ふたたびの再会……a
「メイド長さん何を赤面してるの? 早くエゼルカちゃんを起こしてくれないか?」
「ははいかしこまりました。お嬢様お嬢様、お父様とお母様に会いに行きますよ」
メイド長さんが何度かゆり動かすと、エゼルカちゃんはゆっくりと眠そうに目を覚ます。普段はぐっすり眠り込んでる深夜帯だからなあ。
「ん~~ん~~、パパとママ会える?」
「そうで御座います。早く参りましょう」
「うん! パパとママ会う」
そう言ってエゼルカが起きると、メイド長さんがどうしてもと言うのでお嬢様の服のみ数点だけ持って行く事にした。
「それじゃあ他のメイドさん達を起こしてくれ、早速ボートに行くからね」
「はぃ」
「そうだっ代官さんの資産とかはどうなってるの?」
メイド長さんが絵に描いた様にギクッとする。
「ほとんどの金品は没収されてしまいましたが、隠し資産が隠し金庫の中に御座います」
「じゃあそこにも案内して」
メイド長さんはジトッとした目で俺を見る。
「ユリナス様の姿をした強盗では御座いませんよね?」
「コラ、違うよ代官夫妻が東アルパカでもそれなりの生活が出来る様にだよ」
「は、はぃ申し訳ありません」
そうして手分けしてメイド達を起こし、隠し金庫の前にも来た。メイド長さんを起こす前に解除していた全身銀化を再び掛ける。
「全身銀化、光の魔法の羽よ、隠し金庫を大船まで運べ!」
シャキッシュィーーン
魔法の光の羽3枚は重そうな隠し金庫を手のひらで挟む様にして、窓からすっ飛んで行った。
「あらまあ便利な魔法」
「俺も今思い付いたんだっ」
船員の人達も金庫が飛んで来たらビックリするだろうな。けど俺の体から離れて長距離飛んで行けるかなあ。
シュバーッ
けど俺が欲を出したせいで後々ややこしい事になる訳で……
シュタタタ
スタタタタ、トコトコトコ……
深夜の小さい港街を、エゼルカちゃんを背負ったメイド長さんと3人の身よりの無いメイドさんを守りながら、ヒイラギちゃんとカーミラーと共に二そうの小舟に向かって進んで行く。
「代官夫妻の倉庫を避けて行くきゅぴ」
「急ぎましょう!」
パタパタ
「うん、とにかくエゼルカちゃんを船に乗せるんだ」
「わーいコウモリさんが話してる!」
「しっ静かにお嬢様」
「帰ったらいくらでもコウモリと話せるからな」
「吾輩、基本夜しか行動出来ませんが」
などと俺達はとりあえず二そうの小舟に向かった。
ワーワー
チャキンカキン、ワーワー
ぴたっ
何だ、小舟を泊めている港の方が騒がしい。俺達は足を止めた。
「ユリナスさまこれは!?」
「見てまいりきゅぴ」
カーミラーが飛んで行った。そしてすぐに戻って来る。




