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「真・タイタン」の物語の一つです。
前回の遺跡調査を終えて、巨人亭のメンバーになったガイア、マリア、タビ。
初依頼完了の余韻もそこそこに、さっそく自由人マリアは人探しをしたいと言って、ガイアとタビを巨人亭に残して出かけてしまいます。
「気をつけてな。危ないことはするなよ」
「わかってるわ、二週間ぐらいで戻るからー」
ガイアは心配しながらも、マリアを見送りました。
マリアを見送ったガイアとタビは巨人亭で思い思いに過ごします。
タビは憧れの冒険者であるルコンとドラコの手伝いをしながらマリアが帰ってくるまでの時間を過ごしました。
1D*100のガメルと経験値。さらに1D6の名声も手に入ります。
結果。
100G 300経験値 名声4
お金はあまり増えなかったけど、タビは充実した日々を過ごしました。
ガイアは転々と旅をしていた状態からある程度落ち着いた状況に変化したことを家族に報告するため手紙を送りました。仕送りとして300Gも同封。
※ガイアは手紙に書く内容を迷い、一週間近く製作にかかりました。
すると父から返事が帰ってきます。
内容は、こちらも元気にやっているぞ、お金は家族で大切に使わせてもらう、冒険に満足したらマリアを連れてすぐに帰ってこい、というものでした。
そして、手紙の他に奇妙なものが入っていました。父曰く、近くの畑で見つけた。なんだか値打ち物のような気がするから送ってみた。とのことでした。
何かの部品のようにも見えるそれをガイアは不思議そうに眺めていると、近くにいた巨人亭の冒険者が声をかけてきました。
「そ、それはミニチュア魔導兵器RX7型の足パーツじゃないか!!
探していたんだ、是非売ってくれ。600Gでどうだ」
「いいよ」
ガイアは即答し、その奇妙なものは600Gで売れました。
他にガイアは、マリアが帰ってくるまでの間フェアリーテイマーの技能を身につけるべく修行をしました。
良い修行方法がないかと巨人亭の冒険者に聞いていたところ、大陸一のフェアリーテイマーと名高いルコンが依頼報告のため巨人亭に現れました。
ルコンはガイアに話しかけます。
「ここの森の奥にフェアリーテイマー技能を学ぶ良い所があるよ。学び方は簡単、そこで一日過ごすだけさ。大きな音とか無闇に動いちゃうと上手くいかないから気をつけてね」
その話を聞いたガイアは、さっそくその場所に向かいます。
道順を知らないと絶対にわからないような森の奥地にたどり着いたガイアは、そこに座り込み瞑想を始めました。
1Dで判定。
出目が6なら無条件でフェアリーテイマー技能LV1を獲得。
出目が5・4・3なら、1LV獲得にかかる経験点が50%減少。
出目が2・1なら、10%減少。
出目は・・・2。
10%(100点分)減少しました。
ガイアは足が痺れてしまい、体制が崩れた時に大きな音を出してしまいました。
技能は獲得できたものの、あまり恩恵は得られなかったみたいです。
人探しに出かけたマリアはフェンディル王国へ向かいました。
マリアが探してる人物はロークスというマリアに剣を教えてくれた師匠です。巨人亭の冒険者であるらしいが、その足取りは巨人亭の店主であるドラコにも分からないといいます。
「ロークスの足取りは正直わからん。ただ、遺跡の探索が三度の飯より好きな奴だから遺跡が多い地域にいるかもしれんな。フェンディル王国とか」
とりあえずそれを聞いたマリアはそこに行ってみることにしました。
ロークスに会いたい一番の理由は、もう一度剣を教えて欲しいと思ったからです。
前回の冒険最後、蛮族コンビ(ホモ)に追い詰められたことがマリアは無性に悔しかったのでした。
しかし、フェンディルでロークスらしき人物を探したが見つけることは出来ません。
マリアは腹いせに道中で出会った蛮族を蹴散らしながら巨人亭まで戻りました。
途中、行商人の一団から護衛を頼まれたので、それを快諾。目的地がディザ(巨人亭がある場所)なので、帰るついでの良い依頼でした。
特に危ないこともなく、マリアは目的地まで行商人を送ることに成功します。
タビと同じボーナス。
結果。
100G 300経験値 名声5 獲得。
プラス 大陸でも有名なお酒「タルタロス」を行商人からお礼として貰いました。
マリアは巨人亭に帰還します。
ガイアとタビはちょうど巨人亭で食事をしていたので、マリアもそれに混ざって食事を始めました。
「たっだいま、二人共何か変わったことあった?」
「家族に手紙を送ったら300G得した。あと、フェアリーテイマーの技能を身につけたな」
「僕は巨人亭のお手伝いをしてたうさ。いっぱい手伝いが出来て充実していたうさ」
