激突!マレー沖海戦
1942年5月23日
東郷率いる”東郷強襲機動艦隊”を阻止すべくプリンス・オブ・ウェールズ及びレパルスが
出撃した。
東郷強襲揚陸艦隊の全容は以下の通りである。
装甲巡洋艦 黒姫
正規空母 八雲
軽空母 龍驤 鳳翔
重巡洋艦 愛宕 妙高 筑波 剣
強襲揚陸艦 八丈型8隻
駆逐艦 峰雪型汎用駆逐艦 12隻 夕雲型防空駆逐艦 2隻
強襲潜水艦 キ型 4隻
輸送潜水艦 イ2500 2隻
計36隻でシンガポールを占領する為の強襲艦隊である
バングラデシュ、ミャンマー、ラオス、ベトナム、カンボジアは
中国人民軍及び関東軍により占領されており、
残るはイギリス領マレーシア及びシンガポール、オランダ領、スマトラ島 ジャワ島のみとなっていた。
そして、日本の勢力圏はインドネシア、カリマンタン、パプアニューギニアまで届いていた。
歴史書では敗北に終わるパプアニューギニア戦線だったが補給を確立し、”五式中戦車チリ”を投入
したため、シャーマンに劣ることなく米軍を一気にポートモレスビー周辺まで追い詰め、
また、海路では潜水艦により敵の補給を遮断したため僅か1か月で陥落した。
「東郷大将、山本指令は何とおっしゃっておりましたか。」
東郷は戦時特例により大将に任命されていた。
そして、副官の松永貞市少将は山本とチャーチルの会談の内容を聞いた。
「一言で表すと、宣戦布告をしてきたそうだ。
それも、そろそろお見えになるプリンスオブウェールズだ。」
松永は一瞬耳を疑った。
一時期山本は「レパルスはやれるがプリンスオブウェールズは無理だろう」と言っていたのだ。
「何を勘違いしているんだ、この船は金剛型ではないだろう。
最新鋭装甲巡洋艦”黒姫”ではないか。
40口径41cm砲を装備するこの船に38cm砲も35.6cm砲も効かない。
何せ、この船の装甲は同等の41cm砲に耐える装甲配置になっているのだからな。」
松永は納得したように
「そうでありました」と笑った。
この装甲巡洋艦という艦種は”巡洋戦艦より装甲は厚く、巡洋艦並みに早い”というコンセプトで
作られた艦種であり、そのネームシップである黒姫は全世界にその名を轟かすことになる。
最大速度38.7ノット、排水量58700t、全長252mの巨艦の最大の強みは速度であった。
駆逐艦に遅れをとらないこの速度は回避運動もしかり、戦場にいち早く参加しその強大な41cm砲を
持ってして戦線を構築する為、大艦巨砲主義の究極のコンセプトでもあった砲撃戦に特化した船で
あった。
「キ型強襲潜水艦から電文、レパルス及びプリンスオブウェールズは
14ノットでリアウ諸島方面に向かっているとのことです!」
「今の艦隊の位置は」
「ジェマジャ島北東40海里です。」
「明日の朝には会敵するな」
東郷は強襲揚陸艦と駆逐艦、空母をジェマジャ島南20海里に下げた。
そして、旗艦装甲巡洋艦黒姫、重巡愛宕、妙高、筑波、剣を従え33ノットで向かった。
5月24日明朝
「敵プリンスオブウェールズ及びレパルス、黒姫の射程内に入ります!」
松永が双眼鏡を手に取り、プリンスオブウェールズとレパルスの動きを監視する。
「敵さん、どうやら側面を見せてきてますね。
10門一斉射を行うつもりでしょうがプリンスオブウェールズの射程距離じゃ黒姫の射程距離には
及びませんね。
我々も41cm55口径連装砲8門の斉射を行いましょう。」
「取り舵10度、射程内に入り次第8門同時斉射!」
「”砲撃開始!”」
耳を裂くような砲声と艦全体が軋む音が艦全体に轟く。
41cm砲から放たれた主砲弾はプリンスオブウェールズ手前で水柱を上げた。
38km先の目標に一斉射で夾叉させる黒姫の命中精度を支えているのは
射撃電算機”玉楼”であった。
この”玉楼”はユダヤ人科学者により研究開発された高性能射撃電算機であり、
敵艦の未来位置を予想し、速度、風速、自艦の速さから計測、
目標に射撃するという手動照準を不要とした装置でありその命中精度は38kmで
半ば確実に夾叉、命中させる事ができる。
その頃、プリンスオブウェールズ艦長のトーマス・フィリップス艦長は初弾夾叉を聞き恐怖した。
そして、第二射は第一射から僅か42秒で放たれ二発が側面の集中防御区画、一発が一番砲塔直下に
命中、集中防御区画に命中した砲弾は第二装甲板に食い止められ、主砲直下に命中した
砲弾は第一砲塔の砲塔旋回装置を破壊し、30度から動かなくなった。
「どういうことだ、日本海軍は巡洋艦のみの艦隊ではないのか!」
フィリップスは情報部に怒鳴り散らす。
情報部は再度計測をした結果、35ノットの高速で水面を滑る船は戦艦クラスだということが分かり
それはすぐにフィリップスに届けられた。
「35ノットだと?戦艦が、か?ふざけるのもいい加減にしたまえ。
金剛でも31ノットの筈だぞ!」
情報部のエルウィンは
「これが真実だ。射程内に入り次第攻撃を行え、わかったな?」
「エルウィン、奴は射程外でアウトレンジを取っている。
更に奴の命中精度は尋常ではない。早速一番砲塔がいかれよったわ。」
エルウィンは情報部にて緊急会議を開き、一つの船の存在にたどり着いた。
「おい、フィリップス!
早くブラック・プリンスから離れるんだ!奴はプリンスオブウェールズよりも
数倍強い、その35.6cm砲では奴は沈められない!
フィリップス聞こえているのか!フィリップス!」
電波妨害により交信ができなかったことはこの時、エルウィンには分からなかった。
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