クーデター顛末
「しかしこれからどうされますか?」
レミランが子コウモリの大群が去って、再びガランとした11階広間の中を見回しながら言った。
「考えたのだが先程のコウモリ、アルパダの手の者かも知れない。だとすればここも危ない。部隊と一緒にいた方がよいであろう、我らも2階、いや3階まで降りよう。異論は認めぬぞ」
さっきの騒ぎがあるので、レミランも命拾いしたばかりのカールも反対はしなかった。そのまま三人は急いで3階まで降りた。
ー3階
ようやく降りて来たアルデリーゼを見て、臣下や貴族達が声を上げた。
「おおっ新王陛下!」
「うむ今からここを本陣とする。1階と2階の状況はどうか?」
「はい、2階の入り口にバリケードを設けアルパダ様の侵入を阻止しております。それまでは命令だけで進軍されておりましたが、初めて抵抗を受けそれ以上の侵入をチュウチョされておられる様で、押し問答が続いております」
「うむそうか、ヤツも探り探り進んでおった訳か! 以下アルパダで良い」
「ハッ」
「外の部隊の集結具合は?」
「ハッ矢文で連絡を取り合い、急ぎ城外に既に七千名が集結しております!」
報告を聞いてアルデリーゼは胸をなでおろした。
「そうか、暗殺と城内侵入はセット。暗殺が失敗した以上、奴らに勝ち目は無いな。さてどうするか?」
アルデリーゼは既に勝ちを確信し、騒動後の采配に感心が移っていた。
「どうされますか?」
重ねて魔導士から回復魔法を受けたカールが聞いた。
「まずは外側から城門を破壊させよ! 後ろからアルパダの部隊を包囲するのだ。交渉はそれからだなハハハ」
1階から2階に上がる事をチュウチョした時点で、アルパダは袋のネズミになっていた。そのままアルデリーゼは2階に降りた。
バキャッ!
「城門が破壊され、アルパダ殿に後ろから包囲されている事を伝えました! 魔道師、魔銃隊、いつでも総攻撃可能です」
「殿はいらん」
「ハ」
うっすらと朝日が差し始めた今、アルパダ軍三千は風前の灯になっていた。
「総攻撃ですか?」
「ビスマスが居さえすれば奴を安全に捕らえる事も出来たが、彼女の不在がアルパダには逆に不運になったな!」
「何をバタバタしている? 知らない内に面白い事になっているな」
ビクッとして横を向くと、腕を組んだビスマスが他人事の様な事を言い浮遊していた。新王は怒る事無く心の中でふぅ~とため息をついていた。ここで問いただしたりするのは、猫の様に気まぐれな彼女に逆効果だと知っているからだ。
「あぁ少しばかりアルパダがクーデターを起こしてね、ちょうど良い今から捕まえに行くから手伝ってくれるかね?」