領地進呈と伝説b
「とは言え我らはやがて東の地に向かう身分、それにそもそも我らの数も少ない。どうであろうか、当地はありがたく頂くとして統治はそなたらが治めてくれんかな? 代官でも住民でも何でも入れれば良いぞハハハ」
名目上はウサミミワニ国の物だけど、実際上は統治して良いのか心広いな。でもまあ人数的に仕方がない措置か。
「分かりましたのじゃ、さっそく代官を置きますのじゃ!」
はや、師匠早いよ。
「……分かりました、お言葉に甘えてしっかり治めてみせましょう」
「とりあえずゴブリン達が国元、いやウサミミタウンに帰りたがっている。稼働してる船で少しづつ送り返してやろうと思う」
「有難いです!」
「しかし全員送り返すと水門砦の守りが薄くなりますのじゃ。50名ほどづつ交換制でお願いしますのじゃ」
師匠ちゃっかりしてるなあ。
「分かり申した」
「じゃーさーもう難しい話は終わった事だし、盛大に歓迎会をしようよっ!」
「まあっユリナスったら。でもそれも良いわね」
無口モードだったシャリィが笑顔で手を合わせたその時であった。
きゅぴきゅぴきゅぴ
もう夜になっていたのか数匹の子コウモリが突然現れて、天井付近をハイカイし始めた。これは完全にカーミラーじゃないか。そこそこコウモリの数が増えて来たんだな。
「何だっこのモンスターは退治してくれるわっ!」
チャキッ
しかしフュンフフルト兄が早速勇者の剣を構えるってダメダメ。
「止めてくれ、このヒト味方なんだよっ」
「何、この妖しげなコウモリが味方だと?」
兄上は疑いながらも剣を収めてくれた。
スッ
「カーミラーなんだろ、もう良いから姿を現わせよ!」
「それが、申しきゅぴませんがまだこの数では生首とか片腕くらいしか復活出来ませんので、コウモリの姿で失礼いたきゅぴます」
一匹のリーダー的な子コウモリがきゅぴきゅぴ言いながら必死にしゃべる姿は可愛い。しかし復活するのって時間かかるんだなあ。
「美しき処女の血を吸えば一発復活なのじゃがな」
シィ~ン
兄上含め、純情で真面目な人間がそろった城内は一瞬静かになった。
「も、もう皆意識し過ぎよっ話を進めて下さいな」
一応女の子のシャリィが話を進めた。
「お、おう何でお前急に出て来たんだよ?」
「そうその事で御座います。ユリナス様が領主である下ヴァーグトーア領の代官夫妻が遂に逮捕されましたぞ。恐らくゼブランドのヒューゲル・ハーフェン港が陥落した事で警戒したのでしょうな」
しまった、彼らの事完全に忘れていたよ。
「そ、そうか彼らの事は常に気にしていたんだ……」
アルフレッドもシャリィも疑いの目で見て来る。
「しかしアルパカインゼットと言えば大都会中の都会であろう?」
「その通りですフュンフフルト殿」




