目当てだよな?」

「でもって五十嵐と太田がはっちゃけて楽しそうだから遅れをとるまいとして変な写真しか撮ってこないわけね」

「裁判じゃあ山住が一番マシっぽいんだけど写真がねぇ」

「どう思うー? 戸浪ぃー」

 前の裁判の資料をまとめていた戸浪に声がかかる。戸浪は淡々と仕事をすすめながら

「三人ともくだらない罰ゲームはしないからいいと思います」

 と言った。

「まだしてないだけよ。あの三人、絶対もっとくだらないことするわ」

「楽しみですねぇ~」

 たしかに陸の言っているとおり、裁判部の質は年々下がっていっているようだ。森下の姉、聖がこの事態を見たら眉間に皺を何本寄せるか、卒業した先輩のことを少し考えた。

「質が悪いと思うなら、叩き込めばいいじゃあないですか」

「うわ、戸浪、はっきり言うわねー! 陸でもないのに」

 滅多に物事をはっきり言わない戸浪に海馬が驚いたように言った。

「自分は別に、思ったことを言ったまでですから」

「じゃあ、じゃあ、みゅーは太田さんに髪の毛をひっつめて威嚇することを教えますぅ」

「広島弁より津軽弁じゃあない?」

「陸、津軽弁マジわかんない。まだ英語で言われたほうがわかるよ。裁判の緊張感が失われるだけだって」

「津軽弁もいいけれど広島弁と並ぶ恐さだったら大阪弁か九州弁かしらね」

「じゃあ誰にどの方言でしゃべってもらおうか」

「五十嵐と太田はノリノリだけど、山住はきっと抵抗あるでしょうね」

「抵抗あるくせに、きっちり勉強してきてしゃべるんだよな」

「みゅーはぁ、五十嵐くんに大阪弁しゃべらせたら個人的にぶちまわしたいですぅ」

「普通に裁判やりましょうよ……みなさん」

 新しく入ってきた一年生でいかに遊ぶかしか考えていない四天王に今後の部活の未来を担わせていいものなのだろうか。といっても、現部長はハーゲンダッツのことしか頭になく、副部長は胃腸が弱くしゃっくり持ち。もともとこの部活に未来などという言葉はなく、一寸先も霧の中のような「先がない」という言葉に続き「後もない」とくるような、そんな状態だった。

「……誰が道を切り開くんでしょうか」

 戸浪がぼそりと漏らした言葉に海馬が笑った。

「戸浪ぃー、もっと楽観的にいきましょうよ」

「先が見えないとちょっとやる気でないじゃあないですか」

「みゅーみたいに髪の毛を後ろにひっつめればいいんですよ。やる気でますよぉ?」

「触らないでください」

 前髪に触ろうとした空乃をぴしゃりと拒否して戸浪は外に出て行った。

「空乃、戸浪の前髪には触れちゃいけないんだよ」

 あまりにもきっぱりと拒絶されて呆気にとられている空乃に森下が言った。陸が不思議そうに言った。

「戸浪の奴、どうしてあんなに前髪長いのかしら?」

「必要以上に人と目を合わさないしねぇ」

 海馬も不思議だと頷く。

 戸浪が顔を上げて誰かの顔を見るのは、必ずといっていいほど意味があることだ。戸浪は調べがしっかりしているし、口もたつわけだが、必ずといっていいほど何かを隠しているときなどに相手の顔を見る癖がある。それをひとつの合図のようにしてみんなが付け入るために、いつも裁判部での成績はかんばしくない。


 廊下に出た戸浪は、そのままの足で生徒会室へと向かった。

 生徒会室の扉は開きっぱなしで、中に千早と佐藤の姿があった。扉をノックしようかとしたところ、まだ こちらに気づいていないふたりの会話が聞こえる。

「それで……どうするの? これから」

 こんなところで立ち聞きするものではないと思いながらも、先の会話まで聞いてしまう。

 佐藤が笑って言った。

「どうするもこうするも無いよ。次の会長は俺らが決めるんじゃあない」

「でも誘導することは……できるわよね? 任せて、私にはできるわ。今までにないくらい素晴らしい操り人形を作ってみせる」

 戸浪は自分の耳を疑った。千早はこんなことを言う少女だっただろうか。声をかけようとした瞬間、千早は少しだけつま先で立つと、佐藤の唇にキスをした。佐藤が不意をつかれて声を失っていると、千早は小走りに生徒会室をあとにする。反射的に物陰に身を隠してしまった戸浪の横を駆け抜けて、千早は行ってしまった。

