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4.ストリングス商会

努力のできる偉い子サラです。



お昼になったので、公園にある噴水のへりに腰掛け、コニーと並んでサンドイッチを頬張る。


何の気なくそのとき浮かんだ疑問を口にした。

「ねえ、うちの国の首都って、どうして呼び方が『首都(ザ・キャピタル)』なのかしら。他の国の首都には名前がついているのに。」


コニーは難しい顔をした。

「実は、よくわかってないんだって。」


これは兄さんの受け売りなんだけどね、と前置いて話し出す。


「精霊王クライスフェルトのことは知ってる?」


「うん。クリスマスの名前の基になった精霊だよね?建国神話にも出てくる。」


「その精霊王が、王家の始祖となった男と交わした盟約のせいで、首都は名無し都市(ノー・ネーム・シティ)なんだって言い伝えではいわれてるらしい。精霊史を専門にする考古学者たちが頑張って調べてるけど、それでもよくわからないんだって、兄さん言ってた。」


「そうなんだ。」

サラはちらりと頭上で漂っているララを見る。

こちらの話には全く興味を示さない。ララは、こういう小難しい話は大嫌いなのだ。


コニーは伸びをして、すくっと立ち上がった。

「そろそろ行こう。駅の方まで歩くとなると結構時間かかるの。でも、バス代は節約したいでしょ?」


全く持ってその通り。

ただでさえ、家族からの援助は期待できないのだ。

生活費以外のお金は、極力節約するに越したことはない。



首都の西の端にある公園から、東への道をまっすぐ進む。

コニーはひっきりなしに喋っていた。


「ねえ、サラが特待生って、ほんと?」


「うん、実はそうなの。」


「すごいなあ!」

コニーは人気役者を見るような目で私を見た。


「入学試験で女子の中での歴代最高得点を叩き出した才女が来るって、街で噂になってたよ。」


ちなみにサラの特待とララと契約したことは全く関係ない。

ララは勉強が大嫌いなのだ。

だから、精霊の性質について、人間のサラのほうが詳しくて、精霊のララはまったく知らない。

変な話だ。


それに、入学試験場では精霊の補助によるズルを防ぐため、厳重な結界が張られている。


正真正銘、特待を勝ち取ったのはサラの努力によるものだ。


「そうだよ、うちのサラはすごいんだから。もっと崇めなさい!」

コニーに聞こえないくらいの音量でララが呟いた。


崇めなくていい。

私は普通のスクールライフが送りたい。

変な狂信者はいらないのだ。

サラはひとりごちた。



コニーは、サラを連れてコーヒーショップへ行くのかと思いきや、そうではなかった。

連れてこられたのは、とてもリッチな外装の、輸入品を取り扱うお店である。


〈ストリングス商会〉


ガラス張りのドアに、「open」の看板がかかっている。


「本当にここでコーヒー豆を買うの?」


不安になる。

外からわかる内装やショウウィンドウの陳列棚は、明らかに学生が手を出せるような価格帯の店ではないことを容易に想像させた。


「まあ見てなさいって。」


ドアの上部分にぶら下がったベルを勢いよく鳴らしながら、コニーはドアを開け放った。


あれ…?

何やら馴染みのある名前です。

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