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骨格

「優一さん、私怖いです。 離れましょう」

俺はどうにかして、この事を利用できないかと考えた。

「ちょっと待て。 会話を録音しよう。 ここで撮ったデータを未来に送って調べてもらおう」

一旦、その場を離れ俺はデータを送ることにした。


「先輩、今、送ったデータなんですが、何なのか分かりますか」

「どうしたの。 急に音信不通になって、やっと、連絡が取れたと思ったら、調べてくれだなんて。 って、いうか優一君の横に居る子は誰なの?」

呆れた顔で先輩は言う。

「あっすいません。 一つずつ、説明していきますね。 

まず、こいつは立花奈央って言うんですが、被害を受けていなかった村に居た子です。 

でも、その二日後に化け物に襲われてしまい、助けたのですが、色々とばれちゃって」

「そっか。 緊急事態では仕方ないわね。 それで、これまでずっと?」

先輩はより呆れた顔で、質問した。

「はい 協力してもらってます。 まぁまだ行動を共にして、半年くらいなんですがね」

「でも、優一君。 これは守ってね。 その子は半年と言っても民間人と一緒なの。 危険なマネはさせないように」

いつもより、真剣な表情で、先輩は言った。それほど、大事な事なのだ。

「分かってます。 あっそれで、そのデータは化け物の会話を盗聴したものです」

「化け物の会話か。 これまでに事例はないわね。 よく、入手できたわね。 それじゃ調べてみるわ」


-ピッ

「もうそれで通信を切ったんですか?」

奈央は子供の用に向学心を燃やすように言った。

「ああ これが切った合図だ」

「でも、私が言ったこと、言わなくていいんですか?」

それは意外な質問だった。

「ああ まだ言わない方がいい」

彼女の言ったこと。 化け物は人間か否か。

もし、人間だとすればそれは人の手により進化させられたと言ってもおかしくはない。

その可能性は十分にあるのだ。

未来の科学力を持ってしてでも、解明できない事を見る限り、科学技術が異常なまでに進歩した物の犯行というのが妥当だろう。

だから、今はまだこの事は隠していたほうがいいと判断する。

「優一さん、これからどうします?」

「そうだな。 一旦、宿に戻るか」

「ですね。 今日は本当、寿命が縮まりましたよ。 あの化け物に気付かれるかと思って心配でしたよ。」

「まだ、何の情報も得られていない。 明日はもっと危険になるぞ」

「はい 覚悟してます」

いい機会だったかも知れない。 奈央の覚悟を確認する、いい機会だ。

でも、彼女はそれにめげることなく、逆に闘志を燃やしていた。


-次の朝

「...さん、いちさん、優一さん」

「わっ びっくりした」

「あっすいません。 起こしてしまって」

「いや、良いよ。 でも、まさか半裸状態で寝てる時に無理やり起こされるとは思わなかったけどね」

俺は目をこすりながら、嫌味な事を言った。

「やっぱり、私の事、許してないじゃないですかぁ」

「いやいや、冗談、冗談」

冗談ではない。 とてつもなく恥ずかしかった。 それはとてつもなく。

「それより、今日も調査に向かうぞ」

丁度、その時だ。 腕時計型携帯機(フォードステーション)に連絡が入る。先輩だった。

「あっ 優一君。 聞こえる?」

「聞こえるよ」

「良かった、良かった。 昨日、優一君から貰った音声データを調べさせたんだ。 そしたら、凄いことが分かったわよ」

「凄いこと?」

「うん。 実は発音的には人間の骨格とそう変わりはないようよ。 まぁ簡単に言うと、その化け物の声から予測できる骨格が人間と似たような形をしているんじゃないだろうかとこっちでは判断したの」

「じゃ、奈央の見た物は本当だったのか」

「奈央ちゃんって、昨日の子? その子が何か見たの?」

「はい。 そうなんです 実は・・・」

俺は先輩にすべてを話した。

「まさか、人間から化け物だなんて。 信じられない。 でも、今回の調査でその可能性は高まるわね」

「だから俺は、俺達以上に科学技術が発達した物の犯行なんじゃないかって思ったんです。 その可能性はありませんか?」

「どうだろう。 今はなんとも。 そもそも、この世界の設備だって完璧に理解できてる訳ではないし、人間が理解できるのには限界があるんじゃないかと思うの」

「そうですか・・・」

「まぁでも、今回の一件はすごく貴重な情報だったわ。 ありがとう」

「いえ・・・」

「はいはい、そんなに落ち込まない。 それを調べるために貴方は居るんでしょう? ほら、やる気だしな」

先輩には落ち込んだように見えたようだ。 ただ、考え込んだだけだったが、心では落ち込んでいたのかもしれない。

「りょ、了解です」

「それじゃあね」

-ピッ


「今回の調査から化け物にはなるべく接触しないようにしよう。 主に尾行、その線であたってみよう」

「分かりました」

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