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暁の帝国 ~第二次世界大戦編~  作者: 川嵜 怜太
対立!日本vs独第三帝国
38/55

ナグスヘッドでの死闘#1

戦艦大和は12月30日、バージニア州バージニアビーチ沖北東43キロの位置で碇を下ろし

停船していた。

連日連夜に及ぶ潜水艦からの攻撃、

米残存艦艇39隻で結成された第三艦隊の

猛攻撃。

停泊の理由は原子炉の一時休息と

イ5005特別輸送潜水艦の戦略物資の搭載であった。

有賀と大竹砲術長は最上部戦闘艦橋から

バージニアビーチにのり上がった1隻の

戦艦ニューメキシコを見る。


「あの艦長は、最期の1隻になりながらも

戦っていた。私は死ぬことが決定していても

戦うことが出来るのだろうか。」

大竹は帽子の鍔を下げ昨日昼夜行われた

ナグスヘッドでの死闘を思い出す。


12月29日明朝、多数の沿岸警備艇と

旧式軍艦で編成された第三艦隊とパムリコ湾にて

交戦した。



『フォード中将、敵艦をレーダーに捉えました。

本当に、戦うおつもりですか。』

副司令官は勝てる望みのない戦いに犠牲は出したくないと

考えていた。

そして、何故自国が日本の和平提案を呑まないのか、

支持率15パーセントのルーズベルトが何故あそこまで威張れる

のか。米海軍参謀部はいつも釈然としない回答しか寄越さない。

フォード中将は元々は海軍参謀部の情報課だ。

何か知っているはず。

そして、『何故アメリカは和平提案を呑まないのか』と訊ねる。


『それは、ルーズベルトの白人至極主義のせいだ。』

言い終えると舌打ちをするフォード。


『それは、どういう…』


『ルーズベルトは戦局の悪化を理解していない。

そして、有色人種を嫌う性格なのだ。』


『つ、つまりルーズベルト大統領の意地張りに

アメリカの若者の命は付き合わされていると!!』

憤激する副司令官。

同期であった友人を先のパナマ運河防衛戦の時に亡くしたのだ。

パナマ運河破壊の時でアメリカが和平提案を呑んでいれば

同期の気心の知れた友人は死なずに済んだのだ。


『で、では、降伏も視野に入れても良いと思いますが!!』

降伏は恥じるべき事だが無益な戦いにむざむざ部下を死なせたくない。ましてはルーズベルト大統領の意地張りの為に死なせる命などない。

しかし、フォードは首を縦に振らない。

フォードは拳を強く握りしめていた。

そして……



“『しかし、戦わなければいけないのだ。

例え、相手が海の王者でも……………』”

フォードの声が小さくなっていく。

副司令官はそれ以上言わなかった。

ただ一つ思ったことは“悔しい”ということだけだった。


そして───


船は進む。


大和に向かって。


大和の予測射程圏侵入の警告音が鳴る。


勿論、射程は足りない。


砲弾を抱えて呆然とする砲兵。


頭を抱える砲術士。


戦争を理解したときにはもう遅かった。


《一番、二番、砲撃開始!!!!!》

天を揺るがす衝撃波と耳をつんざく大音響を放った

直径56㎝の大重量砲弾は

アイダホ、ミシシッピの艦体を空中、水中にまき散らした。












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