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暁の帝国 ~第二次世界大戦編~  作者: 川嵜 怜太
対立!日本vs独第三帝国
28/55

降臨祭前夜

戦艦長門は常時31ノットでハワイまで到着。

僅か5日であった。

ハワイにて武器弾薬を満載し対空駆逐艦6隻

対潜駆逐艦4隻を護衛にパナマ運河へ向かう。

パナマ運河はアメリカ沿岸基地破壊と同時に行っていたが、修理強化拡張工事が行われ長門でも通ることが出来るのである。


そして…  “1943年12月24日”


のちに“エンド・イブ・クリスマス”と呼ばれる

日米海軍の最終決戦が行われた。


~パナマ運河電探基地~


「チッ、ついてねえや。クリスマスイブなのによ。」

「何言ってんだジャック、お前ガールフレンドいないだろ」

電探基地の定時見張り員の二人はいつも通り

会話を楽しんでいた。


「しっかしバルト、パナマ運河は鉄壁だな。

ジャップも一度爆撃しただけでもう来なく

なっちまったな」

ハハッ、とバルトは笑うと「あたり前だ」という

表情を浮かべる。

何せパナマ運河には戦艦1重巡洋艦17軽巡洋艦9

駆逐艦35沿岸警備艦56、近くには陸上航空基地もある。

外は嵐の前の静けさのように静かである。

雑談をしていると突如、電探が真っ白になる。

「オイオイ、故障か?」

ジャックは頭をかく。

参った顔をするジャックの頭上に陰が落ちる。

「ジャック、こういうときのマニュアルだろ?」

頭の上に置かれたマニュアル本を手に取りペラペラと

めくる。

電探故障の目次をたどり電探になにか付着していないか確認に向かった。

途中、波のせせらぎに耳をかたむける。

せせらぎは脳内をリラックスさせた。

近くの岩に腰を下ろし水平線を眺める。

水平線の奥から一瞬発光のような物が見えた。

ジャックは目を擦る。

何も見えない、こんなことなら双眼鏡を

持ってくれば良かったと考えていた───


突風と共に高熱が背中に吹き付ける。

反射的に身をかがめる。

言葉を失い、思考も停止した。

ふと、やらねばいけないことを考える。


「そ、双眼鏡だ!双眼鏡を探さなくては!」

何かに取り憑かれたように電探基地まで戻る。

ジャックは膝から崩れ落ちた。

電探基地は─────────


コンクリートの壁は四散。


焼き爛れたガラス。


薙刀のように風に靡く炎。


火薬の香り。


生暖かい火の粉を纏った風。


ジャックの脳内にこの光景はしっかりと焼き付けられた。


「ば、バルト……ど、どこにいるんだ…」

電探基地“跡”と成り果て、異臭が鼻腔を刺激する。

ふと、懐かしいものを拾い上げる。

バルトのつけていたペンダント。

そうかバルト、彼女いたっけ─────

ジャックはその場に弱弱しく、座り込んだ。



「第一斉射、効力射です。」

観測員からの報告が届く。

山本は声を振り絞り


「各艦、長門を先頭に単縦陣!パナマ運河を突破する!」







読んでいただきありがとうございました!

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