転移そして始まり
転移して初めて見た景色は逢魔が刻の、なにかを感じさせるようなこれからの生活を暗示するような蠱惑的な景色だった。
そんな景色を名残惜しく感じながら目を背け何やら喧騒を感じる方に目をやれば、門に向かい急いでいる人々が目にはいった。夜になるとさすがに何かしらの危険があるのだろうと思い丘を下り門を目指す。
転移させてくれた神様は言っていた、「転移した先の世界では魔法がある。」と。顔が謎の光によって見えなかったので表情は見えなかったけど…
いや神様の顔に謎の光ってwどんな顔してるんだよR18とかどんだけだよwまぁ神と勝手に俺が言っているだけで神様ではないのかもしれない。上位存在であることは確かだろうから転生させてくれただけで感謝感激雨あられと言ったところか。どんな顔なのだろうと想いを馳せているとどうやら門まで着いたようだ。
門は閉じており門番が
「みない顔だな、すまないが定時により既に閉門している。明日の開門までその辺で時間を潰してくれ。閉門に間に合わなかった者達がキャンプをしている、そこに混ぜてもらえば一晩くらいなら安全に過ごせるだろ俺たちも居るしな。どうせ田舎から出てきて冒険者にでもなりに来たんだろ、少し話しでも聞いて現実みてよく考えろよ。」とのことだった。
暗くなった辺りを見渡せば、焚き火でもするのだろうか薪を積みその回りで小汚い男達が紫煙をくゆらせ酒でも飲みながら談笑していた。
「すいません、田舎から出てきて冒険者になろうと思って来たのですが閉め出されてしまって、一晩どうしたら良いかと悩んでいたら先輩方がいるのがみえてお話でも聞かせてもらえたらと思ったのですが。」
「災難だったな、兄ちゃん。まあこっち来て座れや、こっちもちょうど暇してたところだ。礼はまた今度酒でも奢ってくれや。田舎から出てきたときは俺も苦労したなぁ。」
そんなことを言って色々なことを教えてくれた。それはもう色々なことを。具体的にはうん何て言うかくそどうでもいいような自慢話しか話していなかった。
男が何杯もの杯を干し、いい加減同じ話を聞きあきたのでそろそろ休ませてもらいたいことを伝えると、
「ガキはねんねの時間か、寝る子は育つって言うし後は俺らに任せて休みな。」
お言葉に甘えさせてもらいマントにくるまり横になる。少し配慮が出来たのか話し声は幾分か鳴りを潜めた。焚き火のパチパチとした木の弾ける音が心地よい。
見たこともないような星空を眺め、これからの明るい未来を目蓋に描き眠りにつくのであった。