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Lace Edge  作者: 一夏
33/36

33.baroque

と、


「言う訳でだ、」


な。


「訳も、な、も無いでしょ。」


 向かい合った正面から、皮膚そのものでもない。大きな力を揮うことの出来る指先で、やわやわと圧されながら、三津は呆れ返っていた。





 彼の無骨な手指を窪ませて造るお椀型は、利人という男が成せる丸みの中で最も優しい。そのお椀に視線を落としてるのは、顰め面である。当然中身は入っておらず、彼は恐らくそれが気に喰わない。

少し嵩は多いけれど、ぴたんと収まるものを利人は知っていて、今、たった今、それを組みに行きたいのだ。


--三津、


 彼女の。どこもかしこも、利人に優しく創られているその中のひとつところは、もしかしなくとも飛びぬけた柔らかさでは無いのかもしれない。けれど、彼のこそげた頬が緩むくらい。


--あの、


 乳房の一対。

 茨の棘の頂。

 窪みの一等深いところで感じなければ、と彼は切迫して思った。





 そんな訳である。

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