 すっかりタイミングを失ってしまった戸浪が漸く扉をノックした。

「すみません。集団カンニング事件の報告書を提出にきました」

「ああ、ありがとう」

「何故今頃になって去年の事件の内容が気になったんですか?」

「少し気になることがあってね」

資料を受け取った佐藤に戸浪はそれとなく聞いた。

「千早さんと付き合っているという人は佐藤先輩なんですか?」

「え、違うよ。千早さんと付き合っているのは晴嵐高校の生徒会の人だから。それにね、彼女はやめておいたほうがいい」

「何故ですか?」

「毒にしかならないからだよ。たしか君は去年、千早さんの代理人だったね。千早さんを昔の姿と同じだと思っているなら考え直すべきだね」

 佐藤の言葉に戸浪は戸惑った。千早にいったい何が起きたのだろう。戸浪は「失礼します」と一礼するとその場を去り、千早のあとを追った。広い校舎を走りまわって、どこかに彼女がいないか探した。

 千早に会いたい。今すぐ会わなければいけない。

 どうして自分はこんなに千早に執着するのだろう。あっちにとってはただ一年、同じクラスの生徒だった、それだけの関係だというのに。

 千早は結局見つからなかった――



 それから一週間が経ち、生徒会裁判のメンバー決めが始まった。

 部長になった河野が資料を全員に配ったあとに話しはじめる。

「メンバーを決めようと思うんだけど、まず、飯島さんが陸さんを指名しています」

「え? 私に?」

 飯島冬姫、学校に入った当時から才媛と有名な少女である。通称姫と呼ばれる彼女は、隙のない、今回の裁判で一番の本命である。河野はかまわず続けた。

「陸さんは決定と。他にこの人の弁護やりたいって立候補ある?」

「じゃー僕は千早さんで」

 森下が率先して挙手した。おかげで戸浪は千早の弁護以外に回ることとなりそうだ。空乃と海馬も手をあげる。

「ならみゅーは断然鈴木くんです!」

「ちょっと突然大穴とられた! もういい、余り物で」

「随分なげやりね。やり手のあんたは西園寺に決定。あとの人は?」

 河野は名簿に名前を書き込みながら河野は一年生たちを見た。

 山住が手をあげる。

「剛くんがいい。一番大人しそうだし」

「なら、私山田さん! 彼女いい子だし、お友達になれそう」

 どんどんと希望が出てくる。五十嵐が松山に

「松山先輩、深沢先輩にしておいたほうが身のためです。あとのふたりは絶対腹痛起こします」

「え、そうしてくれると助かります」

「というか、五十嵐は大人しい反応の薄い子苦手なんでしょ? だから深沢さん譲ったんでしょう?」

 陸にそう言われてぎくりとしながら五十嵐は言った。

「いえ、戸浪先輩をこのどちらかにつかせてみたいと思った次第です」

 川島李樹と伊藤水緒が残っている。森下が戸浪の肩を叩いて言った。

「戸浪、悪いことは言わない。水緒はやめとけ。五十嵐はどつかれるのが好きなら水緒が御薦めだ」

 水緒は経済部だったときに同じ部活だったのだが、金儲けのためならなんでもするような女だ。それはともかくとしても、彼女のヒステリックな面がどう見ても戸浪とは合わないと森下は言った。

 河野はそれぞれの希望を聞いてから最後に言った。

「では、今の希望にのっとり、くじ引きで決めさせていただきます」

「それってわざわざ聞いた意味あったんですか!?」

 思わずツッコむ山住に河野は名簿を見ながら

「まず、四天王の組み合わせは文句ない。だが、あとの五人は最もやり易い人物にまとまりすぎていてチャレンジ精神に欠けていて面白くない。これでは揚足裁判が揚足とれないし、盛り上がらない。もっとアンバランスなのにしましょう」

