■105■ 夢かっ! ニセ金が本物に!?
「しかし今日の所はこの私の顔に免じてユリナスを許して頂けませんか? 近日中にこの問題は解決する様にユリナスに強く命じておきますゆえ」
くいっ
そう言ってアウレ姉さんは深々と頭を下げた。師匠が5スンディだけ頭を動かしたのとは対照的だよ。
「おおっ」
「頭をお上げ下さい!」
「聖女さまだ……」
聖女じゃない、悪役令嬢ですよ~。
「そうだ悪いのは全部ユリナスだ、貴方の責任じゃない」
「そうだそうだ」
こらこら喜んで良いんだか怒った方が良いんだか。
「へっ分かりやしたよ、今日の所は戻りやすよ」
スタスタ
最初にゴネた兵士が引き下がったお陰で、他の兵士の騒ぎも収まってしまった。さすがアウレリアーナ様か?
「では私はこの罪人を我が弟王様の前まで引き連れて行きます!」
「罪人て」
「ああでも言わないと収まりませんでした」
ぐにゅ
俺は腕にアウレ姉さんの柔らかい圧を感じながら連行されて行った。
ざっざざっざ
ー新王執務室
第一曲輪の司令塔はガレキが撤去され、穴が開いた天井には板や布で応急の屋根が作られていた。
「~という訳なんだよアルフレッド、俺はショックでメンタルが崩壊寸前だよ!」
俺は泣きながらアルフに訴えた。
「どんなフニャフニャのメンタルよ!」
シャリィが肩をすぼめ両手を広げた。フニャフニャかな?
「さすが姉上、ユリナスが危ない所を救って下さってありがとう。しかし何とかしないと」
「一応遠征した時に旧王国から1億エピの軍資金を持って来てるけど、それを配る?」
ガーン! 1億エピも持ってるの? まあこいつら小遣いで何千万エピも持ってたからなあ。
「ダメですじゃ、その前アルパカ真貨幣はいざという時に使う大切なカネですじゃ」
「師匠さまではどうすれば?」
師匠ケチか、一億もあるなら配れば良いじゃん!
「金が欲しいならポコポコポコポコ作れば良いのじゃ!」
シィ~ン
遂に師匠が壊れたかと皆が心配になる。
「つまり紙や石で貨幣を作れとおっしゃるの?」
政治に興味が無いアウレ姉さんも興味シンシンだぞ。
「いや、紙や石で好きなだけ貨幣を作るとすぐにインフレになりますのじゃ」
「ではどうしますの?」
本当にどうすんだよ?
「ワシとユリナスは少々銀の貯えがありますのじゃ、それを元手に我が国の独自銀貨を発行すれば良いですのじゃ」
ガ~ン! 俺達で貨幣を発行するだって?
「師匠俺達そんな資産あったっけ?」
「数億エピ分くらいは銀塊があったじゃろうがっ」
師匠数億エピ分くらい銀化しまくる気じゃないだろうな。俺は気が遠くなったよ。
コクッ
師匠は無言でうなづいた。マジカー?
「凄いよリリー様」
「数億エピ分の銀ってどうされましたの?」