ウラル要塞攻防戦③
「ウラル要塞攻略は中々時間がかかるようですね。」
東条は仕方ない、という表情を浮かべる。
「こればかりは。部隊の進行速度云々ではなく、山岳路は侵攻しずらいのは
攻め側の通り。更に、ゲリラの配置もあり左翼の中国軍は消耗率が17%を超えたとか。」
”黒木 栄斗”陸軍参謀は戦況を伝えに来ていた。
「制空権はどうですか?」
「は、取れております。」
「神槍を時期を早めますがここで使いましょうか。」
「使うのですか?」
疑問ではなく、最終確認である。
「英国本土に上陸されるのは確実でしょう。
しかし、水際で追い返すのか、ウラル山脈のように悪化してから追い返すのか。
どちらが後々の被害を軽減できるのかが大事です。」
「了解しました。参謀本部としてもその進言が欲しかったところです。
実行日は決まり次第、お伝えします。」
黒木が部屋を出ると、東条は大きくため息をついた。
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「良くおいでくださいました。
私がこの地下研究所の統合所長の”有村 慶斗”です。
早速ですが、見てもらいたいものがあるので、どうぞ。」
東郷は有村の言う通りについていく。
花崗閃緑岩、ここは恐らく。
「質問をしてもいいかな。」
「構いませんよ。」
「ここは、死火山のマグマ溜まりなのだろう?」
「察しがいいですね。ここは黒姫山のマグマ溜まりになります。」
「やはり。しかし、どうしてこんな所に研究所を作ったのだ?」
首を傾げ、暫く考えるそぶりを見せる。
「ここに建設の命を与えてくださったのは刈谷閣下ですから。
私達は無駄な詮索をすることはしない主義なので、与えられたこの場所で実験するのみ。
こんな所に作ったのか、という質問には答えかねます。」
「そうか...」
白一色の廊下を進んだ先に、非常に巨大な扉が現れる。
重戦車が楽に出入りできる位の扉である。
「ここは...一体?」
「”非採用兵器一時保管倉庫”ですよ。」
重厚な扉が開いた先に見えたのは、目を疑うようにズラリと展示された
兵器の数々であった。




