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違います、ちがうんです。  作者: 炭酸電池
4/6

頑張れ南田

まだまだ続きそうです…。どうして前編後編からこんなことに…。ごめんなさい。

「うーん……。」



全身鏡の前で、私は苦い表情を浮かべる。

今日も鏡で自分の身体を見ているわけだが、いつもと違い体型を嘆くためでは無い。

まずは順を追って説明しようと思う。



普段あまり足を踏み入れない本屋へ行き、流行りのファッションを紹介している雑誌を買った。

そしてその雑誌を参考に、洋服屋へ行ってそれっぽい服を買った。

家に着いてちょっとドキドキしながら買った服を着た。

そして鏡でその姿を見た。


で、冒頭の唸り声に戻る。



そうつまり、私は第二の目標、オシャレに着手したのだ!!


うん。したのはいいんだけど……微妙だなあ。

朝の体重測定で数字が減ってて、ちょっと勇気が出たから服も買ってみたんだけど。

これでスタイルが良かったなら似合っていたんだろうが、残念ながら私は相変わらずドラム缶。似合うはずも無い。

しかもボサボサヘアーだし。

というか、体型よりもこの髪型がだいぶ服の邪魔をしている。



「美容室…………行こうかな?」



このボサボサヘアーだけでもなんとかしたら、だいぶマシになる気がする。

髪を染めるまではしなくても、ちゃんと整えてもらえば少なくとももっさり感は軽減される、と思う。


でも、中学生の時お母さんと一緒に行って以来、一度も美容室には行ってない。

ハッキリ言って、すごく怖い。

あんなオシャレな空間見るのも畏れ多いし…………入るなんて恥ずかしくて絶対無理だ……。



「でも、私………変わり、たい………。」



ダイエットして、オシャレすれば、自分に自信が持てて明るい性格になれる気がする。

このうじうじした自分から、もうさよならしたい。



「よし!」



恐怖を吹き飛ばすように、パンッと頬を強く叩いた。


怖気付いちゃダメだ!恥をかいても、馬鹿にされても、変わるためには必要な事なんだ!

ひとつひとつ、勇気を出して行動すれば、最後には変われた自分がいる。



「個別撃破!まずはこのボサボサをなんとかしよう!」



オシャレになって、あのナルシスト共の鼻をあかす!!

頑張れ、南田めめこ!!










と意気込んでたのはいいけど、実際に敵を前にするとやっぱり怖いよね。




現在、私は評判がいいと聞いた美容室へ予約するために、めったに来ない街へ来ていた。

今はその美容室の前にいるのだが、私が入るにはあまりに場違いな雰囲気に、足をガクガクさせて店前に立つのがやっとの状態だった。


こ、こ、こわい………。


も、もう帰ろうかな………………。



入るにも入れなくて、帰るにも帰れなくて、私はどうしようかとキョロキョロ辺りを見回しながら、動揺していた。

う、後ろの喫茶店に入っていったん落ち着こうかな。

あ、でもあそこもオシャレだ!!駄目だますます落ち着かない。

座ってる人もかっこいい人達ばかりだし…………え?


喫茶店のテラスで、一人だけ私の方を向いている人がいる。



「……………?」



私は試しに、左へ三歩歩いてみた。

相手の頭も同じ方へ動いた。

そして次は、右へ四歩歩いてみた。

相手の頭もそれを追ってきた。




………見ている、気のせいじゃない確実に私を見ている。


頭は派手な金髪だ。顔は外国人っぽくて彫りが深い。知人とかではない。

誰だこいつ……!

頬杖をついて私の事じろじろ見てやがって!

そんなに面白いか!?デブスが美容室に入ろうとしてるのがよぉ!



なんか泣きたくなってきた。


帰ろう………。



「入らないんですか?」


「!?」



なに!?

こっちをじろじろ見てた金髪外国人が話しかけてきた!



な……遠目から馬鹿にするだけでは飽き足らず、直接攻撃しにくるなんて……!

や、やばい。面と向かって馬鹿にされてしまうの私。

汗をかきながら金髪外国人の動向を見ていると、何故か財布を出してお札をテーブルに置き、そのまま此方に向かってきた。

え!?く、来るなっ!!



「一緒に行ってあげますから、入りましょう。」


「え……。」



やだ。すごくいい人……。

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