ウラル要塞攻防戦②
ウラル要塞を眼前に控え、第三機械化2個師団は突出するように進軍する。
その両翼を固めるのは右翼、満州派遣軍17個歩兵師団、
左翼、中国派遣軍機械化四個師団、12個歩兵師団であり補給においては
ヴォルチャンクス飛行場から絶えず飛び続ける輸送機によって補給線は確立されており、
ウラル要塞陥落は時間の問題である。
戦略図を大きく見れば、これも突破戦術”天馬の角”の形である。
日本の機械化師団を先頭に、後方の部隊は援護及び、制圧作業を行う。
中国軍のWZ-230-1という戦車はソ連のIS3に似た構造である。
その楔型の戦車は最高時速50km、ティーガーⅡと互角以上に戦える戦車である。
装甲は車体正面150mm、砲塔は280mm。
主砲は130mm砲、貫通力は440mmであるが、砲弾は傾斜にやや弱い。
しかし、その猛威は中国の管轄するカザフスタンに侵入したドイツ軍戦車と対等に戦っている。
中国=欠陥品、というイメージは完全に払拭された。
ウラル要塞は地下に張り巡らされた通路により東ソビエト側から侵入できる。
元々、ドイツに対応するために作られた要塞であるが為である。
既に侵入部隊は存在しており、ウラル要塞正面を攻撃するのはその陽動でもある。
「ッチ、ここもか。」
瓦礫が進路を塞ぐ。
ドイツ軍が粗方ではあるが通路を爆破していたのだろう。
「隊長、爆破して進みましょう。」
C4爆弾を取り出す。
「そんな新型爆弾、どこから...」
「補給の際に一部隊3つ、配られましたよ。」
そう言いながら設置する。
設置し終えると小隊員は全員物陰に隠れる。
ドンッ、と圧のある爆発が一回。
煙と埃が舞い、暫く物陰に身をひそめる。
「凄い威力だ。」
「TNT火薬の1.34倍の威力ですからね。」
塞がれた通路を進む。
それ以降、塞がれた通路は見当たらない。
「敵さん、どうやら時間が無かったんですかね。」
「これだけ通路が多ければ一つ一つ爆破していくのでも爆弾の量がかなり必要になるからな。」
銃を構え、奥へ奥へと進む。
炭鉱のような通路から整備された通路へ入る。
足音に注意を払い、階段に差し掛かった所で鏡を取り出す。
《通路に、2、いや、3人》
隊長が手で指令を出す。
隊員は頷くと、銃を構えた。
《突撃》
サイレンサーの着いた銃で、即座に制圧する。
主要通路には見張りがいるようで、ここを突破できれば要塞を攪乱できる。
と考えた隊長は大隊に無線を送る。
『主要路発見、E17-11通路から入られたし。』
『了解、直ちに送る。』
ウラル要塞の地下地図は既に所持しており、それぞれの通路に番号と記号が割り振られ、
容易に位置を教えることができる。
小隊はさらに進んだ。




