血と汗の銀細工!
「ゴメン、ムリ」
はやっやけに早口だ。
「え?」
「ごめんなさい、無理」
俺は一瞬会話内容が頭に入らない。俺の田舎では鉱物とかモンスタードロップとか、貨幣替わりに使われたりするんだが……都会だから??
「あの、何故でしょうか、教えて頂けませんか。俺金は無いけど純銀をいっぱい持ってるんだっ!」
下手に出てみた。
「その銀の出どころってどこ? そんな銀の粒だけ見せられても買い取れないわ」
お前も料理屋主人と同じ事言うのかよっ! 出所とか聞き出したぞ……
「いやでもマリさん、アクセサリーとか作るのに銀がいくらでも必要でしょう?」
「それはちゃんとした鍛冶屋さんからインゴットで購入してるから……」
金の延べ棒みたいなヤツか?
「でも~~いや……じゃコレでっ!」
俺は安易にひらめいた顔をして片手を上げる。
「じゃっじゃ無いの! 鍛冶屋さんに行っても無駄よ、今偽金密造団が出ててお役所が警戒してて、それで無くてもおかしな金属を扱えないのよ」
このー密造団めーっ!
ーユリナスは自分がした事をもう忘れているので御座います。
「じゃ、どうすればいいの?」
「そうね、貴方がアクセサリー作家で、その有りあまる銀で何か作って来て、売り物になりそうなら買い取ってアゲルわよ~」
半笑いで絶対ちょっとバカにしてるだろ?
「いや、俺実は外国から来た出稼ぎ冒険者で住む場所も無いんだ、そんな暇ないよ!」
ビシッと余計な事を言ってしまう。
「……家も無いのに何故に大量の銀を所持してるの?」
ジトッ
マリはさらに凄く疑り深い目で見始めて来る。うっ……ぜんぜん違う事で反撃だ!
「所で屈強な戦士のお兄さんトイレ長くない?」
俺は再び店中をキョロキョロして不審者感をアップしてみた。
「あ、兄は今『ぢ』なんです」
「ぢ?」
「え、ええ。長い時は1,2時間はトイレから出て来ません!」
さっきすぐに出て来るって言ったじゃないか。
「さっさと魔法病院に行けーーーっわーーーー!」
俺は泣きながら店を出た。
ダダッ
「何あの子?」
ーしかしマリの心の中に何故かユリナスの事が強く印象に残ったので御座います……
俺はヤケクソな気持ちで街をさまよい歩いたが、前から怖そうなお兄さんが来たらしっかり避けた。
ささっ
「ん、露天商街か……どらどら?」
何気なく見ると、安物アクセサリーの露天商も居た。
「お兄さん恋人にかい? これなんてどう」
見せてくれても恋人にあげるにはチープな物ばかり……イヤ恋人いないけど。
「しかし一番安い物でも謎の花をかたどった針金細工が50エピか……いやコレだっ!」
ビシュドガッガキッ! ベチャッ……
俺は再び狩場に行くと必死に2時間掛けてスライム10匹を倒した。