領地行きb ドキドキ……
「嘘よ嘘、そんな泣きそうな情けない顔しないでよ! 冗談よ、面白そうだから行ってみようかしら?」
へ?
「ほほほほ、本当!? じゃあ一緒に行こうよっ」
分かりやす過ぎる俺は、ぱあっと笑顔になった、多分。
「……領地とか代官とかって面白そうだから見たいだけなんだから。それ以上の気持ちはありませんから!」
少しだけ赤面して急に何を言ってるんだよっマリ。
「分かってます、分かってますとも! じゃあ明日行けるよね?」
「はいはい、もう荷物は用意してますから」
え? ノリノリなんじゃ……
ー次の日
カタッ
俺達はマリの店先に臨時休業の札を掛けると、師匠に何度も言い聞かせた。
「くれぐれも暴飲暴食に気を付けてね!」
「何じゃワシを年寄り扱いするなじゃ!」
でも数百年生きてる年寄りじゃないか。
しかし師匠も師匠で一人の留守番が楽しそうでもあり、少し安心した。何にしても強盗やら盗賊が来ても絶対に大丈夫なので、その点は安心して任せてられる。
「じゃあ行って来ます!」
俺達は馬車でカピパラノユイン市から俺の領地、北の荒れ地のシルバー・リリー村に向けて出発した。事前にファニーから通達が届いているハズであり、新領主として代官から温かく迎えられる予定だ。
ガラガラガラ……
中古の馬車は荒野を馬にひかれていく。
「ライトニングスプラッシュ!!」
シュババッ
手綱をひく俺は、唐突に銀化して光の矢を発射し、行く手をジャマしそうなモンスターを退治して行く。
ドサドサドサッ
「用心棒とか要らないからラクよねえ」
「戦利品を拾う時間が無いからもったいないよ」
「高いヤツは拾いなさいよっ!」
「そうだね、もう宿代が心もとないし……」
一瞬の間が空く。
「……え? シルバー・リリー村ってどのくらいかかるのよ?」
「二日くらいだよ!」
「うそっ!? 凄い騙された……」
騙されたって人聞き悪い。
「安心して、なるべくちゃんとした宿には泊まるから」
すると彼女の目付きが変わった。
「しっかり強い敵を倒して! 宿代をケチったら帰るからね?」
「ここまで来てどうやって帰るの?」
「とにかく安宿だけは嫌だから。あと相部屋も絶対嫌よっ!」
「当たり前でしょ、相部屋なんて考えてません!」
俺はちょっとだけ赤面しそうになって、高いモンスターを必死に探すフリをしてごまかした。
ー約二日後
いくつかの街や村を経由し、遂に北のド田舎のシルバー・リリー村に到着した……
ガラーン
「うっ……」
「想像以上に何も無いわねえ」
目の前にはかなりの寒村が広がっていた。




