叫んだ名前 貨幣足りない問題が発生b
「そ、そうですよね、誰もアジサイを男の名前なんて」
「でもカーミラーはアジサイ殿と叫んだのじゃな?」
師匠~。
「申し訳ありません」
「だったらやっぱりダメだわ、わーーっ!」
ヒイラギちゃんは再び泣き始めた。
「分かったよ、今から本人が拒絶してもアジサイ君を取り返して来るよ!」
「待つのじゃ」
ガシッ
師匠は俺の腕を引いて止めた。
「え、何でですか?」
「それでは完全に我が国の仕業だと気付かれるのじゃ。残酷じゃがしばらくは放置じゃ。表立って動かん方が良い。しばし内政に取り組むのじゃ!」
「リリー様、僕はもう我が国の暗殺計画だとバレても良いと思うんだ」
「どうしてなのですじゃ?」
「アルパダ兄上のクーデターが成功したかどうかわかりませんが、アルデリーゼ兄上は恐ろしく慎重な性格ですから、アルパダ兄上の犯行の可能性も排除しないでしばらく侵攻は出来ないと思います」
「だったらなおさら可能性は残すべきなのじゃ」
「そ、そうでしょうか」
「新王様……」
アルフレッド優しいヤツだな。
「なによりも余計な事をしてこれ以上の被害拡大は防ぎたい。ヒイラギよ許して欲しいのじゃ」
くいっ
師匠は5スンディほど頭を下げた。リリー師匠がここまで言う以上、もう誰も何も言わなかった。
「わかりました、これも兄の選んだ道です。もう死んでるかも知れないし……」
「師匠さまヒイラギさん王様よどうぞお許しを!!」
ヒイラギちゃんはとぼとぼと自室に帰って行った……これで良いのかな?
「所でカーミラーはどうやって回復するの?」
俺はショボーンとしてる子コウモリを見て思った。
「はい、小動物から始めて血を吸い、やがて大型モンスターの血や果物を食べながら、昼はひたすら寝ます。それ以外は回復出来ないのです」
「そうか、強い力と引き換えに吸血鬼も制約があるんだなあ」
「なるべく早く回復につとめい、回復しだい新たなる命を与えるのじゃ!」
「きゅハッ!」
子コウモリは震えながら頭を下げた。ちょっとした動物虐待に見えてしまうよ。
「そうだな僕達はこれまでどおりしばらくは内政の拡充に努めよう」
「そうね、じゃあもう深夜だし寝ましょうか」
シャリィの一言で今晩はお開きとなった。
ー次の日
俺は朝になるとあっちで内戦の舞台となった城内商店街に行ってみた。
ガヤガヤ
おっ何か揉めてる様だな~どらどら?
「何故俺にパンを売ってくれない?」
「だからお金が無いじゃないかっ」
「金なんてある訳無いだろう」
「まだ戦闘糧食があるだろう」
「マズくて飽きてきたよ、俺はパンが食べたいんだっ」
「アンタだけ特別扱いできないよ」