「そんな、また変な配属にする気ですか?」

「松山は山田華奈さん、これ決定。鍛えてもらいなさい」

「えー!? 山田さんじゃあないってことは私は?」

「……森下くんの曰くつき危険人物の伊藤水緒さんあたりか?」

「ちょっとえらく投げやりっすよ!?」

「五十嵐は他人に押し付けて逃げようとしたから何考えているかよくわからない深沢雪」

「ええー!?」

 太田と五十嵐が不平を漏らす。山住が泣きたくなりながら

「つまり自分は剛くんでなく、このヤンキーと一緒ってこと? 面からして怖いよ!」

「ばーか、アタシのほうが一番やばそうよ! ヤンキー嫌なら替える?」

 なんとなく西園寺から玉木に通じるようなやばいものを感じた海馬が言った。山住はかぶりを振る。

「自分、西園寺くんとは関わらないことにしているんでヤンキーに殴られてきます」

「楽しみですねぇ~、裁判後の山住くんの根性焼きされた数」

「あーなーたーのー傷をー 数えーましょうー」

「ひーとつーひーとーつーをぉ~えぐりぃだすよぅに~」

「ひぃぃぃぃ」

 五十嵐と太田のコーラスに山住が悲鳴をあげる。

「ということは、自分は月崎くんですね」

 ぽつりと余った月崎剛の名前を確認するように戸浪は呟いた。



「さて、みんなに集まってもらったのは他でもない」

 そんな重々しい口調からスタートしたのは山住だった。四天王はそれぞれの担当した人のところに行っていて、今は残りのメンバーしかいない。

「今回の大本命、飯島冬姫の揚足をどうやったらとれるか、それをいっしょに考えてください」

「煙草吸ってたってのは?」

「裕香ちゃん、森下先輩じゃあないんだから」

「パチンコ行ってたってのは?」

「五十嵐くん、森下先輩じゃあないんだから」

 何かあるたびに森下の名前がでてきた。松山が冬姫の資料を見ながらため息をついた。

「飯島さん、完璧だからどこも突付く場所がないんですよね」

「戸浪先輩、何か思いつきますか?」

「特には。この人が会長になるべく生まれてきたって感じですね」

「もうでっち上げるしかないね!」

 山住はカメラを取り出した。

「彼女たしか剣道部だったよね? 人斬ってるって噂だし、通り魔とかやってそうだよね!」

「斬っちゃやばい、斬っちゃ。せめて殴るにしようよ」

「殴るもどうかと思うけれど。まあいいや、肌の黒い通り魔を探してくる」

そう言って山住は背中を五十嵐に向けた。

「さあ、五十嵐くん! 思いきり殴りたくなる背中にしてください!」

「OK」

 山住の背中にマジックペンで「殴ってぇえん」と書いた。その後ろに太田がハートマークまでつける。

 そんな一年生たちの姿を見て松山と戸浪がため息をつく。

 こんなところで顔をつきあわせて嵌める算段を練っていたとしても時間の無駄である。戸浪は立ち上がった。

「じゃあ、自分は飯島さんの過去をもう少し洗うので――」

「すみません、ここに戸浪くんはいますか?」

 懐かしい声に戸浪は反応した。半開きになった引き戸から顔を覗かせているのは千早だった。


「どうしたんですか? 急に訪ねてくるなんて…」

 最初の頃、お弁当をいっしょに食べた裏庭を散策しながら戸浪は千早に聞いた。

「別に、会いたかったから来たのよ」

「相変わらず嘘つきですね、千早さんは。透くんはどうしましたか?」

「森下くんは単体で行動しているの。あの人信用できない、どうして私の代理人なのかしら。私戸浪くんがよかったな」

「透くんほど頭がキレないから自分の方が騙しやすいということでしょうか? それは」

 千早は足を止めた。むすっとした顔で戸浪を見る。

「何よ、私悪いことなんてしてないわよ! なんでそんなに冷たいの!?」

「ずっと会っていなかった人が裁判の前に現れる、こんなことで疑わない人のほうがおかしいじゃあないですか。何か言いたいことがあるなら言ってくださいよ」

「彼氏がさー、」

「相変わらず直球な……」

 言いたいことがあるなら言えと言われて、すぐに言いたいことを言うというのは昔から変わっていないようだ。

「私が最近口答えしすぎだって言うのよ。でもあいつ、いつも無理難題押し付けてくるのよ。どうすればいい?」

「いい機会だから別れたらどうですか?」

「そうもいかないのよ。別れたら、今までやってきたこと全部私のせいにしてバラすってあいつ言うんだもん!」