「へー。じゃあタビ、だいぶお金貯まったんじゃないの?」
「え、いや、100Gぐらいしか……」
「タビ、なにか贅沢したでしょ。ここに来た時から騒いでた高級宿屋ファイアーブレスとかに泊まってたんじゃないの?」
「す、鋭いうさ」
「やっぱりね。ガイア、ここはタビの奢りよ。一人で贅沢したんだから、それぐらいしないとね」
「お、おう。ところでマリアはどうだったんだ?」
「あー、師匠は見つからなかったわ。でも代わりにこれが手に入った」
マリアは銘酒「タルタロス」をテーブルに置いてみせた。
「お酒?」
「酒豪すら酔い潰すと言われる有名なお酒うさね」
「そうよ。多分ガイアは一口でも飲めば大変なことになるわね。行商人をここまで護衛したお礼にもらったのよ。プレミアもついてるレア品」
「じゃあ売ろう」
「ええええ、嫌よ。絶対イヤ。これは次の大きな依頼が終わったらお祝いに飲むって生まれる前から決まってたのよ。無理無理、いくらガイアの頼みでもそれは出来ないわ」
「……冗談だ。ほんとお前はそういう奴だよな」
冗談と聞いて安心したマリアは大事そうにお酒を自分の袋にしまいこんだ。
またしばらく談笑していると店主のドラコがそろそろっと三人に近づいてくる。
「相変わらずお前たちは元気だな。なかなか話しかけるタイミングが見つからなくて困ったぞ」
「あ、ドラコ。ロークスは見つからなかったわ」
「ああ、それは残念だったな。こっちにも戻って来てないし、まったくどこにいるやら……」
「で、集まってる時に来たってことは何か依頼かしら。ちょうど祝杯をあげれるような歯ごたえのある依頼を探していたのよ」
「ほう、それならちょうどいい、少し頼まれてほしいのがあるんだ。だが、君が言うような歯ごたえがとは違うかもしれんがね」
ドラコはそういうと、依頼内容を話し始めました。
「巨人亭では近々遺跡の大規模な調査をしようと考えている。そのため優秀な頭脳を集めて一流調査チームを編成したいのだが、ちっとばかり集めるのが難航していてな。まったく、学者ってのはどうして気難しいやつらばかりなんだろうな」
苦笑いをしながらドラコはさらに話を続ける。
「そこで君たちには学者の引き入れを手伝ってもらいたい。簡単に言うと、オレが今から指定する学者に会って、調査チームの一員となってもらえるよう契約を取り付けてきて欲しいんだ」
「うーん、確かに私の考えてた歯ごたえとは違うわね。で、そいつはどんな奴なの?」
「帝都の研究所で研究員として働いてる学者でな。名前はレオって言う人間だ。歳は若く……15歳ぐらいだったかな。だが、学者としては良い才能を持っている」
「ずいぶん若いな。帝都の研究所に入ってるやつを引き入れることなんて出来るのか?」
「ああ、条件さえ合っていれば喜んでこっち側に来るだろう。帝都の研究所は実力があれば入るのは簡単なんだが、出るときは自力じゃ難しい仕組みでな。どこか有名で信頼できる団体からオファーされない限り、そこでカンヅメにされるのがほとんどなんだ」
「なにそれこわいうさ」
「まあでも、ひたすら机に向かって研究してたい奴らには良い環境らしいな、オレにはわからんが。レオ自身は自由に動いて研究することを憧れとしてる奴だ、この話には前向きに考えてくれるだろう。
引き抜きの方も本当は諸々面倒な手続きがあるんだが、オレと巨人亭の名前を出せば一発さ。てか、ルキスラとの話はすでについている。あとは本人の了解と意思だけあればいい」
「なるほどな。俺も交渉なんてやったことないが、巨人亭には世話になってるしやってみてもいい」
「面白そううさ」
「でも面倒そうね、成功した時の報酬はどのくらい?」
「そうだな、基本報酬として一人頭3000Gだ。そして、レオとの契約金として10,000Gまでの資金を用意している。もし10,000G未満で契約を取り付けられた場合、その差額は全部お前たちの報酬に上乗せしよう」
「……つまり、私が0Gでレオという少年を口説けたら丸々10,000Gが私のものってことね! その話、乗ったわ!」
「マリア、なぜ独り占めを考える」
「とりあえず決まりだな。できれば今すぐ帝都の研究所に向かってもらいたい。場所は城内にある施設だが、この俺が書いた書状を見せれば簡単に通してくれるぞ」
ドラコはガイアに一枚の書類を渡しました。
「さすがね、王城すら紙一枚で入れるなんて」
「あそことは元々繋がりが深いからな。もしオレが行ったら騎士団総出のお迎えも付くぞ」
ドラコは大きく笑うと、じゃ頼んだという言葉を残して奥の厨房に引っ込んでいった。
「急いでいるみたいだし、早くそのレオとやらに会いましょうか」
「そうだな、簡単に買い物してから出発するか」
「了解うさ」
3人は巨人亭に隣接された大型雑貨屋タイガーホールに立ち寄りました。
