脱出計画
「よーし!今日の仕事はここまでだ!!」
看守の人がそう言って今日の仕事は終わった。
「で、脱出の話なんだけどさ。」
「どうやって脱出するの?牢屋には監視の人が毎回いるんだよ。」
牢屋の外には監視の人がいるからいくらステルス能力を使っても彼らにはバレてしまうだろう。
「ばーか、誰も牢屋から逃げるとは言ってないぞ。」
「え?じゃあどこから脱出するの?」
牢屋以外にこの部屋には出口がないんだぞ?何考えてんだよユウくんは。
「ふふふ、ジャーン!」
ユウくんが大きな石をどかしたその先には、
「あ、大きな穴!!」
「シッ、静かにしろよ。」
「ご、ごめん。」
なんと穴をこの5年間ずっとユウくんは掘っていたそうだ。
「ここから脱出しよう!そうすれば俺たちは晴れて自由の身になれるんだぞ!」
「で、でも、出た後はどうするの?」
「そんなもん、出てから考えようぜ、ならいっそうちらの故郷に戻ろうぜ。もう人間の支配下にはなっていないはずだから。」
「そうだね、僕たちの故郷に行こうか。」
僕らの故郷、アトリエ。そこは鬼と天使の悪魔、そして、悪魔と人間のハーフの人が住んでいる村だ。そこまで有名じゃないがとてものどかでいい場所だ。
「よし、説明した通りな。飯食って夜中になったら脱出するぞ!」
「う、うん。わかった。」
こうして脱出計画は立てられた。
そして、夜中の深夜1:00、
「準備はいいか?」
「もちろん、いつでもいいよユウくん!」
「よし、行くぞ!」
「おー!」
小さい穴を通り抜けて行った。すごい。5年間も掘り続けただけあってとても長い。どこまで続いているのかなあ?
「もうすぐ出口だから気をつけろよ。」
「うん。わかった。」
やっと狭い道から解放され、ついた場所は海へ続いている川だった。
「こ、こっから俺たちは自由に、」
その時だった。後ろには人影があった。
「ほうほう、そこから逃げる愚かな悪魔がいるとは思わなかったなあ。」
う、嘘でしょ?年でこんなところに人が。刹那。その人間は銃の引き金を引いた。
「ジン!危ねえ!!」
バァン!!銃はユウくんの目に当たった。
「ああああああっぁががぁっっぁあぁあ!!!」
ユウくんの目から大量の血が流れている。僕は思わず吐いてしまった。
「オ、オェェ..。」
「ふはははは、そんな鬼の小僧をなぜ庇ったのだ?自分だけ逃げればよかったものの、愚かだ。実に愚かだ。だから悪魔は弱いのだはっはっはー!!」
ど、どうしよう。ユウくんは僕のせいで右目がなくなって。このままじゃ僕もユウくんも..。
「ジン、お、お前だけでも逃げてくれ。」
そう、死にそうな声でユウくんが声を出していた。
「そ、そんなのできないよ!ユウくんおいて僕だけ逃げるなんて!」
「俺が時間稼ぐから、頼む!そしてお前の力で、また、人間と悪魔が平等に暮らせる世界を作って欲しい。」
「やだぁ!」
「いいから行ってくれ!!早く!!」
「死ね!愚かな悪魔供が」
バァン!また銃を撃った。そしてまたユウくんに..。
「ユウくん!ユウくん!」
僕の背中を押して僕を海に突き落とした。そしてその時。
「この世界を救ってくれ。しんゆ....」
バァン!又しても銃声がなった。
「クソ...クソォ!!!」
ユウくんはきっとあの一撃で死んだと思う。そして僕はユウくんに助けてもらい海の上にいる。僕は誓った。ユウくんの仇を討つと。人間に復讐してやる。絶対に殺してやる!!そう思い、僕の意識はなくなった。