「千早さんは何やったんですか?」

「佐藤先輩の見張り。それと……もう、いいじゃない! そんなこと」

 この一年間、千早が何をやっていたのか聞きだせるチャンスだったのに千早は慌てて誤魔化した。

「では千早さんも今まで自分がやってきたことについてはどうかと思っているんですね?」

「ちょっとやりすぎたかなと思うけれども、彼氏に言われたんだから仕方ないでしょ!」

「だから、口答えが多くなったんですか?」

「だって予算に晴嵐高校との交友費をいれろとか無茶苦茶なことばっかり言ってくるのよ!? 佐藤先輩が使い物にならないから次の男探せって言うのよ!? 私はあいつのこと好きなのに、あいつはどうして私にそんなことばかり言うのよ!」

 千早の大きな目が潤む。戸浪はため息をついた。

「まだ、あの人のこと好きなんですか?」

「好きよ。だって、ずっといっしょにいたいんだもの。あの人がいなくなっちゃったら私呼吸もできない」

「なんとかなるものですよ。人ってのはひとりで生まれてきてひとりで生きていくようにできていますから、人がいないくらいで呼吸ができなくなったりしません。無ければ無いなりになんとかなっていくものですよ」

「戸浪くんは人を好きになったことがないの?」

「恋愛感情を抱くほど誰かと長くいっしょにいたことはありません」

「時間じゃあないのよ! これは心で感じるものだから」

 心ねえ、と戸浪は呟いた。思えばこの千早との関係はなんなのだろう。恋というには少しぎこちない気がする。しかし、彼女の姿を探したのは事実で、彼女が佐藤とキスしているのを見て動揺したのも事実で、まだ彼氏のことで苦しんでいるということを聞いたとき辛く感じたのも事実で、そこまで誰かに関心をもてたことがなかったというのも事実で……

「それで、透くんにも頼めないようなことってなんですか?」

 結局、色々頭の中を交錯した言葉は胸のうちに留めて、関係のないことだけ言った。

「飯島家は武芸の家系だけれども、親戚にあの安藤深冬がいるって知ってる?」

「知りませんよ、いきなり安藤深冬とか言われても、『あの』ってなんですか?」

「安藤組の組長よ! たまに組合の人たちがたむろしている時あるでしょ! あそこの奴らはみんな冬姫にへーこらして姫様姫様って言っているのよ」

「そりゃあ飯島冬姫が怖いんじゃあないですか? 武芸の達人なんですから」

「違うのよ。どうやら安藤深冬の娘だってことらしいの。ちゃんと調べはついているわ、戸籍抄本の写しだってあるし」

 千早が取り出した写しを見て戸浪はそれを奪い取った。

「こんなものまで持ち出してまで、その男といっしょにいたいんですか!」

 思わず柄にも無い大声で怒鳴っていた。千早はびくっとなりながらそれでも言い返してくる。

「まだ調べたことがあるのよ。飯島冬姫は人を殺しているわ。それを帳消しにしたのが父親よ」

 戸浪は自分の耳を疑った。ドラマでもないのにそんなことが起きるのかと。

「父親は飯島冬姫の罪を被って服役中なの。それなのにあの女はのうのうと殺したことも忘れて高校生活送っているんですもの、地獄に落ちるべきじゃあない?」

「……それは信じかねます。もしそれが本当ならば飯島さんを生徒会長にするのは考えものですが、だいたいどこからそんな情報手に入れたんですか?」

「彼氏から」

「信用できません」

「じゃあ戸浪くんが調べてよ。出すかどうかは委せるわ」

 片手に持っていた茶封筒を押し付けると千早は足早に去って行った。

 なんて迂闊な人なのだろう。自分の弁護士でもない人にこんな資料を手渡してあとは委せたなんて、普通に考えて調べるわけもないのに。

 戸浪は資料を見た。

 飯島冬姫は三歳のときに安藤家から飯島家に籍をかえている。

 書類上は父親の深冬が母親の蛍姫を殺したことになっているが、これは状況証拠でしかない。母親の躰は弱く、もともと長生きできるものではなかった。ほとんど病院に入院しっぱなしの母親の腕についたコードを父親が抜いているのが見つかり、その場で逮捕された。父親は犯行を否定しなかったが、コードの抜け方は父親の説明のような手で抜いたものではなく、どちらかというと身長の小さい人がそこで転んだような抜け方だった。冬姫に水を汲んでくるように言った時間と重なっていることから、親戚の一部は冬姫がコードで転んだことを深冬が隠したと思っているようだ。

