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第2章 一般的な分野の第一論題:存在の本性について

Cap. 2. Partis generalis tractatus prior: de natura entis.

一般的な分野の第一論題:存在の本性について



§. 1.

【問い】

Quot modis sumitur vocabulum entis?

存在という言葉は何通りに解されるか?


【答え】

Duobus modis, vel pro ente reali, vel pro ente rationis.

2通り。すなわち,現実的な存在と解されるときと,思考上の存在と解される場合とがある。



§. 2.

【問い】

Quid est ens reale?

現実的な存在とは何か?


【答え】

Quod revera existit, e.g. homo.

本当に実在しているもののことである。例えば,人間。



§. 3.

【問い】

Quid est ens rationis?

思考上の存在とは何か?


【答え】

Quod revera non existit, sed fingitur a mente, e.g. Chimaera.

本当は実在せず,頭で空想されているもののことである。例えば,キマイラ。



§. 4.

【問い】

Quotuplex est ens rationis?

思考上の存在にはいくつあるか?


【答え】

Duplex, possibile et impossibile.

2つ。可能なものと不可能なもの。



§. 5.

【問い】

Quid est ens rationis possibile?

可能な思考上の存在とは何か?


【答え】

Quod non existit quidem, potest tamen existere, saltem per potentiam Dei absolutam, e.g. Chimaera.

なるほど実在しないのだが,しかし神の絶対的な潜在能力にすがれば実在しえるものである。例えば,キマイラ。



§. 6.

【問い】

Quid est ens rationis impossibile?

不可能な思考上の存在とは何か?


【答え】

Quod neque existit, neque potest existere, ne quidem per potentiam Dei absolutam, e.g. homo irrationalis.

実在せず,かつ神の絶対的な潜在能力によってすら実在することができないものである。例えば,非理性的な人間。



§. 7.

【問い】

Quodnam ens est huius loci?

この箇所ではどちらの存在が扱われるのか?


【答え】

Ens reale.

現実的な存在。



§. 8.

【問い】

Quot sund divisiones entis realis?

現実的な存在の区分は何通りあるか?


【答え】

Duae.

2通り。



§. 9.

【問い】

Quaenam est prior?

1つ目は何か?


【答え】

Ens est vel Deus vel creatura.

存在には,神と被造物がある。



§. 10.

【問い】

Quaenam posterior?

2つ目は何か?


【答え】

Ens est vel substantia vel accidens.

存在には,実体と偶有がある。



§. 11.

【問い】

Quales sunt hae divisiones?

これらの区分はどのようなものか?


【答え】

Generis in species.

類を種へ区分している。



§. 12.

【問い】

Generisne univoci an analogi?

類というのは本義として用いられているか,それとも比喩か?


【答え】

Analogi.

比喩である。



§. 13.

【問い】

Quare?

なぜか?


【答え】

Quia ens primario praedicatur de Deo et substantia, secundario de creatura et accidente.

存在は,一次的には神と実体に術語付けられるのであり,二次的に被造物と偶有に術語付けられるからである。



§. 14.

【問い】

Declara.

もっと分かり易く。


【答え】

Quia si Deus non esset, neque creatura esse posset: similiter sublata substantia tollitur accidens. Non vero vice versa, sublata creatura vel accidente tollitur etiam Deus vel substantia.

神が存在しなかったならば,被造物も存在しえなかった。同様に,実体が取り除かれるならば,偶有は取り除かれる。しかし,反対はそうではない。すなわち,被造物が取り除かれたり偶有が取り除かれたりしても,神や実体が取り除かれるわけではない。

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