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戦闘と裏

「はぁはぁはぁ」

「はぁはぁはぁ」

着いたか。

居た居た。

「わわ、あんな化物と戦うんですか?でかい犬みたいですけど、出かいだけでこんなに怖いんですね」

「ああ、そうだ。自分の安全を確保したら、どっかに隠れてろ」

「は、はい 分かりました」

というと、室井は怯えながら近くにあったフェンスに隠れた。

「今度は犬か。手こずりそうだな。まずは一発」

銃を放つ。

-バン!

そのでかい犬は銃をくらいながらも堂々とその場に立っていた。

「くそ、あんまりきいてねぇな」

当たったと思うとその化物は凄いスピードでその公園の四方八方を動き回った。 時には、高く飛び、時にはフェンスに足を掛け、走り回る。

「当たらせないためか。爆発する弾を使うしかないか。一発勝負だな」

弾丸を変える。

銃を待つ手が震えてるのが自分でも分かった。

全身の神経を目と聴覚だけに集中した。

不規則に動くその動きにたった一つの小さな規則性を見つけ、重い引き金を精一杯引く。

-バン!

-ばんばんばん

身体に当たったかと思うと忽ち、血をふきながら爆発した。

よし、当たった。

「やりましたね」

「室井、俺がやってるのはこういう仕事だ。命は保障出来ない。それでもやる覚悟はあるのか?」

「あります 俺、頑張ります」

「結構、根性あるじゃねぇか。よし、それじゃ、肉片と飛び散った血を掃除するぞ。腕時計のメニュー画面に転送モードってあるだろ?そこを押してみろ。そこを押したら、光が出るはずだ。その光に入った肉片や血は未来に転送される。そうやって、送るんだ」

「分かりました」


 五分も経たない間に転送作業は終わりを迎えた。

「今日は色々あったな。もう帰っていいぞ」

「今日は本当にありがとうございました」

「あ、うん」

ありがとう何て言われたのは初めてだ。

こういうのもたまにはいいもんだな。


-次の朝

先輩から連絡が入る。

「やぁやぁ、おはよう。調子はどうだ?」

やけにテンションの高い先輩。

「お、おはようごじゃいます」

「あっ寝起きだったか。すまんねぇ」

「いえ、良いですけど、なんですか? また化物ですか?」

そういう雰囲気ではないが、質問してみた。

「いやいや、今日は研修生と上手くいってるのか聞きたかっただけだよ」

「まぁ上手くやってるよ」

「人間嫌いの優一君が珍しいね」

「それは言わなくていいでしょう」

昔、色々あって対人恐怖症になったのを先輩だけは知っていた。

「まぁ今日はそれだけだから」

と言うと早々に通信を切る。


「本当にマイペースな人だな」


それにしても、今日はやけに外が騒がしいな。

皆、きゃーきゃー言ってるし。


って、これってやばい方の悲鳴じゃないかよ。

俺は慌てて外を出る。

すると、そこにはほのぼのした部屋の雰囲気とは裏腹に絶望的な光景が待っていた。

「おい、どういうことだ。目視できるだけで20人は死んでる...」

そして無数の化物。

「なんで、こんな急に?」

絶望・・・

考えてる暇はないか。

俺は右ポケットにある武器を握りしめながら、覚悟を決める。

一発でどうにかするしかないな。

重い足を何とかあげ俺は化物に向かう。


「一匹目、二匹目、三匹目、四匹目」

-ばん!ばん!ばん!ばん!ばん!ばん!ばん!


そこら一帯を走り回りながら、銃を放った。

「はぁはぁ。朝っぱらからきついぜ」


少しの気の緩みだった。

突然、何かが脇腹に当たった。

「くぁぁぁぁぁ」

急に来る右脇腹の痛み。

俺はそのまま倒れこむ。

倒れこみながら痛みのした方向を見る。



「む、室井?」


そこには室井が居た。 俺は理解できなかった。 何が起きたのか分かるはずがなかった。

「はははは。馬鹿だなぁ 新人をこんなにあっさり信じちゃうなんて」


その言葉を聞きながら、昔の事を思い出していた。

「今日、学園長の金庫からお金が盗み出された。 知ってるものは居るか?」

静まり返る教室。

「先生! 俺、盗んだ奴知ってるぜ。」

クラスで唯一の友達である浩太(こうた)が言った。

「誰だ?」

「優一だ」

あの時の記憶。 小さい頃の裏切り。 その記憶だけが頭を巡っていた。

俺は無意識のうちに銃を放っていた。

「くはぁぁぁ」

銃は室井の心臓をえぐる。

唸り声をあげて倒れこむ、室井。

俺は罪悪感に苛まれていた。


「俺は悪くない。俺は悪くない。あのままだと殺される所だった。そうだ。しょうがない。しょうがないんだ」

そう呪文のように言い続けた。


薄暗い部屋に俺は居た。そして、目の前には見覚えのない少年。

「本当の敵は何だと思う?」

少年はそう言った。

「本当の敵?どういうことだ?」

何も分からず、パニックになってるうちに少年は後ろから引っ張られるように小さくなっていく。


目を覚ます。

「夢か。寝ちまったのか」

「い、いたああああ」

右わき腹を見るとそこにはナイフが刺さっていた。

そういや、傷口を塞ぐ機能が腕時計に着いてるっていて先輩が言ってたな。

すぐさま、腕時計のトリートメントモードを起動する。

すると、腕時計から数種類の針と注射器が出てきた。

注射器が俺の傷口に近ずく。

初めて使ったせいか、余計に恐怖が押し寄せてくる。

そして、注射器が傷口に切りかかる。

「い、たああああああああああああいいいいいいいいいい」

そ、そうか・・・ これは麻酔か

「でも、こんなに痛かったらま、麻酔の意味なんてねぇよおおおお」

喚くこと5分

麻酔が効いてきたようだ。

それから15分、綺麗に傷口は塞がっていた。


それから10分は経っただろうか。

動けるようになった時には夜の8時を回っていた。

俺は傷口を完全に塞ぐため、部屋に戻って包帯を探すことにした。

包帯の位置を確認しながら、俺は箪笥に向かう。

「あった、あった。それにしても、便利なこった。傷口がこうも簡単に塞がるなんて」


「今日は疲れた。もう寝よう」

そして、眠りにつく。

もう始まっている恐怖も知らずに・・・

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