第3話~海上にて、艦がとばされる~
太平洋海上
「しらさぎ」ら5隻の派遣艦隊は順調に航海をしていたが
~しらさぎ~
「艦長。気象士からの報告で、この先大型の低気圧があるそうです」
艦橋で菊松は艦長の平田に報告している。
「そんなのは出航前の予報には無かったな…」
「ですが艦長。この先に入道雲が見えます」
菊松は艦橋の窓から見える入道雲に指差す。
「総員艦内配置につかせて時化に備えよ」
「はっ!総員配置につきます!」
「僚艦との連絡を密ににせよ」
「はっ!」
艦内に非常ベルが鳴り響く。
「しらさぎ」の乗員達は慌ただしく配置に向かう。
「何だってんだ!?」
「嵐が来るんだってよ!」
「ミサイルが来る前に嵐か」
沢田航海長も双眼鏡を持って配置についた。
「おぅおぅ。デカくて黒い入道雲だな」
「しらさぎ」は入道雲に突入した。
唸りをあげて波がしらさぎを襲う。
船は大きく揺れる。
「おーおー」
「隊長。私酔いそうです」
部屋で待機していたSBTの隊員の1人が吐き気を訴える。
「我慢しろよ。出したら飲み込めよ。」
「そ、そんな…」
吐き気を催した隊員は船にはあまり馴れていないようだった。
「艦長」
「どうした菊松二佐」
艦橋で菊松が何かに気づく。
「あれ何でしょうか?」
平田艦長は菊松が指差している。
海上の波の合間に何かが見える。
「あれは…?」
平田艦長は目を凝らして「何か」を見る。
それはただの光のように見えたが
光の中に人がいるようにも見えた。
「…人?」
その瞬間周りが突然光った。
「うわっ!」
菊松と平田は思わず目を瞑った。
それと同時だった。
「僚艦失探!!」
「僚艦との連絡が途絶えました!」
CICでは突然、レーダーから僚艦が消えたので動揺していた。
「故障じゃないのか?」
村田直也砲雷長は故障だと言ったが
「システムオールグリーン!全部正常です!」
この事態は艦橋にも伝わっていた。
「さっきの光を境に僚艦が消えた…」
平田艦長が呟く。
菊松は窓の外を凝視している。
ついさっきまで見えていた他の艦が消えていた。
「なにがどうなっているんだ?なにが起こったんだ?」