第4話 与える。
本当に久しぶりの投稿・・・!
お待たせしました!
今日という1日はオレの人生最大の厄日なのだろうか
男を殺害する瞬間を目撃し(さらに犯人の人相まで知っている)
しかも殺されたはずの死体が消えうせるという不思議体験を経験
お蔭様でほぼ1日授業もまともに受けられなかった
今日のオレは本当についていない
神様に嫌われるようなことをしただろうか・・・残念ながら記憶に無い
そして、今俺の前に立つ『誰か』はオレに不幸を運ぶのか否か、この距離では確認できない
「・・・・・」
月の光を浴びて街灯がパチパチと点滅する
街灯の真下に立つ『誰か』は漆黒のコートにフードを深くかぶっているという‘怪しい人’を具現化したような姿で静かにたたずんでいた
そう、たたずむだけだ・・・何もしてこない
カツ、
試しに1歩、歩を進めてみた
カツ、
さらにもう1歩
カツ、
歩を1歩1歩進めるうちに恐怖心はじわじわと消えていく
自然と歩幅は広くなり、歩くスピードも速くなっていく
街灯の灯りが少しずつ近くなる
そして、
「・・・・・」
『誰か』を通り過ぎた
それと同時に駆け足で走り出す
どんなに重苦しい『空間』でも今なら本当の名前で呼べる気がする、何より泥のようにべったりと張り付いた恐怖を早く拭いたかった
もうすこし・・・!
もう少しで帰れる・・・!
「生きることが全てだと思うか?少年」
最初は誰が言ったのか分からなかった
ゆっくりと後に振り向く
そうすると『誰か』もオレの真似をするようにゆっくりと後ろに振り向く
今度はしっかりと顔が見えた
「・・・え・・・?」
見間違えるはずがなかった
ありえない・・・ありえない・・・!
そんなの、ありえない!!
地上は無風なのに上空は強い風が吹いているのか月を雲が覆い隠したり隠さなかったりを繰り返す
「そんな考え、生きる者の言った戯言だ。死ねば何も出来ない?それはこの世に未練の無い者にしか当てはまらない」
聞き知った『男の声』は饒舌に演説を始めた
声が一言口に出すたびに体の震えは大きくなり、足は震えながら後に歩を進める
黒フードから距離をとっていく。それでも奴は気にせず語りだす
「気付いているのに何故知らぬ振りをする?感じているのに何故そこに居ぬように振舞う?分かっているのに、信じているのに・・・」
奴は淡々と立ったまま機械的に己の考えを説く
「そう、それは恐れているからだ。我らを恐れ崇めているからだ。
さぁ、もっと恐れよ。もっと崇めよ。我らこそ___」
一瞬、何が起こったのか分からなかった
風がオレの横を通り過ぎた__それしか感じることが出来なかった
でも次の瞬間この一瞬に何があったのか理解した
「この世の王、この世を統べるべきものなり」
真横に顔があった
いつも鏡で見る、今日はいつも持っている学生証で見た
真横で声がした
一人の時だろうと自分が口を開き、声を出せば常に鼓膜を震わすその声が
これだけの距離で見間違いも何も関係ない
今、オレのすぐ隣に
オレの姿をした誰かが立っていた
あまりの驚きに気がつかなかった
でも少しずつそれは侵食する
「ぐ・・・ぁ・・・」
痛い、腹に痛みが走る
腹痛なんて生易しいものではなかった
熱い、心臓がいつも以上にはねる音がする
持久走の後よりもその音は大きかった
ゆっくりと痛みの元である腹を見ると
「ぁ・・・・・」
刺さっていた、
でもそれはオレの想像していたナイフや包丁と呼べるような代物ではなく
「な・・んだ・・・これ・・・」
奇妙な、具体的に言えば黒い茨の蔦のような物がオレに絡まりもせず綺麗に刺さっていた
「驚いたか?でも、まだこれだけでは終わらないぞ」
さっきまで機械的に話していた『オレの様な奴』は、今度はまるで子供にプレゼントを与える親のような優しい声でオレに語りかけてきた
「・・・・ぇ・・・?」
沈んでいく
黒い茨の蔦のような物体はズブズブとオレの体の中に入っていく
でも自然と痛みはなかった
それに加えて今まで感じていた痛みも嘘のようになくなっていた
「役に立たない『力』だがお前には十分だろう」
「ち・・・から・・・?」
「そうだ、人の身では手に入らぬ貴重な『力』だ。大切に使え」
そういうと奴は少しずつ光の届かない場所へと進んでいく
バタン
あの男の気配が消えて
やっとオレは地面に倒れることが出来た
空を見るとさっきまでの月光が嘘のように消えていた
さっきまでの恐ろしさが嘘のように「明日は雨かな・・・?」とまどろみを感じながら夜空を見る
しかし、こんな所で寝転がっていたら車に轢かれてしまう、早く起き上がって帰ろう
でも・・・
理性と欲求がオレの脳内で葛藤する
しかし、さっきまで感じていた痛みに対する疲労のせいか理性は負けてしまい
オレはそのまま目をゆっくりと閉じた




