クーデター顛末b
「良いだろう、面白そうだっ魔法の光の羽!」
シュインッ!
ビスマスの背中から湧いて出た六枚の魔法の羽は、回転しながらアルデリーゼを完璧に守った。これでもう竜の加護持ち以外は誰もアルデ新王を攻撃出来なくなった。
「1階に降りる」
「危険で御座います!」
「うるさい! よし、カールよ後ろから付いて来い」
「はっ」
ツカツカ
アルデリーゼは事も無く、バリケードをどかせると1階に降りて行った。
「おおっ」
突然のアルデの登場にアルパダ側は一瞬降伏かと早合点したが、一緒に浮遊するビスマスを見て今度は一瞬で負けをさとった。
ガシャガシャ……
新王が進む先の敵部隊が十戒の様に割れて避けて行く。遂にアルデリーゼはアルパダが居座る本陣にまでたどり着いた。
「お邪魔するよ兄上」
「てめっ」
本陣に入って来たアルデリーゼを見て眉間にシワを寄せるが、ビスマスを見て部下に攻撃を制止させる。
カチャッ
一斉に魔銃が降ろされた。
「とちりましたな兄上! 暗殺は失敗、2階に上がる事も出来ませんでしたな」
シィ~ン
何故か沈黙が起きる。
「暗殺、何だそりゃ?」
「ハハおとぼけを」
「だから何がだよ??」
しかしアルデは長年の兄弟の感触で、兄の顔に嘘が混じって無い事も感じた。
(兄上のこの顔、本当に知らない顔だが……部下か?)
「暗殺は失敗、外からは本隊が迫る、もはやクーデターは失敗です。尊敬する兄上なれど何もおとがめ無しとは出来ませんな」
「くっ」
アルパダも負けを認めるしか無かった。
「兄上は貴族の館に謹慎、外との連絡は一切断って頂く! 護衛騎士は解散投獄する、以上!!」
「てめっ」
アルパダは怒りに震えたが、ビスマスに挑んでも負ける事を悟って剣を捨てた。
カラン
そのまま城外からの部隊も突入し、ロルフの指揮のもとアルパダは貴族の地下部屋に監禁されて行った。
「覚えていろよ」
ビスマスが口に手を当ててあくびをする。
「ふぁ~~眠い、もう帰って良いかな? 寝て無いんだ」
「来たばかりじゃないか……しかし君が来てくれて嬉しかったよ」
「そうか、じゃあな!」
現れたばかりのビスマスは手をひらひらさせてどこかに消えた。
ーマリの館。
またまたまた、一週間が、経った、のじゃ~
「マリ、俺この夕食が終わったらとりあえずお城に戻ろうと思うんだ」
「へえ泊まっていかないのねえ」
カチャッ
マリが食事の手を止めた。でも逆にファニーが高笑いを始めたよ。
ガタッ
「ははははは、最後に勝つのはわらわなのだっユリナスは最後の夜にわらわと過ごす事を選んだ!」
「落ち着いてよ全然違うよ」
「違うのか?」
立ち上がって指をさすファニーはとりあえず席に座った。