「こんな、本当に殺しているかどうかも分からない憶測だけで……」

 幼い頃に母親を殺したと親戚に思われている冬姫。ともすれば人殺しと言われそうな環境で彼女は完璧を演じ続けなければならなかったのではないだろうか。

「みぃ~ちゃった、みぃーちゃった」

 どこかで聞いたことのあるハスキーな声に戸浪は顔をあげた。玉木がこちらのほうにやってくる。

「へぇ~、あのお姫様が人を殺していたなんて、彦那びっくり」

「憶測で人を人殺し扱いするなんて感心しませんね」

 資料を茶封筒の中に戻しながら戸浪はひとつ上の玉木へと聞いた。

「そういえば、あのときどうして『生徒会に入ればあの人にまた会える』とか、口走ったんですか?」

「え~? なんの話ぃ?」

「見事な嘘泣きっぷりのときに口走っていたじゃあないですか」

「あれ? それっぽいの言おうと思っただけ。でもそうだな、また生徒会に入ったらあの人に会わなきゃいけないし、彦那それ嫌だし。だって感じ悪いもん、あの男」

「それってもちろんあの雑誌のトップを飾っていた人ですよね?」

「そうそう、晴嵐高校の会長にして東雲高校の次期理事長のご子息」

 戸浪はため息をついた。

「あなた、口軽いですね」

「彦那は彦那、思ったまでを言うまでだよ」

「じゃあ、聞きますが……千早さんが付き合っている人って……」

「言うまでもないじゃん、撫原尚輝(なではらなおき)、現在三年生。ちぃちゃんも大変だよね、あんな人と付き合っていくなんてさ。彦那あんな野望に付き合うのなんてもう金輪際嫌だもん。お金貰ったから手伝っただけだもん」

