奴隷として
「おーい!ジン!」
「あ、ユウくん!」
彼は幼なじみのユウジ。僕よりも2つ年上でユウくんとは生まれた時から一緒である。この世界で唯一の僕のよりどころだ。ユウくんがいなかったらきっと僕は今まで生きていけなかった。彼は天使の悪魔である。背中には立派な羽があり、それで飛ぶことができる。しかし、ここは空などないのでとんでも意味がない。
「しっかし今日も1日大変だったな。」
「そうだね、でも今日はムチで叩かれなかったよ。」
「お前、週に一回は叩かれてるからなw」
「う、うるさいなあ。」
ただただたわいのない話。しかし、この時間が僕にとっての生きがいでもある。
「オラ悪魔供!飯だ飯。席につきやがれ!」
偉そうな看守がきて降ったような野菜を出してきた。人間は卑劣だ。こんなのを5年も食わされたからこの味に慣れてしまった。
「こんなご飯、いつまで食べてればいいの?」
僕はユウくんに尋ねた。
「さあ、死ぬまでかもなw」
「え、縁起でもないこと言うなよ。」
「冗談冗談w大丈夫だって。もうすぐ俺たちだって解放されるさ。」
いつか解放される。この言葉を5年間ずっと聞いてきた。そう、いつか解放される。その日まで...。
「オラ!悪魔供!さっさと起きろや!!」
はぁ、また辛い1日が始まろうとしている。
「おいジン。」
ユウくんが僕を呼んだ。
「何?」
「ここから脱出しようぜ!」
「え?」
小声でそう話していた。そう、ここから逃げて自由になろう、と言っている。
「ど、どうやって?」
「実行は今夜の深夜でいいな?」
「え、せ、説明してよ。どうやって..。」
「おい!そこのガキ供!さっさと仕事場にいけ!」
パチンとムチを壁に当てた。
「この話の続きは夜で。」
「う、うん。わかった。」
そして、今日も辛い1日が始まった。