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暁の帝国 ~第二次世界大戦編~  作者: 川嵜 怜太
対決!!《世界の黄昏》ドイツvs《世界の暁》日本
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恩師再開~伝説の諜報員~

1944年3月9日十二時三十分


旅順国際空港から南満州鉄道に乗り込む。

会議をするのは北安。その道中に新京特別市がある為秘匿文書を持っていくことを了承をしたのだ。

”特急あじあⅡ”に揺られること一時間七分、大連に停車した。


ここで降りることはないが窓一杯に広がる資本系のビル群に圧倒された。

世界五大資本都市は東京、大阪、大連、新京、北京、とすべてアジアに存在しており

大連は規模でいえば東京に次ぐ二位である。


再び電車は動き出す。

大連から少し離れれば広がるは荒野や山々である。

局地的には異常なほど発展しているが局地的に発展していく方針のため今だ未開の地も多い。

荒野を走るあじあⅡ。

あじあの最高速度は130㎞に対しあじあⅡの最高速度は175㎞。

また揺れも少なく様々なところで技術の向上が見られていた。

そして何より単線ではなく複線であり一日当たりの乗降者数は140万人。

満州鉄道は大半の路線で黒字であり、様々な事業に手を出している。

その中には駅の周囲に繁華街を建てる、路線を増やすといったことをしている。


日も暮れ、新京特別市に着いたのは7時半であった。


~新京特別市~


この満州国の首都であり世界資本と情報の大動脈でもあるこの都市の人口は690万。

870万の東京の次に人口の多い都市である。

これ程の摩天楼は満州国の発展を意味していた。

様々な言語で書かれた看板、銀行は世界資本でも闘争が起きていることを意味していた。

生活水準も以前より目に見える形で改善しており日本の政策の成功を意味していた。


旅順から移転した関東軍総督府の隣には満州国国防軍総司令部が隣接している。

その理由は特にないらしいが、これならばすぐにでも両軍の統合作戦本部が立案できそうである。


街灯が常に道を照らしていて夜でもまるで昼のように明るい。

歴史書の東京を遥かに超えていた。


八時頃、新京エントレント・新京長春店に到着した。

当たり前のように自動ドアであるがこれも技術発展の賜物である。

眼前には受付、左右にはレッドカーペットの敷かれた階段があり、

まるで西洋映画に出てくる城の入口のようである。


受付にてロッカーの場所を聞くと思いの外八ヶ所もあるという。

どこに入れればいいのか・・・。


「何か、あまり使われていないロッカーはこの八ヶ所の内どこでしょうか。」

ここでは身分を明かすことはしてはならない。

「ここですね」と受付嬢が指を指す。別館である。

軽く会釈し別館に向かう。

別館といえど新京では指折りの高級ホテル、別館も洋館のようである。

57番ロッカーを一つ一つ睨むように探す。どうしてか神経も尖らせていた。


「オイ、何をしている。」

後ろから低く太い声がかかる。

しかし何故か懐かしい声である。

ゆっくりと振り向けばそこには190cmぐらいの巨漢の男がこちらを疑心の目で見ていた。

しかし、東郷の顔を見ると眉の皺がすぐにとれた。


大河原大仙たいがはらだいせん元帥ではないですか!」


「おお東郷か、久しいな!」

豪快に笑う大河原。

大河原大仙とは諜報部総長であり、昔は”よろずの情報に大河原在り”と山本、東条を言わしめた

伝説の諜報員である。

現在は新京や大連で部下たちの直接指揮に当たっていると聞いていたがここで出会うとは思ってもみなかった。


「しっかし、今では大将か。俺の教え子の中で一番の出世頭。お前は俺の自慢の教え子だ。」

再度豪快に笑う。

東郷は思わず照れ隠しで俯く。


「お世辞はやめてください。それよりこの秘匿文書は大河原元帥宛てなのですか?」


「おおそうだ。だからロッカーの前で不審な動きをする奴に話しかけたら東郷だったわけだ。

どうせ、内容はわかりきったことだ。この俺は世界の8割の秘密を知っているからな。」

ものすごい自信であるが事実である。

どこに何を隠した、だれがトイレットペーパーの無駄遣いをした、どこで何を買ったなど

この人を教師に持つとプライベートなど無に等しい。

しかし、それにより一体感が生まれたことは事実である。


「どうだ、本館のレストランでゆっくり食事でもしないか?電車は午前一時二十五分発に乗るんだろ?」


「何で乗車予定の電車を当てるんですかね...」

やれやれ、と頭を掻く。















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