「やっぱり雇われて生徒会を荒らしていたのはあなただったんですね」

「あは、彦那失敗。だからって何さ?」

 まったく反省の色が見られない。あまりこの調子で長時間話したくなかったので直球勝負にすることにした。

「で、玉木先輩はどうしたいんですか? 何が言いたいんですか?」

「あは、彦那の考えていること、お見通し?」

「さっぱり分からないから聞いているんじゃあないですか」

「応援したい人がいるんだけどぉ~、明らかに邪魔な奴が二名いるんだよね。飯島さんとぉ~、ちぃちゃん」

「誰を応援しているんですか?」

「それ言っちゃおしまいでしょう? 西園寺くんとか」

「西園寺くんに当選してもらいたい理由は?」

「もちろん面白そうだっていうの? あと、これ」

 玉木は完璧に刹那主義の愉快犯である。親指と人差し指でつくったお金のマークを見ながら戸浪は聞いた。

「西園寺くんは無理だと思いますが」

「だって明らかに飯島さん面白くないんだもん。ちぃちゃんはいい加減に可哀想だし」

「ならば鈴木くんにしたらどうですか? 」

「だめ、鈴木についているのは三木だもん」

 まだ喧嘩していたんだと戸浪はため息をついた。何度目のため息だろうか。

「じゃあ、戸浪くんは誰が当選してほしいの?」

「飯島さんでしょうか」

「じゃあこのお話はなしだね。ばいば~い」

 手を振って去っていこうとする玉木に直感的に何かを感じ、その腕をつかんだ。

「お話、聞きましょう」

「そうこなくっちゃ」

 玉木は唇をぺろりと舐める仕草をした。懐からトランプカードの束を取り出すと、シャッフルして広げてみせる。

「ジャジャジャーン、ここにあるトランプカードに一枚だけ、ちぃちゃんの彼氏の携帯の番号が書いてあります」

 戸浪はぴくりと反応した。それを玉木は見逃さない。

「言いたいこと、いっぱいあるんでしょう? 彦那ね、戸浪くんに透視能力みたいなのがあるって知っているんだ。それ披露してよ、彦那超能力って興味あるんだ」

「ありませんよ、自分にそんな能力」

 そう言って一枚てきとうに引いた。表にめくってみると、携帯の番号と「撫原」と名前がマジックで記入されている。

「すごぉい、本当に当てちゃった! 彦那全部にばらばらの番号書いたのに、本物当てちゃった」

「先輩受験生でしょう? こんなことに時間浪費っている暇ないんじゃあないですか?」

「彦那は永久就職するから関係ないし」

 オカマを誰がもらうというのだろう。それはともかく、いい情報が手に入った。

「玉木先輩、このデータは間違いないんですね?」

「だって最近調べたちぃちゃんの携帯のデータだもん。メール見てたら思わず同情しちゃった」

「人の携帯を勝手に見るような真似はよくないですよ」

 そうは言っても、今はこの状況に感謝せねばならないのだろうか。戸浪は携帯電話を取り出すと、その場でかけた。彦那はその様子を見ている。

 何度かコールが聞こえると、相手は出た。

「なんだ、千早。そっちからかけてくるなって言っているだろ?」

 どうやらこの番号は千早専用の番号らしい。

「お忙しいところをすみません。戸浪と申します、千早さんの……」

 千早の、なんだろう。友達と言っていいものかわからない。

「ああ、弁護士ね。今年もよろしく」

 勘違いされてしまったが、これはこれで好都合である。

「この資料の出所について知りたいんですが」

「待って、今収録中なんだ。あとにしてくれない?」

「すぐに終わります。実は……」

 何から言おうと考えたときに隣から玉木が携帯電話を奪った。

「どうもぉ~、彦那でぇす」

「ああ、今年も君出るの?」

「ううん、彦那の後継者が出るから彦那は出ない」

 西園寺はいつの間にか玉木の後継者扱いらしい。

「でもね、すっごく邪魔な奴がいるんだ。手ごわいんだけどさー。金あるし、性格悪いし、権力者だし、美形だし、とどのつまりお前だ! 撫原」

「なんだ彦那、まだ怒ってんの? 雑誌には一度だけ顔載せてやったでしょ?」

「彦那モデルになりたかったもん! 事務所行ったらお断りされちゃったよ!」

「そりゃお前が男だったからだろ? 計算外だ、馬鹿。もう切るぞ」

「おい。にいちゃん、俳優生命と人生を左右することを全国ネットでばらされたくなければ今すぐE市駅前のマックに来い。話はそれからだ」

 最後に野太い声で早口で捲くし立てるように言うと、相手の是非も聞かずに携帯を切った。

「はい。だめだよ、ああいう奴はあとでって言っても絶対かけてこないから」

「玉木先輩、意外と地の声は男前なんですね。で、全国に広がると拙いネタってなんですか?」

「そんなの知らないよ。戸浪くんでっちあげて。駅前のマックわかるよね? じゃあね」

 携帯を押し返すと玉木は投げキスして去って行った。


 マクドナルドの端のほうの席に座って待っていると、身長の高い一発でモデルとわかるような男があたりを見渡しながら入ってきた。たしかこの顔は見たことがある。玉木といっしょに雑誌の表紙を飾っていた人だ。

「撫原さんですか?」

 名前を呼ばれて男はこちらを振り返った。

「ああ、君が戸浪? あのオカマどこへ行った?」

「何やら準備があるとかで帰りました。少しお時間をいただきたいのですが」

「ところで玉木の携帯番号なんだけど」

「知りませんよ、そんなの」

 ジュースだけ注文してから席に座ると、戸浪は直球で勝負した。

「千早さんと別れていただけないでしょうか」

「何? お前もあの女が好きなの? それともあの女が言ってきたの?」

「自分の個人的な判断でここにやってきました。あなたはもう一年間で十分甘い液は吸われたでしょう、千早さんをもうこれ以上苦しませないでください」

「あの女だって甘い液吸ったんだ。甘い液は習慣性があるからねえ、今さら抜け出そうったって、彼女自身が耐えられるかどうか……」

「耐えさせますよ。それくらい」

 ぴしゃりと言い切って、戸浪は続けた。

「あなたは、利用できる相手ならば千早さんでなくてもいいんです。玉木であれ、佐藤であれ、誰でもいいんです。ただでとは言いません。千早さんと別れてくれるために何か自分がやらなくてはいけないことはありますか?」