「ガイア、そんな空の瓶なんて買ってどうするの? 火炎瓶でも作る?」
「いや、これはフェアリーテイマーの技で使うんだ」
「なーんだ。タビ、あんたはまた魔晶石たくさん買っておきなさい。すぐMP切れするんだから」
「わかってるうさ、今4つ買うところうさ」
「じゃあ、倍の8つ買いなさい。お金持ってるでしょ」
「……はい、うさ」
「私はこのギラギラした、よく切れるナイフでも買おうかしらね。こういうの交渉に使えると思わない?」
「マリア、お前は何を考えているんだ」
「もちろん0Gでの契約成立よ。脅すのは冗談、手がなくなった時ね」
「やめろい」
準備が済んだ3人はドラコが用意してくれた馬車に乗り、ディザから帝都ルキスラまで移動しました。
3人はルキスラに着いてからも寄り道はせず、まっすぐ城門前へ行きます。
「相変わらず物々しい警備ね。衛兵が警戒してこっちを見ているわ。本当にこの紙切れ一枚で中に入れるのかしら」
「やってみないとわからんさ」
ガイアが衛兵に紙を渡すと、少々お待ちをと衛兵が慌てて奥へ引っ込んでいった。
数分後、その衛兵は戻ってきたが、一緒に金属鎧を来た屈強そうなファイターを連れてきた。
歳は30後半ぐらいで、種族は人間のように見える。相当腕が立ちそうだ。
「あなた方が巨人亭からいらした冒険者ですね。私はルキスラ第三騎士団士隊長のキネイル=フェイスタンという者です。要件の方は伺っていますので、どうぞ私に案内させてください。城内は広く迷いやすいですから」
三人は道案内の申し出を了承し、フェイの後について行くことにした。
宿舎のような大きな建物に入ったところでキネイルが話し始める。
「ところで、ドラコ団長はお元気ですか? 最近は騎士団の仕事が忙しくて巨人亭に顔を出せない始末でして・・・」
「ああ、元気そうだったぜ」
「そうね。……え、団長?」
「すいません、正確には元団長でしたね。
危ない、今のを現団長に聞かれていたら地獄メニュー10セットでしたよ」
「マリアは本当何も知らないうさね。ドラコさんがルキスラ騎士団の中でも最強の戦闘部隊と言われる第二騎士団の団長をしていた話は有名うさよ」
「へーさすがタビだな。俺は所属場所までは知らなかったぜ」
「なるほどね。来る前にドラコが言っていたココとの繋がりの意味が分かったわ」
「団長……いえ、ドラコ元団長には、私が新人としてここに配属された時に大変お世話になったのです。
士隊長という地位に立てたこと、今まで生き延びれたこともひとえに団長のドラゴンさながらのしごきがあってこそと思っています。
十年あまりが経過した今でも騎士団には私のように尊敬している人が多いはずですよ。
なにせ国王ですら、あの血滾るリルドラケンが懐かしいなとお言葉を漏らすほどですからね」
フェイはだんだん話に熱が入ったようで、元団長と言うことをすっかり忘れている。
「しかしそれゆえ、団長に嫉妬の念を抱き快く思っていない者も未だ騎士団内に存在しています。
特に後釜である今の第二騎士団の団長。それに、当時ドラコ団長の右腕として活躍していたディアーナ副長です。
ディアーナ副長は団長の退団後、自身も追うようにして騎士団を抜けていますので今は在籍していませんが」
「なるほどね。あの店主が只者じゃないことぐらいは見て分かってたけど、そこまで人気者とは思わなかったわ。
で、なんで退団したの? ここまで話してくれたんだから、教えてくれるわよね?」
「……残念ながら理由は分からないのです。私も何度か団長に尋ねてみましたが、はっきりしたお答えはもらえませんでした。
ただ、退団してからすぐにルコン・フェーゼルと共に【古き黄昏の巨人亭】を開いたので、それとは何らかの関係があると思います」
「むーモヤモヤするわね。いいわ、この依頼が終わったら直々に聞いてみましょう。
もし分かったらあなたにも教えてあげるわ」
「はっはっは、恐らく答えていただけないと思いますが、そうですね、もしもの時はよろしくお願い致します。
私も今のドラコ団長の情報が欲しくて、あなた方巨人亭の冒険者にお話した下心がありましたので。
それと出来れば、騎士団はドラコ団長の復帰を望んでいると伝えて頂けないでしょうか?
ここだけの話ですが、現騎士団のレベルは過去最低水準です。なにせ私のような未熟者ですら部隊で五指に入る士隊長に就けるぐらいですからね」
「ふん、私たち3人がかりでも余裕そうな雰囲気を放ってるのによく言うわね。
でも頼まれてあげる。ドラコがどんな返答をするのか興味あるし」
「どうかよろしくお願いします。……ちょうど着きましたね。
そのドアの先がレオ研究員の私室です。どうぞご武運を」
フェイは三人に一礼して去っていった。
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