造幣、アレ最後の1枚出動!
シィ~ン
さすがの師匠も考えているよ。
「造花の内職で貯えましたのじゃ!」
シィ~~ン
師匠それはさすがに無理があるよ!
「造花の内職で数億エピですって、凄いですわねえ」
「違うよ、造花の内職だけじゃなくて師匠花屋でバイトもしてたんだ! 俺の冒険の報酬もあるし」
「失礼ですけど、そのどちらも大した額にはなりませんわよね」
アウレリアーナさま今日は厳しめだな。
「以前新王にも言ったのじゃが、銀竜村の領主じゃから歴代の少々の貯えがありましたのじゃ」
「そうですの?」
ここの連中には七千万エピの借金があったとか知られて無いよね!?
「姉上、リリー師匠様を疑うのはもう止めて下さい、彼女が間違った事を言った事はありませんよ」
「まあっアルフレッドいつからこの姉よりリリー師匠さんに懐きましたの?」
「そういう訳では……」
こらこら話が全然違う方に向かっているぞ!
「でも……ユリナスって銀色に変身したら凄く強くなるのよねえ、それで銀の貯えが?」
ギクッ
マズイ、俺の銀化の秘密がバレそうに!?
「それが何か? 全然関係無いよ、防御力強化魔法みたいな物だからねっ」
「貴方もしかして、白鳥の恩返しみたいに手足の皮膚を切って銀を作っているんじゃないの?」
どギクッ!
白鳥の恩返しとは、猟師に助けられた白鳥が美女に変身して猟師の前に現れ妻になり、毎夜密かに自分の羽を材料にドレスを作るという昔話だっ。しかし手足の皮膚を切って銀を作るって発想がホラーだな。
「はははそんな訳は無いのじゃ!」
「はぁ」
でも、微妙に銀化に寄って来たな。気を付けないとな。
(ダルギッド殿が言っていた事、どういう事なのだろうか? リリー様が僕達をだます訳が無いと思うけど)
しかしアルフレッドは一人微妙に引っ掛かって考えていた。
「どうしたの?」
「いや何も」
「とにかく、数億エピある銀塊を使って、我が国初の独自貨幣を作りたいのじゃが、よろしいじゃろうか?」
アルフの奴がハッと頭を上げた。
「ああもちろんだよ、是非お任せしたいです! よしユリナス頼むぞ」
「しかし図案はどんなものにするのよ?」
図案かあ、ああいうの複雑な模様が多いよな。
「それについてはもう原案がありますのじゃ! ユリナスあれを出すのじゃ」
シィ~ン
アレとは? 俺は真顔で師匠の顔を見つめ続けた。
「……?」
「バカもの、【尽きぬ銀貨】の最後の一枚じゃ!
え、あれですか!?
ガサゴソ
俺はいつも肌身はなさず持っている尽きぬ銀貨を取り出した。
「これかっ!! これを俺達の銀貨にしちゃうのかっっ」
「それは何なの?」
「見せてくれよ」