ニセガネ ※重罪
貯蓄の5万エピで蘇り&出所祝いの豪遊をしようと思っていたけど……500エピと言えば飲み物約2,5杯分、無理やり高いコーヒー店だと一杯も買えない。
カシャッ
俺は師匠にもらった高そうな剣が目に入った。
「これは多分歴戦の勇者が使っていた名高い剣に違いない、これで最弱のスライムを倒して金を稼ぐ!!」
ーユリナスはユニークスキル【銀化】の事をもう忘れているので御座います。
「おりゃっまた一匹!!」
ザッシャッ!
俺は順調にスライムを倒して行く。
「ふぅざっと1時間で五匹か……我ながら激しい戦いだったよ」
俺は満足感に浸りながら汗を拭き、袋に入ったスライムをギルドに持って行った。
「はい、おめでとうございます。スライム五匹で25エピになります!」
チャリッ
え? 25エピ?? 内職か……俺の一時間の激闘って25エピだったのかーっ!?
タタッ
俺の横を幼児が数人通り抜ける。
「おねえさん、スライム100匹倒したよーっ!」
「わー凄いねえ、500エピだよー」
「わーいありがとー」
俺の目前で幼児達が俺のほぼ全財産と同じだけの報奨金をもらう。幼児は500エピ銅貨を握り絞めて走って行った。俺の実力は幼児以下か? いや、この重い鎧が問題なんだ。
「売るか鎧、それでパーッと飲み食いするかー? いやしかしボケが進行して来た師匠に今度再会した時に顔忘れられてるかも……この派手な鎧は判別してもらう為に必要か」
俺の中で師匠は老人だと確定している。絆、そう師匠との絆の為に高そうな鎧は金庫に預け、剣だけを持ち直した。
スライム討伐一匹5エピは早々に切り上げ、他に良いクエストは無いか掲示板を見る。
「何々注目クエスト・3日前から行方不明の王女の発見、1億エピ……うわ高っ! そうか俺が師匠のダンジョンから帰る直前に、ここのお姫さんってさらわれてたんか? しかし俺には無理っ関係無い。次は偽金偽造団の捕縛5000万エピ、偽金かあ悪い奴もいるなあ……ん、偽金?」
俺はふと自分の掌を見た。あっ忘れてたっ!! そうだっこの500エピ銅貨を【銀化】すりゃいいじゃん!
ーえ、何故?? ユリナスは戦闘が弱いだけでは無く、頭の方も弱かったので御座います。
「銀化っ!!」
シャキッ!
俺は500エピ銅貨を銀化すると、急いでレストランに走った。
「いらっしゃいませ」
「マスター、これで料理を出せるだけ出してっ!!」
チャッ
俺は銀製の500エピ銅貨をマスターに渡した。途端に主人の顔が怪訝な表情に変わって行く。
「……これは?」
「これはって見たら分かるでしょ? 純銀で出来た500エピ銅貨だよ、多分5千エピ銀貨と同じくらいの価値があるよっ!!」
何故か主人は首を45度くらいに傾げた。