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暁の帝国 ~第二次世界大戦編~  作者: 川嵜 怜太
対立!日本vs独第三帝国
26/55

雲行き怪しい陸軍省

黒姫の改装が終了した日に陸軍では“神槍”の

使用について話しが持たれていた。


怒鳴り声が廊下に響く。

その声の主は作戦立案計画室に身を置いていた

秋山好古大将であった。。

「神槍はモハーベ砂漠で使ってはならん!」

陸軍大将“秋山好古”は激高していた。


「これ以上、モハーベ砂漠で時間を使うわけには

いかない。」

一人の老元帥がそう言うと周囲は頷く。


「そうだ、モハーベ砂漠に神槍を落とせば

対米戦争は終わるのだ。」

若い中将も老元帥の意見に賛同した。

陸軍中央では慢心の空気ができつつあった。

アメリカでは連戦連勝、ソ連派遣軍は

ドイツの戦車相手に無双しているのだ。

それに、中国では大量生産が可能になり始め、

資材においてはオーストラリアから大量に輸入、

資金はユダヤ、中国、アジア連合、イギリス

などで尽きることはない。

しかし、それは戦争初期のアメリカと同じ

ような考え方である。


「だからといって神槍を使ってもいい理由にはならない!」

秋山は理解していた。

“神槍を使えば日本は悪になる”と。


「列席の各位は東条閣下の話を

聞かなかったのか。

それでは歴史書のアメリカと同類ではないか!」

老元帥はあごに手を当てると秋山を睨む。

しかし、秋山は怯まない。

むしろ当然の事をいっているのである。


「・・・だからといって、アジア連合軍軍人の

命には変えられない。」


秋山は込み上げる怒りを抑え、よく考える。

そう、老元帥の意見も一理あるのだ。

しかし、神槍は降伏のチャンスを与えずに

命を奪う、所詮は大量破壊兵器なのである。


「歴史書のアメリカは勝ったのだ。

原子爆弾を正義の鉄槌として使ったのだ。

勝てば官軍負ければ賊軍と言うだろう。

つまり、答えは簡単だ。

“勝てばいい”のだよ、秋山大将?」


秋山は歯噛みし、


「貴官はあの歴史書から学ぶことは出来ないようだな。」


秋山は作戦計画立案室を出た。

廊下の空気は身を切る冷たさであった。








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