「そうだな……飯島冬姫を落選させてくれ。ああ、それで鈴木くんかなぁ、当選してもらいたいのは。西園寺でもまあいいけれど、あいつ俺に逆らいそうだし、人望なさそうだし」

「それが条件でいいんですね?」

「ああ、いいよ。別れてやる」

 本当にこんな条件であっさり別れてくれるなんて。千早はこの男にとってどんな存在なのだろうか。

「千早さんってあなたにとってどんな存在なんですか?」

「俺の彼女。それ以上でもそれ以下でもないよ。お前こそどうしてそんなに千早のためにしてやろうって思うんだ?」

「……弁護士ですから」

 本当にそれが理由なんだろうか。

 たぶん、恋とか同情とかとは違うのだと思う。どちらかといえば守りたい気持ちなのかもしれない。撫原は笑った。

「さて、仕事の話をしようか」

「飯島冬姫ですが、あの資料の情報はどこからとってきたんですか?」

「本物の興信所に頼んだんだよ。情報源はたしかだ。医者や対立組にも聞いてみた。ま、親戚は口が固かったけれどもね」

「ではこの情報は使えるんですね」

「逆に言うと、それ以外何も洗えなかったけれどもね」

 戸浪は考えた。千早と撫原を別れさせるには冬姫を落とすしかない。しかし冬姫は完璧すぎる。つけいる条件としてはこれくらいしかないだろう。

「わかりました。この情報、ありがたく受け取っておきます」


◆◇◆◇

 一方千早は戸浪と別れたあとに撫原に電話をしていた。

「もしもし尚輝? 言うとおり鈴木くんにアタックしてみたけれど、見事断られたわ」

「あっそ、じゃあ殴っとけ」

「ねえ、なんでそういうことするの?」

「逆らったらどうなるかってわかっていなかったら日本国憲法を守る奴も誰もいないだろ?」

「詭弁よ。あと飯島さんの資料、あれもなかったことにしてちょうだい。私、戸浪くんに渡しちゃったのよ」

「戸浪にならさっき会ったよ」

 戸浪が撫原と会っている。千早はびっくりした。撫原は続ける。

「飯島冬姫のことは責任持って落としてくれるってさ。千早は安心して他の誰が当選してもいいようにしておいてくれないか?」

 千早は答えなかった。先ほど戸浪が「こんなものを持ち出してまでその男といたいか」 と言ったのを思い出したからだ。実は迷っている。撫原といっしょにいるべきか、否か。

 答えない千早に「愛しているよ」と言って携帯の音信は切れた。何度と無く聞いたその言葉がとても白々しく聞こえる。

「秋野さん、電話は終わった?」

 席をはずしていた森下が戻ってくる。千早は頭を切り替えることにした。生徒会選挙の間は撫原のことは忘れておこう。自分は悪女だ、そう言い聞かせると次第と先ほど胸を絞め付けていた不安も薄れていった。

「もう終わったわ。それに私の名前は食べ物の名前で呼んでって言ったじゃない」

「じゃあかつおぶしちゃん、いいかい? 他の五人へと根回しを済ませたあとには鈴木くんと飯島さんを落とすってことで」

「飯島さんは別の人が落としてくれるみたい。私たちは鈴木くんを落とすことに専念しましょう。頼りにしているわ、森下くん」

 にっこりと微笑む千早に森下は笑顔で手を差し出した。

「そのかわり、うちの部費に五万円ほどくれるんだろうね? 僕はお金がないと動かないよ?」

 千早は差し出された手に財布から五万取り出して乗せた。それを畳んでポケットにしまいこむと森下はにっこりと笑った。

「契約完了。これで裁判が終わるまでは僕は君の弁護士だ」

 つまり裁判が終わればそれまでの仲だということは言わずにおいた。これから自分は、千早となるべく聞かれたら拙い会話をしなければならない。「さあ、どんどん本性を見せてくれよ、でこぽんちゃん」と森下は胸中で呟いた。


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