表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暁の帝国 ~第二次世界大戦編~  作者: 川嵜 怜太
対立!日本vs独第三帝国
40/55

ナグスヘッドでの死闘#3 《白兵戦》

艦上にて炸裂する誘導弾。

業火が艦橋の窓ガラスを割り、爛れた手摺が

宙を舞う。

倒れた船員は黒く焼け焦げ、

所々で火だるまになった船員の断末魔が上がる。

水飛沫が甲板にかかり、血を洗い流す。

焼けた赤茶色の血液が所々にこびりついている。

爆発と共に海に投げ出され、必死に浮遊物に掴まる米兵。

その中央を突っ切るように進む大和。

海へ浮き輪を投げ込んで取り敢えずの安全を確保する。

速力を4ノットに下げ波を最低限にしつつ

前進する。


「この海域を突破すればすぐにワシントンDCだ。副砲は射撃準備───」


超超弩級戦艦が海面に沈み込む。

有賀は壁に叩きつけられる。

グシャッと鈍い音と金属同士の擦れ合う

耳障りな音が鼓膜を突く。


『大型巡洋艦アラスカが第三砲塔区画に

肉薄攻撃を敢行!!』

大和の三番砲塔にめり込むように艦首を

当てるアラスカ。

容赦ない痛撃が煙突上部を破壊する。

そして、一撃を終えるとアラスカから

武装した船員が現れ大和に綱を架け乗り移る。

有賀は治安部総出での迎撃を命じた。

甲板から艦内に侵入できる場所に部隊を派遣し

効率的な防御手段を執る。


『有賀艦長、敵の総数はおよそ440、

治安部120名で応戦中!!』

戦闘指揮所に銃撃音と共に無線が入る。

副砲の暴風壁を巧みに使い迎撃をする

治安部部隊。

銃弾が艦橋のガラスに穴を空け、

甲板には深紅の液体が飛び散る。

部隊長の丹羽良治はマガジンを手早く換えると

四十三番高射砲の暴風壁を使い、敵と撃ちあう。


『第7小隊押され気味だ!!

第3小隊と合流して戦線を維持しろ!!』

肩に付いている小型無線機で小隊に指示を送る。

敵も此方の存在に気付いたのか銃弾が

飛んでくるようになる。

そうなれば位置を変えるだけだ。

敵のリロードを見計らい、別の高角砲の暴風壁に

身を寄せる。


『第二小隊、25㎜3連装機銃を手動にして使え』

すると、甲板に多数の煙と鉄片が上がる。

当たれば肉塊、生存は皆無である。

しかし、敵の勢いはとまらない。

そして、激戦約3時間。

決着が付こうとしていた。


《此方、戦闘指揮所》


『何だ、用件を早く言え。』

息を荒げる丹羽。

《30秒以内に艦内に全ての部隊を収容せよ。》


『撃つのか、了解。』


『全部隊、よく聞け!!30秒後に射撃が

始まる。よって、近場の扉から退避しろ。

いいなッ!!!』

素早い身のこなしで船内に入っていく

治安部部隊。

日頃の訓練の賜物である。


『全部隊退避完了、いつでもどうぞ!』

有賀は無線越しに頷き、視線を上げる。

「三番、4番、撃て!!!!!」

6つの巨砲の大烈火。

主砲発射警報ブザーは鳴らない。

この発砲は甲板の敵兵を片づけるための攻撃である。籠の中に鳥を入れ、衝撃波による致死半径を

調べる実験で艦に設置された籠は跡形もなく、

消し飛んでいたという。

その凄まじい発射の衝撃で人間がどうなるか。


アラスカは沈黙し、戦闘の行われていた

三番砲塔甲板にはレンガのような塊が多数こびり付いていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